南 郁夫の野球観察日記(192)がんばろうKOBE 30th

2025年1月25日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

あれから30年。神戸は十分「がんばっ」て、表面上は復興を遂げた。私ものんびり三宮でカツ丼食ったりして遊べてるわけだが、地震当日は「これはもう100年は無理」としか思えず、復興なんてとてもじゃないが想像すらできなかった。個人的体験談は拙著「野球観察日記」に記しているので、ぜひお読みいただきたい。改めて、犠牲になられた方々に追悼の意を表したいと思います。

ブルーウェーブ時代に震災復興の象徴となったオリックス球団は定期的に(ここ最近は5年おき)「がんばろう神戸」シリーズを行っており、節目の今年も「神戸シリーズ2025~がんばろうKOBE 30th~」として開催を発表。神戸での全試合で復刻ユニフォームを着用してくれるらしい。あの球場で、あのユニなのだ。それだけで遠い目になる。ま、全試合ったって、たった6試合ではあるが(涙)。

時を同じくしてイチローの日米野球殿堂入りも発表され、心の湖の底がまた「きゅん」と鳴る。私の脳裏のイチローは、あくまであの「がんばろう神戸」ユニを着て、レフト線を破る優勝決定打を打って飛び跳ねている。白とブルーと黄色は復興の色となり、神戸の人々の心に永遠に刻み込まれている。そこまでの意味を持つユニフォームは、なかなかないだろう。

しかし30年も経ってしまえば、想いを共有する人の数が減るのも必定。若者には1995年の記憶はないのだし、実際に今年「がんばろう神戸」ユニを着用する選手のほとんどは「そうすか」程度で、特別な想いはないだろう。でも。ブルーウェーブ経由のオリックスファンにとっては、それもまたいいのである。

無自覚にあのユニを着てプレイする選手を見て、あのころのブルーウェーブを反芻する。ラオウは高橋智で、中川は田口壮? 薄目で見れば西川はイチロー? ちっこい内野手はGM? とか。そんなタイムループ的ゲーム感覚で野球を見たり、ユニが似合う選手、似合わない選手を評したり、なかなかいろいろに楽しめるわけだ。

そんな神戸での試合を観戦する模範スタイルは、以下のとおり。

5年前の「がんばろう神戸」シリーズのNHK中継でエピソード付きで抜かれた、私と専属カメラマンの勇姿である。こんな「飛んで火に入る」よな格好をしていれば(私はD.J.のTシャツ!)そら取材も受けるわいなちう話であるが、事前取材でトリビアネタを提供して取材者を爆笑させていたのに、実際の放送ではNHK的小市民話にまとめられてしまった。まあそんなものである。惜しむらくは、この時点でまだ私の本が出ていなかった…。

さあ、皆さんも今からどんな格好で行くかを熟考し(復刻ユニの販売もあるようなので)、ぜひ神戸開催試合に足を運んでいただきたい。

で。宮崎キャンプでテストするという、ジャリッド・デールが入団して出場してくれたらとても嬉しい。ボイス・ナビゲーターの神戸さんは、DJ木村の「ニール!」と同じ口調で「デール!」とコールしてくれるはずだから。


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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
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