南 郁夫の野球観察日記(76) こんな時だからこそ! 恒例 オリックス・バファローズ2020「超楽観的」展望

2020年3月5日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

ついに、球春到来!ただし、無観客でっ!

オープン戦とはいえ、観声のないプロ野球中継は異様である。が、2月29日の札幌ドームに深いエコー付きで響き渡ったT-岡田のフルスイングの打球音は、痛快であった。観客がいないと、芯を食ったバットってあんなに美しく響くんですねえ。そして何より、久しぶりに見たT本来のホームラン弾道の美しさ。無人の外野席でボーンと跳ねるボールが、今シーズンのオリックスを占っているような気がして、にんまりである。

2020年シーズンを目前にしたオリックス。投手陣は(昨年から)整ってる。(未知数とはいえ)ジョーンズが加わった打線の得点力は上がりそう。でも評論家諸氏に「何かが足りない」と必ず言われてしまう、オリックス。その何かが「元気さ」「明るさ」とかまるで少年野球のような言われようの、オリックス。でも、ファンはみんなわかっている。その何かが「T-岡田」だということくらいは。

チーム移籍をも考えていた彼が残留を決めた、昨年最終戦での「代打・T-岡田」に対する(引退マモさんを上回る)ファンの大声援。私も感動してしまったが、あれは、彼の(不可解な)不在の寂しさを、やっとファンが表現できた瞬間。2014年プレイオフでの衝撃の逆転ホームランをはじめとする、T-岡田でしか成し得ない興奮と一体感を、ファンが忘れるわけはない。ああいう「T-岡田的瞬間」を、オリックスファンはずっと待っているのである。それができるのは、たった一振りで球場の空気を変えることができる、特別な存在だけ。

個人的には、T-岡田はまだ選手としての最盛期すら迎えていないと思っている。その怪物(怪獣か)級の実力は、さまざまなプレイ以外の要因が邪魔してまだ小出しにしか現れていない。いろいろ言われているが・・野球選手が優しくたっていいじゃないか!(インタビュー時の優しい目が忘れられない)。毎年、私は訴えているのだが(誰に?)、彼をのびのびプレイさせてほしい。ただシンプルにバットを振らせてあげてほしい。
Tさえ復活すれば、チームに必要な「何か」が埋まる。これは間違いないところなのである。

その上で、「あの」山本と山岡がいる投手陣である。吉田、ジョーンズ、モヤの攻撃陣である。中川はじめ若手もさらに自信と実力を付けてこよう。主力に故障者も出ていない今の時点では、もちろん私の予想ではオリックス堂々の2位(2位かい!)。久々のプレイオフ進出である。もちろん、T-岡田の常時出場がカギを握るということで。

さらに今年の観察者予言として、その他のキーマンを2名、あげさせていただこう。

まずは、どこよりもケースポが最初に目をつけて! 昨年終盤に早くも鮮烈一軍デビューを果たした、超感覚派内野手「宜保 翔 #53」である。2年目の今年は最初から堂々の一軍組でオープン戦序盤から打ちまくる彼の進化は、天井知らず。チャンスに強そうな雰囲気とその楽天的なプレイは、新時代を感じさせるに十分である。ショートもセカンドも守れる今年20歳のこの若者がレギュラーを獲っちゃう可能性を、私は「感覚的に」感じている。

宜保がびっくりするぐらい打ちまくる。一つ目の予言である。

そしてもう一人のキーマンは、宜保と同様19年ドラフト(育成)の右腕「漆原 大晟#65」としたい。入団会見イベント終了後、一人ぽつねんと座っていた彼に話しかけると、柔和な表情と声に似合わず「いつでも準備はできています」と自信みなぎる発言。「早く2桁の背番号になるといいね」と話し合った彼が先日支配下選手を勝ち取ったときは、本当に嬉しかった。ま、当然と言えば当然でいきなり23セーブ!で昨年ウェスタンリーグ・セーブ王の漆原。準備は本当にできていたのである。

漆原が最後はクローザーになっている。これが二つ目の予言である。

なんだか楽しみになってきた。2020年のオリックス・バファローズ。我々野球ファンはしっかり(引きこもって)体調を整えて、元気に開幕日に球場に出かけるといたしましょう。その頃にはすっかり世間は「無ウィルス」になっていると、信じておりますっ。

 


<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」

著書「野球観察日記 スタジアムの二階席から」好評発売中!
https://kobe-kspo.com/kspo/sp145/

 

 

Twitter でK!SPOをフォローしよう!