南 郁夫の野球観察日記(140)2023年オリックスを引っ張るのは、野口智哉!

2023年3月28日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

吉田正尚が去り、WBCに主力4投手を貸し出しても、オリックスはオープン戦を首位で終えた。準備は万端。鮮烈の高卒3年目・山下舜平大投手をはじめ若手の底上げがさらに加速して、チーム全体の活性化が止まらない。すべての選手たちが、自分のやるべきことをわかっているように見えるのだ。まぶしい、まぶしい。

中でも、ついに開幕ショートをゲットした(かもしれない)2年目の野口智哉#9の躍動ぶりは、目を見張るばかり。私が観戦したWBC練習試合(韓国戦)でも、打って走って守って、誰がどう見てもグラウンドのどの選手よりも一人だけ光り輝いていた。たった1年での成長ぶりに、驚くばかりなのだ。

面構えが、実にいい。すでに2022年度新人選手入団発表のときにオーラは十分に感じていたが、安達もいて紅林が台頭していたあの時点での私の単独インタビュー(声をかけただけ)に「ショートにこだわりたいっす!」と断言した不敵な新人に、すでに「予感」はあった。

もちろん紅林もこのまま黙ってはいなかろう、オリックスに「大型遊撃手戦争」が勃発するなんて、夢のようだ(ブレーブスの頃から… 伝統的にちっこい二遊間)。野口は外野も守れるのが強みではあるが、決して「ユーティリティー」に収まるような器でもない。そんなスケール感を、彼は持っている。

彼のすべてのプレイに、半端ない躍動感とスピードがある。ぜひ、球場でそれを確かめていただきたい。見ていて本当に楽しい選手だから。そして、少々ヘマをしようがニヤニヤ笑っている彼にはすでに、スターの風格すら漂っている。監督から「もろさがなくなった」とのお墨付きをいただいた、野口智哉。今年のオリックスを牽引するのは彼だ、と断言しておこう。

さて。オリックス。目立った怪我人もなく、主力選手も仕上がっているし、ついに来田もきたー!だし、もちろん投手陣の盤石は揺るがない。ちうことで、やはり今年も「いい線」いくだろう。評論家間でソフトバンクの首位予想が圧倒的なことも、選手たちにとってはありがたい。

建前上は「2年連続」とか「3年連続」とかスローガンに掲げるんだろけど、ファンも含めてそんなのを意識してほしくない。守りに入るどころかフレッシュな定位置争いで、スリリングな野球をしてほしいだけだ。勝った負けたなんて、副次的な要素。今年も、多士済々で面白いパ・リーグをその日その日で楽しみたい。それをお伝えするのが、私の役割と思っている。

さあ、きちんと整備されたスタジアムで。

今年もまっさらなプレイボール・コールが響き渡る。途方もなく長い野球シーズンが、始まるのだ。ときには退屈で「とほほ」もあるだろう。球場であくびもするだろう。それを含めて、野球。夢と感動なんていりません(個人の見解です)。ただただ、プロ野球選手たちの「ふっつうの公式戦」でのプレイを、のんびり見たいだけである。

球場に行ってもなんとか検査もない(はず)。口をふさぐものも不要(のはず)。本当にわくわくの野球シーズンが、いよいよ始まるのである。さあ、春の息吹を感じに球場に足を運ぼう!

え?は?

神戸開幕は5月末ですと!? いきなり「とほほ」やんか。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
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