スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(14)熱血前のめりコーチ 辻竜太郎

2022年10月12日 (文・イラスト/T.ANDOH)

こんにちは

イラストレーターのT.ANDOHです。

いよいよ始まるクライマックスシリーズのファイナルステージ。

まさか2年連続でチャンピオンチームとして迎え撃つことになるとは、オリックスファンの誰も思いつかなかったことでしょう。

前回コラムの中嶋聡監督がポーカーフェイスなのに対し、

ベンチ外に出て試合を見守り、得点が入ればベンチの誰よりも大きなリアクションでガッツポーズを上げる。

「あれは誰!?」

そんな思いをした方も多いのではないでしょうか。

いまや「辻ガッツ」とも言われる熱血っぷりを見せるのは、辻竜太郎打撃コーチです。

優勝なんて・・・ムリムリ!

と言いつつ、なんで僕たちはファンとして応援しているのだろう?

そんな不思議な魅惑を持っていた暗黒時代のオリックスブルウェーブ晩年に入団してきた辻・・・もとい竜太郎選手。

当時は下の名前の「竜太郎」が登録名でしたので、僕たちにとってはいまでも「竜太郎」です。

名門社会人チーム「ヤマハ」で背番号1をつけて活躍していた時、

ちょうどプロアマ交流が解禁となって、ナゴヤ球場のドラゴンズとの練習試合でも、スコアラーの仕事で見ましたね。

その時から印象的だったのが「声」そして「リアクション」。

社会人野球って、すっごくエネルギッシュに野球を楽しんでいるので、竜太郎選手のような「声出し番長」的な選手がたくさんいました。

2001年のドラフト、契約金ゼロ円(一部)で14人という大量獲得で話題になった2002年入団組の一人です。

オリックス入団後は、いろんな打順を打ってましたね。

ルーキーシーズンから1軍にも出場し存在感を見せれば、忘れもしない2004年のシーズン最終戦となった9月27日の大阪近鉄バファローズ戦、

そう!

球団合併でチームが消滅する「ブルーウェーブ最後の試合」で勝ち越しの3ランをかっ飛ばしました。

ちょうど、仕事を定時で終わらせ、名古屋から新幹線で駆けつけた僕は、その竜太郎選手のホームランを、内野ゲートのスロープを上りながら耳だけで確認しました。

竜太郎の竜はドラゴンズの竜。

お父さんが中日ドラゴンズでプレーをしていたプロ野球選手でもあったことから名付けられた野球の申し子でもあります。

大阪に住む竜太郎選手のご両親は、ガラッガラのライトスタンドの常連客でもありました。

竜太郎選手の明るい性格とその熱血スタイルは、もう静かな静かなスカイマークスタジアム(現・ほっともっとフィールド神戸)でもよく目に入り、僕たちの心の支えになっていたのかもしれません。

そんな竜太郎選手は、球団合併で楽天イーグルスへ。

そして3シーズンのプレーののちに2008年からは独立リーグの道へ。

上田佳範選手に憧れて入学した松商学園のある”第二の故郷”長野県の信濃グランセローズに入団し、2014年まで兼任コーチとしてプレーしました。

コーチとして、選手としてもその変わらぬ情熱で野球に取り組み、とくに生活の保障も厳しい独立リーグで家族を抱えて野球に専念するために、チームの契約とは別に個人でもスポンサー契約をしては、帽子やストッキングにまでスポンサーワッペンをつけるなど、その野球に対する強い思いを後輩にも体現して見せつけていました。

2015年よりオリックスのファームコーチに。

そして、中嶋監督とともに1軍の舞台に上がってきたのです。

社会人、ファーム、独立リーグ、そして不人気時代のオリックス・・・

さまざまなハングリーな環境の中で、一途に野球に向き合い、全力で前のめりにチームを鼓舞してきた竜太郎コーチ。

中嶋チルドレンとなる若手の台頭を指導者として支えた竜太郎コーチにとっては、いまでもココロは現役なのかもしれません。

竜太郎コーチに送り出される選手たちは、その情熱に負けず応えて、この短期決戦を大いに闘ってほしい。

僕たちにとっては暗黒時代の明るい希望でした。

そして、その明るい希望はさらにキャリアを高めて、いまはチームを常勝軍団へ導こうとしています。

そろそろ僕たちも「オリックスは強い!」と自信を持っても良いのかな。

「何言ってるんだ!しっかりしろよ!」

と、

竜太郎に励まされる思いのオールドファンです。

誰よりも熱く、誰よりもテンションの高い、竜太郎コーチのガッツポーズがたくさん飛びだせば、きっと日本シリーズへの道も拓けてくるでしょう。

 

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スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。

プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。

オリックス・バファローズには伏見寅威選手、中川圭太選手にロゴデザイン、イラスト提供中。

名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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