南 郁夫の野球観察日記(106) オリックス・バファローズ2022「確信的」展望 打点を稼いでくれ林!その宗よろしく!

2022年3月18日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

あの神戸での日本シリーズ第6戦から、はや4ヶ月近く。まだあの冷たくて美しい結末の余韻を体が覚えているのに、しらっと新しいシーズンが始まろうとしているなんて信じがたい。でも、昨年は過去。それが野球。まっさらなボールでのプレイボールは待ったなしなのである。

周囲(ファン含む)の予想を裏切りまくって2021年パ・リーグ優勝を成し遂げた、オリックス・バファローズ。おなじみの彼らが胸を「金色」に光らせて、新しいシーズンに挑むのだ。ついに勝利の味を知った彼らがどんな戦いをするのか、楽しみしかない。

評論家諸氏の評価も高く(もう誰もあてにしとらんが)スキがないように見える今年のオリックスだが… 私には一抹の不安がある。それは、優勝したとはいえ解消されてない永遠のテーマ「得点力」だ。球場で観戦し続けた方ならわかるだろう。昨年終盤のあのジリジリと身が焦げるような「点の入らなさの苦しさ」。

昨年のチーム打撃成績で打率と本塁打はリーグ1位になったのはいいとして、得点と打点はリーグ3位である。ランナーようけ出ても、おうち(ホーム)に帰ってこれんと意味ないの!ソロホームラン多いのん効率悪いの!今年こそ得点力をアップして投手陣を楽に勝たせてやりたい。

昨年オリックスで打点を稼いだのは、堂々リーグ3位のラオウ杉本(83点)、吉田(72点)、紅林(48点)、宗(42点)の4人である。打者としてのタイプや性格、チーム構成的に言って、やはりポイントゲッターになれそうなのは今年もこの4人に絞られる。

杉本と吉田にこれ以上の上積みを望むのは、さすがに現実的ではない。とすれば、昨年ブレイクして優勝の大きな原動力となった紅林と宗が今年さらにどれだけ飛躍できるのか?ここがオリックスの今年を占うポイントであるとともに、楽しい見どころではなかろうか。

まずは、紅林。昨年の打率は.228(低っ)なのに48打点の勝負強さは、さすが「大物さん」である。そんな彼も、1年かけて守備を磨いてショートを守り切ったことで、今年は最初からある程度、心の余裕があるだろう。そこで得意の打撃がさらにスケールアップすると予測する。

昨年のシーズン後半には「意志のある打球」を打てるまでに成長したバットコントロールと、持ち前の思い切りの良さ。主役を張れるキャラ。開幕から普通に打てば、すべての打撃成績を「むんっ」と大きく上積みすることは間違いない。.280打てばホームラン、打点は「倍増」するはず。「2年目のジンクス?ジンクスて何ですか?食い物ですか?」と言いそうな紅林くんには、今年も進化しかない。

そして、宗。私は彼が今年、さらに大化けして「球界を代表する」クラスの選手になると予想している。昨年の緊迫の優勝争いの中、一番成長したのは彼だ。あの10月の天王山でロッテ・小島からよくぞ放った「涙のホームラン」!私はあの瞬間、もともと走攻守のポテンシャルが日本人離れした彼が「一つの壁を突き破った」音を聞いたような気がした。あそこで打てるのはスターだ。

今年は宗が「真のスーパースター」になる年。リーグ優勝に貢献しても慢心はないはず。なんといっても日本シリーズ最後の打者は、彼だったのだから(セカンドゴロ)。あの試合ではちとエラーもしたし、その「悔しさ」がさらに彼を高みに成長させると信じる。「熱い」宗は、近い将来のキャプテンの資質十分とも私は見ているのだ。

うん。うん。書いてるとこの2人が今年はさらなる大暴れをする確信が湧いてきたぞ。この三遊間コンビは、守備も一級品というところが素晴らしいし。「そこ、外野ですやん」というほど深い守備位置から鬼の形相で踏ん張って走者を刺す紅林、グラブにボールが吸い込まれてから光のような送球を一塁に送るまでの動作がまるでヒョウのような宗。この三遊間を球場で見れることは今年も大きな喜びである。

そんな彼らが「がんがん」チャンスで打って、打点を昨年より倍増させる!かなり実現性の高い予測であり、そんなわけで今年のオリックスに弱点はないのだっ!

ホンマかいな。

リーグ優勝しても修正されないこの自虐的なオチのつけ方!

私をはじめ、オリックス・ファンの永遠の課題である。

 


<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
著書「野球観察日記 スタジアムの二階席から」好評発売中!
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