南 郁夫の野球観察日記(107) 2022年オリックス、開幕ダッシュはまさかの!?

2022年3月31日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

開幕戦を山本由伸で勝ったとき、私たちは思ってしまったよね?「さすがチャンピオンチーム、開幕逆噴射は過去の遺物だぜ!」。でもそこから、あれ?宮城クンが?颯一郎ぼっちゃんが?まさたかが?ラオウが?あれ?あれ?あれ?金ピカのチャンピオンチーム・オリックス・バファローズが…?

そんな中、私の公式戦初観察は3月30日。本拠地開幕シリーズの第2戦である。ここまで1勝3敗なので、さすがにこの日は勝たんとなあとか言いながら、とろとろ溶けそうな春の陽気のせいかご機嫌で京セラドームへ。ま、イッツオンリー野球ですからっ!連覇連覇とか深刻に言わん方がよろし。

今日は入場者にチャンピオン・ペナントを配布。ファンは「あ」ちう程度の反応で、すぐ丸めてカバンに入れていた。私はそれで手をふきそうになった。でもたぶん、貴重な一品である。メルカリで売らずに、修学旅行で買った「夫婦岩」のペナントの横に飾ってほしい。

さて、前日の本拠地開幕第1戦は始球式がなんちゃら君(まったくわかっていない)でジャニーズ動員女子率高く、満員に近い入りだったとか。事情通のわが編集者によると「ジャニオタからしたら数千円の出費で推しのアイドルが生で見れて写真撮り放題って!野球って素晴らしい!」てことらしい。それに比べて第2戦のゲストは団体さんのラストアイドル?(ったくわかりません)のせいか、スタンドはこけっこう、ガラガラ。

入場制限がやっとなくなったというのに、まあ平日はそんなもんか。オリッもベンチに日替わりでジャニーズひとり入れときゃ、動員もっと上がるのか?木更津キャッツアイの「ぶっさん」か「バンビ」なら最高だが、そんな古い例えは若者にはわからないし、彼らは(設定上)ロッテファンだ。

指定通りの席に座ると、すぐ隣に荷物の多い専属カメラマンで「近い近い!窮屈窮屈!」と思ってしまう。この2年間で「ゆったり観戦」に慣れてしまったせいで。(コロナ以前もゆったり観戦だったが…)でも周囲に人は来なさそうということで、自主的ディスタンスで快適化。でも。横の4人並び席には若い男の子の2人連れ×2組が「みっしり」。周囲に席はいくらでもあいてるのに、最後まで指定席を守る。このあたり、いまどきの若者は機転が利かないのか、マナーが良いと褒めるべきか?はい。後者ですね。(しかし場内表示で「キープ・ディスタンス」と言っているのはチケットの売り方と矛盾しないのか?)

さて。大事な試合のマウンドには、バルガス!私はこのメキシコ怪獣の名前の響きと投げっぷりが好きで期待していたのだが。かん!きん!こん!と楽天イーグルスのズラリ並んだ左打者に捕まって序盤で4失点。ここまでのローテ投手で初めて「あかんがな」という結果には終わる。が。打たれても打たれても「はよニューボールくれ!」と要求してせっかちに投げ込むバルガスのテンポが、私は好きだ。「打たれてもテンポが良い」そういう投手の試合は結果はどうあれ、楽しく見れるもの。彼の唯一の良いところは「動くストレート」で楽天打者がめちゃくちゃバントしにくそうだったこと。まあ、それくらいだったのだが。

6回に登板した本田はバルガスに比べてテンポが悪く、四球からめて2失点。これはあかん。現状のオリッ打線では6点差を取り返すのは難しく、そのままあっさり敗戦という結果だったのだが…

途中から私はすっかり「なごんで」しまっていた。昨年終盤のあの緊張度の高い試合観察はもちろん特別な経験だったが、おなじみのこの「あ~あ」というムードも悪くない。場内も「それでは連覇などできないではないか!」などという悲壮なムードはなく、おなじみの「あらまぁおほほ」ムードで、なごむ。今年も野球が始まりましたね、まあのんびり楽しみましょと。それが現場からのレポートだ。

なので。ちょっとだけ雰囲気が出てきたオリッ打線の作った7回裏のチャンスをものの見事に摘み取った楽天のセンター・辰巳の(2ランホームランに値する)地上すれすれスーパーファインプレーを見たときに、敵ながらあっぱれれれん!と心底思えるのだ。マジですごかった。私は辰巳の外野守備がパ・リーグでは一番!と思っている。セ・リーグは知らん。

で。結局、B1-6Eで敗れて、試合後にトイレで小用を足してると隣に並んだおっさんが話しかけてくる。

「残念やったなあ。でも、新しい外人「バレロ」が楽しみや」

そう。私たちオリッ・ファンは「ある」問題に直面している。それは…「バレラとラベロ、どっちの名前も覚えられない!」問題である。このひたすら似通った三文字のカタカナがごっちゃになって、何が何だか分からなくなるのだ。で、おっさん「バレロ」てどっちのことを言ったんやろ?

そう。もう一つの問題は、この2人が2人とも「渋とく粘るんやけど長距離砲というわけではなく、それやったら日本人でもええんちゃうん?」タイプの中肉中背中南米外国人選手ということなのだっ!ああややこしい。福良GM好みということ?

というわけで、これで1勝4敗。週末からはまたお友達のハムとの「逆頂上決戦」が控えているので、ここで負け越したりしたらさすがにヤバいので、オリッとしても気合は入れたい。

始球式のゲストはどうでもええので、中嶋監督もドローンが無理ならルンバにでも乗って登場してみたらどうだろか?景気付けに。しませんよね。

 

編集部より追伸:京セラドームに現地観戦の皆さま

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<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
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