スポーツイラストレーター T.ANDOH の「OUTSIDER’s ReCALL」(179)神戸ストークスが育てる「ウイニングカルチャー」 川辺泰三が描くチームの現在地

2026年3月13日(イラスト・文・写真/T.ANDOH)

こんにちは!
スポーツイラストレーターの T.ANDOH です。
神戸のプロバスケットボールチーム「神戸ストークス」は、B2リーグ優勝に向けて大躍進中!
その神戸ストークスを率いる川辺泰三ヘッドコーチ(以下HC)への独占インタビューが実現しました!!
今回は、川辺HCのインタビューの模様をお届けします。

場所は神戸のウォーターフロントに誕生したGLION ARENA KOBE。
その大きさ、綺麗さ、そしてロケーション。
あらためてストークスが素晴らしい環境でバスケットをしていると実感させられました。

「やっている僕らが興奮するくらいですからね。お客さんの期待や感動は、僕らも感じています」
沖縄、有明(東京)、名古屋など国内各地でトップクラスのアリーナが建設されていますが、関西では目下のところこのGLIONアリーナが唯一。
1万人を超える観客を迎えるこの空間は、Bリーグを長く経験してきた川辺HCにとっても、まさに「プロスポーツの舞台」そのものです。
来シーズンからBリーグは新トップリーグ「B.PREMIER」が始まります。
その条件であり象徴でもあるのが、こうした巨大アリーナです。
そのB.PREMIER参入が決定した神戸ストークスが、新ヘッドコーチとして迎えたのが川辺泰三さんでした。

「正直、計算できると思っていたのは寺園(脩斗)とヨーリ・チャイルズくらいでした」
就任当初のチームについて、川辺HCはそう振り返ります。
神戸ストークスは「タレントが揃ったチーム」とも言われていました。
しかし、B1経験者はいるものの、多くは主力経験が少ない選手たち。
B2で個の能力を発揮できても、システムバスケットにどこまで適応できるかは未知数だったと言います。

「無理やり勝たせている試合も正直ありました。でも、それでは強いチームとは言えない」
川辺HCが目指したのは、単なる勝利ではなく「頂点を狙えるチーム」。
その基準は明確です。

「B1は、何かやったらすぐにやり返してくるリーグです」
B2はまだ個の能力や流れでゲームを押し切れる場面もある。
しかしB1では状況の変化に対してすぐに修正が入り、素早く次の一手が繰り出される。
さらに戦術の引き出しの多さ、修正のスピード、そして選手の「遂行力」。
B2との違いは、作戦の数ではなく理解して実行できる力だと言います。
そのため川辺HCは、日々の練習で「B1基準」を徹底してきました。

「早く進める、早く戻れる。スピードは努力で作れます」
スピードとインテンシティ(強度)は鍛えられる。
考えて、早く動くことでスペーシングも優位に作れる。
その考え方は、チームテーマにも表れていますね。

 

「B2優勝」「日々成長」、そして「ウイニングカルチャー」。
単に強いだけでなく、勝てるチームの文化を作ること。
これが、川辺HCの掲げたテーマです。

「“ウイニングカルチャー”って、正味のところ既存の定義はないんです」
ただし、川辺HCの中には明確な”基準”があります。
プレーだけでなく、日々の姿勢、練習への向き合い方、どれだけエフォート(目標に向けて尽力)できるか。
そして、自分の考えをしっかりと持ち、アウトプットできること。
つまり選手一人ひとりの「オーナーシップ」だと言います。

「自分がうまくいかない時でも、チームが勝つための行動ができないのはウイニングカルチャーではないと思います」
だからこそ選手には、形勢が悪い時ほど役割にコミットすることを求めます。
たとえば練習でも、試合でも、選手同士が積極的に話し合って戦術の糸口を見出すよう推進する場面があるそうです。
そのうえで、川辺HCも自身のゲームプランを選手に提示します。

「ゲームプランの責任は自分が負う。だから遂行してほしい」
選手の主体性を尊重しつつ、
チームとして決めた戦術には高い遂行力を求める。
その文化は、少しずつチームに根付き始めているといいます。

「思っていた以上にバスケットIQの高い選手でした」
最も成長した選手の一人として、八村阿蓮選手の名前を挙げてくれました。
兄はNBAで活躍する八村塁。
期待値高く加入した阿蓮選手ですが、川辺HCの想像以上の存在だったそうです。
遂行力が高く、バスケットへの向上心も強い。
群馬時代はコーナーでの役割が多かったものの、
ストークスでは4番、さらには3番までこなす存在へ。
スコアリング、ボールプッシュ。
大きな相手がいればスクリーナーにもなり、そしてスペースが空いていればスリーポイントシュートも打てる。

多くの役割をこなすには高いバスケットIQが必要です。
ラウル・アルキンズ選手と共にプレーしていた時期には、戦術面でも精神面でもチームを牽引していたと評価しています。

そして1月には、ルーク・メイ選手が加入します。
オールラウンダーであるメイ選手は、リバウンドとトランジションでチームのテンポを引き上げています。
リバウンドからボールをプッシュし、オフェンスのリズムを作る。
実際に数字の面でもボール支配率が上がり、スリーポイントの精度も向上したそうです。
その加入により、ストークスはシーズン後半も、さらに洗練したバスケができています。

「カルチャーの完成には、まだ2~3年はかかると思っています」
川辺HCはそう語ります。
ただ、選手たちのオーナーシップは確実に高まっていると感じているそうです。
チームのビジョンは、3年後にB.PREMIERで日本一。
そのための「ウイニングカルチャー」の構築が、いまのシーズンです。

「プロになって成功すれば“人生を変える”ことができる」
それくらいハングリーになって良いと思うし、そのために何をするべきかを自主的に行動に移せるようになってほしい。
思いが変わり、行動が変われば、選手の質も変わり、いまのB1チームがそのまま昇格するB.PREMIERにおいても、引けを取らないチームになってくれることを、川辺HCはその「ウイニングカルチャー」として、いま構築しています。

しかし、B2チームとして定着していた過去のストークスから一転しB.PREMIERを意識した高い目標とそのための指導理念をチームに注ぎ、いまB2で圧倒的な強さを見せている今年の神戸ストークス。

シーズンは終盤。
プレーオフ優勝に向けて注目が高まる今日この頃ですが、川辺HCが考えるチームビルディングはこれからが見せどころ。
この優勝そしてB.PREMIER入りに向けたチームの成長をいま楽しめているブースター(ファン)は、一番面白い時期に応援ができていると思います!

ぜひこれからの神戸ストークスにも注目をしたい!
そして、川辺HCにはもう少し、自身の経緯やプロとしての思いについてもお話を聞きました。
そのお話は次回へ!つづきます。

 

 

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スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。
プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。
プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。
名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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