南 郁夫の野球観察日記(236)エスピで、涼をとる

2026年8月6日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

酷暑すぎる。残酷暑。これはもう、我々が知っていた夏ではない。ほかの、なにか。この異常事態が終わるまで、クーラーの効いた部屋にこもりたいが(ほぼこもってるが)、専属カメラマンの「京セラ行きまへんか?」の誘いに、うっかり「いぐ」と答えてしまう。この時季、青空球場愛好家あっさり返上。涼しいドームなら、たまには外出してみたい。

最寄りの駅にさえ、たどりつけば。あとは日差しを避けて京セラドームに、行けるはず。家から駅まで10分もかからないのだが、日陰を選んで右往左往してたら汗だくで、ほぼ失神。夕方なのに気温35度って、どいうこと? 見慣れた町がサイケデリックに歪んで見える。

電車に乗ってしまえば(弱冷車両に乗らないように!)、だんだん正気に戻ってくるのだが、いろんな人種が入り乱れた、どんがらがっしゃん大阪での乗り換えでは、また汗だく。みんな、なんでそんなに元気なの? 熱帯種族なの?

ようやっと最寄りの地下鉄駅「ドーム前千代崎」に到着。そのままエスカレーターで地上に上がらず、イオンの地下出入口に回り込んでイオン2階から外に出れば、ほぼ日に当たらずに入場ゲートに到着できるよ!幸い平日で入場行列もなく、熱心な手荷物検査員にも当たらず(笑)、すぐに空調の効いたドーム内に滑り込んで、ほっと一息。85日(水)楽天イーグルス戦。

涼しっ。外界が嘘のような涼しさで、これなら家の環境と同じ。すっと汗が引き、ドームの空調設備てすごいなと思う。同じドームでも、ベルーナで頭から水かけられるのに比べたら、天国だよ京セラドーム。

さらに。マウンドに上がったエスピノーザのグラブを見て、涼しさ倍増。背景フェンスに記された高校名の一文字「涼」と重なって、夏の夜をひんやり彩る、素晴らしい色づかひ!

試合も引き締まった「清涼な」投手戦で、両軍ノーエラー、四球も少ないテキパキ展開で、8時半にはオリッが勝ってるという、涼しい内容。こってこての脂っこい乱打戦も大好きだが、暑さがピークのときは「冷やそうめん」のような試合もありがたい。それをクーラーの効いた環境で楽しめるのだから、最高である。

そんな試合にしてくれたのは、エスピノーザのクールな投球のおかげ。長打(飛球)を打たれない究極の投球術はこの日も冴えわたり、楽天打線はゴロを連発。内野陣(ギボちゃん!)もこれに応えてよく守り抜く!龍馬の初回のソロホームラン以外は地味いな追加点で、僅差を椋木、マチャドがビシバシ守るという、「いかにも」強いときのオリッ・パターンが、Mr.QSエスピ先発試合では成立するのだ。

「マクド」みたいに「エスピ」という略称がすっかり関西人に定着した、アンダーソン・エスピノーザ。この日で早くも10勝を達成した、今のオリッに不可欠存在。実力に加えてその人懐っこいキャラが相まって、もう誰も彼を外国人選手とか思っていないのがすごい。ファンが親しみを込めて叫ぶ「エスピ」「エスピ」は友達を呼ぶかのようなノリで、溶け込み方が半端ないのだ。

なんといっても、流ちょうな関西弁が規格外。「ドモアリガト」くらいはどの外人でも言うが(Styx”Mr Robot”… 知らん?)、愛がこもったヒロイン恒例の関西弁メッセージは、前代未聞だろう(バルボン以来?)。「その国が好き」と「その国の言葉を学ぶ」は熱量がまったく違う。そんなエスピを我々は、愛さざるを得ないのである。

エスピにいろんな意味で「涼」をもらった、この日。ドームを出たら、ちょっと冷えた身体に心地よい夏の夜。前を行くのは楽天・村林(堺市出身)のご両親?とか妄想しながら、清涼な気持ちで帰路に着けた。

まだまだ試合は残っているし、オリックスにもまだ「なんらかの」可能性が残されてはいる。ドームに足を運びましょう。涼しいのだけは、保証しますので。

 

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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」

 

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