南 郁夫の野球観察日記(203-1)神戸シリーズ2025~がんばろうKOBE 30th観察記
2025年6月2日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)
今年も神戸開幕の日がやってきた。例年よりずいぶん遅く。5月31日(土)、6月1日(日)の両日、相手は復活を果たした西武ライオンズ。そして今年は「あの日」から30年ということで、神戸開催全6戦で1995年ユニ着用なのだとか。やっと野外で一軍公式戦が見れる上に、ブルーウェーブ復活とわ!待った甲斐(野)があったというものである。
ちなみに神戸市もこの企画に呼応。市役所の花時計がブルーウェーブのロゴマークになっている、ということで専属カメラマンがわざわざ撮影してきてくれたので、ここに掲載しておく。で!全くの偶然なのだが、彼が撮影したのが「その時刻直前」(撮影は午後だけど)で、ちとびっくり。当事者全員が生涯忘れない、その時刻。
あの日のその時刻のことは、書籍「野球観察日記」に記録されているのでぜひお読みいただきたいが、普段すっかり記憶が消えてるのにBWロゴを見るとちゃんと蘇える。明らかに「紐づいて」しまっている。とはいえ、さすがに30年を経過してこの日のビジョンに映される当時のチーム映像は「歴史ドキュメンタリー」にしか見えず、隔世の感はある。もちろんそれでよい。遠い記憶… 神戸はがんばった。
イベントの趣旨は趣旨として、とにかくBWユニはカッコ良いから神戸だけと言わずもっと使おうよ、て話である。なんだかチームが生まれ変わっとるではないか。特に「しゅっ」とした体型の選手にめちゃ映える(森が似合わないとは言ってない)。「空と海とが呼び合って♪」「飛び乗って行くのさ空の果てまでも♪」な色使い!いまだに斬新。売店では、BWを知らないであろう多くの若者ファンがレプリカ・ユニを買い求めていたのだ。
5月31日(土)
始球式に往年のエース・星野伸之氏が登場で、場内どっと盛り上がる。キャッチャー役に元(#27)、バッター役に麦谷(#8)が選ばれたのはそれぞれ背番号で中嶋、藤井を連想させる演出か? ならば元は、ボールを素手で取るべきだった。
神戸開幕にふさわしく、先発は宮城と今井という「特A」クラスの投げ合い。(ちなみに昨年の神戸開幕は宮城と佐々木朗希)宮城と今井なら終了予定時刻は8時半!と踏んでいたが、両投手の「ちょっとしたほころび」で試合はもつれ、ブルペン総動員。ついに時計の針が10時を超えて「南大阪の人、電車なくなるで」になった、延長11回裏2アウト。
誰もが延長12回かと思いかけたその瞬間、野口智哉の「思いっきり流した」打球は、最短距離でレフトポール際の最前列へ着弾!興奮のあまり驚くほどのスピードでダイアモンドを駆け抜けた野口を待っていたのは、いつの間に打ち合わせしたのかチームメイトの「サイレントトリートメント」付の爆笑祝福。
野口が、ついに大仕事をやってのけたのである。いつも不敵な笑いを浮かべて「やってくれそう」な彼も、やらないまま(笑)で4年目。大事な今年、ついに大仕事をやってのけたのだ。私は入団時から注目していて「2023年を引っ張る男」に指名したほど。右の太田・左の野口の「むちむち」コンビがチームの将来を担うのは間違いないので、野口はさらに実績を積んで、太田が復帰してもスタメンを張ってほしいところだ。野口はどこでも守れるので!あ、それは廣岡もか。(うれしい悲鳴)
6月1日(日)
この日の先発はオリッ・曽谷と西武・與座ということで、昨日よりは打撃戦になるのかな?と思いきや、連日の締まった試合展開。同点で迎えた最終回にしぶとく決勝点を挙げた西武が連敗を阻止して、神戸開幕シリーズは仲良く1勝1敗。リーグ2位と3位と拮抗する両チームの現状に相応しい結果と試合内容で、お互い交流戦へのエールを送った形となった。
それにしても、西武は昨年の不振から見事に復活。ファンもはっきりしたもので、昨年では考えられない人数と熱量で応援を送るなか、ようやくブレイクした西川愛也の同点ホームランは中心打者の風格だったし、前日、野口にサヨナラ弾を浴びた若干21歳のセットアッパー・山田が素ん晴らしい速球でリベンジを果たしたのも、あっぱれだった。
オリッでは「BWユニ似合う男子・No.1」と私と専属カメラマンが勝手に認定した廣岡が、ミスはするわ(笑)逆転ホームランはかっ飛ばすわ、一人で大活躍。まあとにかく、見ていて楽しい選手なのである。交流戦でのセ・リーグ凱旋に本人もワクワクしているだろう。
というわけで、神戸にブルーウェーブが帰ってきた2日間。この緑と青空の球場を連日「満員御礼」にしたファンがブルーウェーブを何の違和感もなく受け入れ、7回攻撃前にみんなが普通に「リトルネプチューン」を口ずさむ光景を見るにつけ、大阪バファローズと神戸ブルーウェーブは別のチームじゃないの?みたいな、おかしな気分になってしまった。
で。外野席を検分していた私は、すごいファンを発見。こいつら趣旨をわかってへんやないかーい!の「背番号斜体」時代の谷ユニの2人!君らええのん持ってるやないか!私が復刻してほしいのは、実はこっちの(一部で暗黒時代ユニと呼ばれている)BWユニなんよねー。無理かー。
さて。一部情報で私の多額の寄付により(嘘つけ)球場の改修が始まっているという噂があったのだが、球場内は一見「なーんも変わらん」様子であった。塗装剥げかけの椅子などはそのままで、球場はまだちゃんと昭和の佇まいを残していたのだが、変わっていましたここだけが!
「一塁側男女トイレ」(1階)の改修だけは完成していて、すでに稼働中。初日の試合前練習取材をさせていただいた関係で、ファンの皆様に先立って利用させていただいたのだが、まさかこの球場で「ウォッシュレット」が使える日が来るなんて(そっちをしたんか!)と、うるうる涙ながらの用足しである。トイレ以外は昭和。トイレに足を踏み入れた瞬間、いきなり令和にタイムリープしたような不思議な感覚を、皆さんも味わってほしい。
他の改修は今シーズン後なのか? まさか一塁側トイレで終わり? それはそれで笑えるけど。とにかくこの球場が存続してくれたら、私はそれでいいのである。
次ページは、専属カメラマンによる試合前練習取材を含む写真集を、どうぞ。みんな、BWユニ似合ってるなあ。
Yasutomoの野球観察写真集・神戸シリーズ2025<BWユニ編>
Yasutomoの野球観察写真集・神戸シリーズ2025<試合前練習編>
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南 郁夫 (野球観察者・ライター) 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」 |
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