南 郁夫の野球観察日記(229)龍馬+遼人≒イチロー? 今季のオリックスから目が離せない
2026年4月27日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

先日のコラムで「平日ナイター、すいてて最高」みたいなお気楽なことを書いたが、ペイペイやエスコンおよびセ・リーグには当てはまらない話、らしい。毎試合完売な人気チームのファンは、気軽に思いついてふらっと球場に行くなんてわけにはいかないらしい。不自由っ。
オリックスはV3時代と比べれば動員力が落ちているらしく(それでも水増しして数千人のころと比べりゃ・・)、その要因はチーム成績というよりスター選手がいないから?と考察されている。球団が推進した「推し活」のおかげで、一定数のファンは確保できているのだが。
スター選手はアメリカに輸出済み。推し活や応援行為そのものが目的のファン以外にとって、それでも日本の球場に足を運ぶ理由といえば、自分が見たいプレーをしてくれる選手がいるかどうか?ではなかろうか。

BWブームが収まって「がんらがら」と化した、90年代後半のグリーンスタジアム神戸。それでも私が熱心に球場に通ったのは、単にイチローがいたからだ。行けば必ず(野手だから)彼のプレーが見れるのは、球場に行く十分すぎる理由だった。チームが勝とうが負けようが。あの打撃技術と守備、走塁が楽しめるのだから。
今のオリックスには、さすがにイチロー・レベルの野手はいない。ちょっと前なら吉田正がいたが、打撃だけ(笑)。でも最近のオリックスに、私はイチローがいたときに近い感覚を、感じつつある。
西川龍馬の打撃技術と渡部遼人の守備が見れるなら、球場に行く価値はある、と思う。


ワンバウンド打ちから大根切りまで。最近の西川龍馬の変態打法は、狂気の芸術領域に入りつつある。なにかもう、バッティングというより「セミ取り名人」を見ているような感動。ユーモアすら漂う打撃職人の一挙手一投足は、ヒットになろうがなるまいが、必見の値打ちがあるのだ。
移籍3年目で、実は「熱い」彼の内面もクレバーな野球センスも、ようやく理解できた。ただの変態打ちオタクではない(あたりまえや)、高度な野球脳。状況に応じて、何が飛び出すのかドキドキさせてくれる興奮は、他では味わえない質感だ。

「初代ファミコンの野球ゲーム」を連想させる独特の守備も愛おしく思えてきた、今日このごろ。でも結構飛び込んだりするので(必ず届かない:笑)、ケガだけはしないでほしいと願うばかり。


そして。やっぱりプロ野球を見るからには(往年のBWみたいな)素晴らしい外野守備を楽しみたい。長らくオリックスでは(なぜか)あきらめざるを得なかったそんな夢を実現してくれているのが、絶賛ブレーク進行中の渡部遼人である。
不思議と躍動感を感じさせない「遊泳魚みたいな」ボールの追い方。静かに追いついて派手さのない、無表情なポケットキャッチ。彼のスムーズなセンター守備の安心感は半端なく、遼人がレギュラーになってからファンの観戦ストレスが著しく軽減し、「よく眠れるようになりました」「嘘のように肩こりが取れました」などの声が球団に殺到しているという。嘘だ。


2022年新人選手入団記者会見で私に
「センターが好きで、こだわりがあります。全てが見渡せるポジションなので。守備には自信があります」
と恥ずかしそうに語ってくれた、渡部遼人くん。彼の時代が、5年の時を経て鮮烈に始まったのである。
そう。今年は西川龍馬の打撃、渡部遼人の守備を見るだけで、球場に足を運ぶ価値がある。二人合わせてイチローだあ!というのは「全員に」失礼だろうが、今の私はそれくらいの気持ちだ。

ん?渡部遼人を「守備の人」みたいに言ってるが、目下、彼以外全員を驚かせている打撃の実力も底知れず、全貌が把握できない状況。出塁技術が傑出しているうえに、穏やかな表情のまま「回り始めのコマ」スイングで連発する暴力的な弾丸ホームランに、口あんぐり。ど、どこに?そんな力が?総合力でも「あのお方」を連想せざるを得ない。
龍馬+遼人≒イチロー?
今年のオリックスは、いやほんと、目が離せないことになっている。慣れない開幕ダッシュに戸惑っている場合では、ないのだ。


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南 郁夫 (野球観察者・ライター) 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」 |
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