ナミコのおでかけ日和(29)神戸元町「一番館」閉店の日に、最後の「ポームダムール」を買いに
2026年6月1日(文・写真/ナミコ)
こんにちは、ナミコです。

元町の「一番館」と言えば、1971年のオープン以来、神戸市民だけでなくたくさんの方に愛されているチョコレート専門店。看板商品の「ポームダムール(愛のりんご)」は、特別な日のおやつとして、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
突然の「閉店のお知らせ」
ある日流れてきた一番館公式インスタグラムの投稿を見てびっくり!投稿日は5月29日であるにもかかわらず、5月31日に閉店するとのお知らせでした。

(Instagram @ichibankan_chocolateより)
あまりに急なお知らせでしたが、どうやら冗談ではなさそうです。
とはいえ、あと2日しかない!!
子どもの頃祖父母の家に遊びに行くと、ガラスの器に恭しく入っていたポームダムール。めざとく見つけて包みを開けると「高いお菓子はすぐに見つけるなあ」と苦笑いされた昭和の思い出がよみがえります。
在庫が少ないということでしたが、とりあえず31日の朝、店舗に行ってみることにしました。
開店前から大行列

元町商店街に着いたのは開店10分前の9:50ごろ。
ちょっと早いかな、と思いながら時計店ビルを目指して歩き出すと、すでに行列が見えています。

もしやこれは!
駆け寄ってみると、角を曲がって長く伸びている行列は、まさしく一番館へ続くドアの前から続いています。
もう少し早く来るべきだった!と後悔している間にも、続々と後ろに列が伸びていきます。圧倒的に女性が多く、1人で来ている方がほとんどでした。そして年齢層は高め。おそらくここにいる全員が昭和生まれではないかと感じました。
自撮りをするでも配信をするでもなく、粛々と上品に並ぶ神戸マダムたちの列。自然に前後の見知らぬ者同士で交わされるのは「びっくりしましたね」という閉店の話題です。
私も居合わせた方とお話ししましたが、みなさんSNSを見てすっ飛んで来た、という方ばかりでした。
話をしながら待っていると、開店時刻少し前にシャッターが開き、列が進み始めます。
懐かしい店内を見ながら最後の買い物
シャッターが開くと同時に、3階の店舗までどんどん人が吸い込まれていきます。こんなにたくさん入って大丈夫?と思いながらも進んでいくと、踊り場で一旦停止となりました。
壁のポスターやインテリアを見ていると、誰からともなく思い出話が始まります。


親の代から通っていた方、子どもの頃の思い出、ポートピア博覧会でお土産に買った、という方や、亡くなった方や神戸を離れた方への思い、それぞれの思い出話に花が咲きました。
見知らぬ者同士ですが、共通点はみんな一番館のチョコレートが好きだった、ということ。
まだあるかな、買えるかな、という思いが伝わったかのように、レジを終えた方が「まだいっぱいありますよ、買えるわよ」と声をかけながら1人、また1人と階段を降りてきます。
筆者が3階の店舗までたどり着いたのは、開店から15分ほど経った頃。

店内は意外にも空いていて、棚には袋売りのチョコレートがいくつか並んでいます。
りんご以外にもいちじくや紅茶、抹茶など美味しそうなチョコレートがいっぱい。最後ということもあり、私を含め皆さんいくつもカゴに入れていきます。
商品を手に取るだけでなく、店内を一周して店員さんと話す方や、レトロなインテリアをカメラに収める方も。



箱入りの商品はレジで注文するシステムだったので、店内をぐるっと周り、その景色を目に焼き付けた後はレジに並びます。
神戸マダムの底力を実感
レジは1台だけなので、みるみるレジ待ち列が長くなり、店内を1周するほどに伸びてきました。しかしそこは神戸マダム。誰からともなく「私はここで折り返したほうがいいわね」と自主的に導線を確保。入店待ちの列の方には「ここからはまだちょっと待機したほうがいいですよ」と声を掛け、混雑を防ぎます。声を掛けられた方も怒るでもなくその場に留まり、誘導のスタッフさんは不在ながら、見事な整列ができていました。
レジに並びながらも店内を見渡し、懐かしいパッケージやポスターなどを見上げていると、あっという間に自分の番に。


リンゴをかたどった「スケルトン」がまだあるといいな、と思っていたのですが、筆者のタイミングでは残念ながら完売。「リンゴの容器、家にたくさんあったのに、当時何も考えずに捨ててたわ」と残念がるマダムの声も。
しかし箱入りの商品はまだ在庫があったので、自分用やプレゼント用にも購入できました。
帰りには行列はさらに伸びていました。
午後から訪問した友人によると2時間以上並んだとか。流石の人気に最後までびっくりです。


思い出を噛み締めながら
さっそく開封し、久しぶりのポームダムールを味わいます。

子どもの頃初めて食べたころと同じ、シャクシャクした食感は健在。祖父母との思い出が甦ります。あの頃は大きく感じたチョコレートも、一口でペロリと食べられました。
そして職場やお取引先へ、神戸の手土産としても何度も利用したポームダムール。
あの頃を知る友人にも、最後の贈り物としてプレゼントしようと思います。
今回ご紹介したのは
一番館(2026年5月31日閉店)
住所:兵庫県神戸市中央区元町通1-8-5 元町時計店ビル
ビル1階の時計店、2階の喫茶あじさいは営業継続
ナミコ
セは阪神、パは阪急を応援しながら阪神間で生まれ育った昭和生まれのママライター。
幼少期の憧れの人は福本豊。阪急ブレーブスを知る最後の世代として、西宮ガーデンズに行くたびギャラリーとメモリアルスポットを巡礼しては熱く語るためママ友たちにウザがられている。趣味は野球観戦と鉄道旅行。
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