スポーツイラストレーター T.ANDOH の「OUTSIDER’s ReCALL」(185)ストークスに刻まれた新たな”レジェンド”。谷直樹の引退セレモニーに行ってきた!
2026年4月24日(イラスト・写真・文/T.ANDOH)

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
トップのイラストは、神戸ストークスの谷直樹選手。
兵庫ストークスとして誕生したチーム発足時から、ストークス一筋でプレーしている選手ですが、この谷直樹選手が、今シーズンをもって現役の引退を決意。
4月19日の今シーズン本拠地最終戦、熊本ヴォルターズ戦で引退セレモニーが開催されました。
僕は、谷直樹選手とはチーム発足時からお付き合いさせていただいており、このイラストは、引退セレモニーに合わせて谷選手のご家族から依頼を受けて描いたものです。
谷直樹選手は兵庫県川西市出身。
甲南大学を卒業した年に発足した兵庫ストークスに入団しました。
プロのキャリアのスタート自体がストークスで、移籍もしておらず、プレーしたチームはストークスのみ。
ちなみに、BリーグはもちろんNBAを見回しても、チーム発足時から所属して、10シーズン以上もひとつのチームでプレーした選手はいないのだそう。
世界的にも、稀に見るオリジナルプレイヤーであり、地元兵庫出身のフランチャイズプレイヤーなのです!

そんな谷直樹選手の引退セレモニーに立ち会うため、僕も当日はGLION ARENAに行ってきました!!

先日は川辺泰三HCのインタビュー取材でアリーナにお邪魔しましたが、その時はバックヤードの会議室だけだったので、アリーナに入るのはじつは初めて!!
聞きしに勝る!立派なアリーナでした!!
このお話は、あらためてしたいですね。

GLION ARENA名物の大型ビジョンも、思っていた以上に良かったです。
迫力がありすぎてもコートの邪魔になるのではとも思っていたのですが、全くその心配はなく、むしろ大きなビジョンに映るスタッツは見やすくて、他のアリーナではできない空間表現を演出しています。
今回はコートサイド1列目という最良の席をいただいたので、初アリーナにしてなんとも贅沢な観戦となりました。

試合は谷選手もスタメンで登場!
しかも!チーム初得点となる2ポイントシュートを、得意のコーナーから決めます!
“エレガントシューター“との異名を持った谷選手らしいシュートが決まると、試合は終始ストークスリードで展開。
川辺HCの掲げる”ウイニングカルチャー”にこだわったチームバスケは、PG(ポイントガード)の寺園脩斗選手を中心に、ヨーリ・チャイルズ選手とルーク・メイ選手がゴール下で奮闘し、得点を重ねていきます。

それ以上に、この日は谷選手がほんとうに奮闘しました!
後半もスタート時にコートに立ち、シュートだけでなくリバウンドも取りに行く果敢なプレーで、チームに活気をもたらしてくれました。
ゲーム終了間際にも3ポイントのチャンスにボールが回り、シュートを放ちます。
惜しくもリングに弾かれ得点とはなりませんでしたが、最後の最後まで谷選手に注目が集まる試合展開で、神戸ストークスが勝利しました!

神戸ストークス 87 × 74 熊本ヴォルターズ
ストークスは無双の19連勝!
通算成績も53勝5敗とダントツの首位を維持しながら、この本拠地最終戦を締めくくりました。
リーグ戦は今週末のアウェイ戦で終わり、このあとはチャンピオンシップを目指すプレーオフに進出していきます。

谷選手はこの日のMEP(最優秀選手)にも選ばれ、まさしく谷選手が主役の一日となりました。

そして、試合後は引退セレモニーに。
いまや兵庫県を代表するプレイヤーともいえる谷選手。
出身地の川西市からは越田謙治郎市長も会場に駆けつけ、花束が贈られました。

谷直樹選手が大学を卒業したタイミングでストークスが発足したという偶然は、そのままチームの運命を導いたとも言えます。
ストークス発足時に選手のリクルートを展開していた中で、のじぎく国体に兵庫県代表で出場した選手を中心に選手の採用を進め、それが、谷直樹選手が大学を卒業する世代だったんです。
最初の入団者で、キャプテンを務めた中村大輔さん。
神戸西高校在学中にのじぎく国体に参加し、ストークスでは初代キャプテンを務めました。
この中村さんの入団を契機に、国体メンバーが続々とストークス入団を志し、谷選手や松崎賢人さんが入ったんです。

続いて、現在はストークスのクラブエバンジェリストとしてチームに携わる中西良太さん。
中西さんは初年度メンバーではないものの、谷選手とは同級生。
「15年という年月を続けられてこられたのは、谷がそれだけ頑張ってきたこと」
同級生の中で誰よりも長く、ストークスで戦い続けてきた谷選手の功績を讃えるコメントでした。

そして、やはり同級生であり、初年度からチームのエースとして苦楽を共にした松崎賢人さんと、祝福が続きました。

すごいゲストがやってきたとかはなかったのですが、同級生を中心に、かつてのチームメイトが集結した、なんともあたたかい空気の流れたセレモニーは続きます。

そして、渋谷球団社長からは、ストークス一筋の功を讃え、谷選手の背番号9番が、球団初の永久欠番となることが発表されました!!
最大級の労いであり、球団の歴史を刻むに相応しいはからいでしたね。

セレモニーのクライマックスは、谷選手のご家族が登場。
ここで、ご家族から谷選手へ「ありがとう」の思いを込めたプレゼントの贈呈がありました。

それが!
僭越ながら僕が製作した谷選手のイラスト作品でした。
冒頭のイラストはTシャツに、そして歴代ストークスユニフォームに身を包んだ、谷選手の歴史をまとめたイラストを1枚に収めたアートフレームが谷選手に贈られました。

思えば15年前、谷選手のお母さまが試合会場で僕に声をかけてくれたんです。
「谷直樹の母なんですけど、安藤さんに似顔絵を描いていただきたいんです」
このお声が始まりでした。
谷選手のイラストを、当時は手書きで2枚描かせていただいたのですが、それを見た松崎選手のご家族や当時の球団代表の目に留まったことがキッカケで、何度かストークスの球団オフィシャルでもイラストを描かせてもらうことになり、谷選手のイラストも、幾度とイラスト作品やオリジナルグッズにさせていただきました。
谷選手とともにストークスにイラストを提供できた。
これもまた、僕にとっても一つの歴史であり、実績であり、思い出なんです。
こうして谷選手の「引退」という大きな節目にも、記念となる作品を作らせていただいた。
とても感慨深く見届けさせていただきました。
ちなみに、このイラストは球団オフィシャルでも引退記念グッズとして発売が予定されています。

「15年間走り続けてこられたのは、ファンの方の声援があったからこそだと感謝しています」
「自分でも、30歳まで現役でできれば良いかなと思っていましたけど、皆さんが応援し続けてくれたので、ここまで走ってこられました」
「苦しいシーズンもいっぱいありましたけど、バスケットが仕事できることが、ほんとうに幸せなことで、幸せな競技人生が送れたのは、皆さんのおかげだと思っています」
終始あたたかい空気に包まれた谷直樹選手の引退セレモニーでした。
飾らない谷選手の人となりと、谷選手を支えてきた仲間、そしてご家族との関係を感じられるセレモニーだったと思います。
そしてセレモニーの当日の試合も、17分におよぶプレータイムで、谷選手の元気にプレーする姿が見られました。
満身創痍で、ほんとうに身体が動かなくなる選手もたくさんいますが、こうして「まだまだやれるんちゃう?」って思わされるくらい元気で、変わらずのプレーが見られる中で引退をするのも、選手にとっては幸せなことだと思います。
それでも、15年の現役人生の中で、幾多の骨折もあったし、怪我にも泣かされたバスケット人生でしたから、ほんとうに最後まで元気なプレー姿が見られて、誰よりも谷選手自身が試合を楽しんでいた。
それを見られたことが、なによりの思い出となりました。

セレモニーの締めくくりは、おなじみの勝ち鬨き!
川辺HCの「勝ったどー!」を、谷選手も先導して声を上げ、会場全体が喜びのなかで終了しました。
ナマ「勝ったどー!」も無事見られましたね。

先にも触れましたが、ストークスはB2総合優勝をかけたプレーオフ進出を控えています。
谷選手も最後までチームの一員としてまだまだ戦うので、それが終わって、来季に谷選手の姿がコート上にないことを見たら、ほんとうに引退したんだと思うのかもしれないですね…。
「B2優勝して谷さんを胴上げしたい」
選手もそれを目標に掲げて、残りの試合を戦います。
なので、あえてまだお別れの言葉はかけず、このプレーオフを、谷直樹選手の“最後のシーズン”としてではなく、ストークスの一員として戦う「今」を、しっかり見届けたいですね。
そしてその先に、B2優勝という最高の形で、
谷選手のキャリアが締めくくられる瞬間を、みんなで迎えられたら…。
きっとそれが、いちばん似合うフィナーレになるはずです。
最後まで、谷直樹という選手のプレーに注目です!
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スポーツイラストレーターT.ANDOH
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