スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(101)神戸”新時代”に向けて転機を迎える神戸ストークス

2024年7月23日 (イラスト・文/T.ANDOH)

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
2022年の7月に始まったこの「OUTSIDER’s ReCALL」の100回企画!
オリックス・バファローズに続いて、プロバスケBリーグ、神戸ストークスへの思いに今回はお付き合いください。

2011年に兵庫ストークスとして誕生した神戸ストークス。
ストークスとの出会いもじつはオリックスがきっかけだったりします。

チームを立ち上げた初代社長田中浩一氏はオリックス球団の出身。なんと!
ほっともっとフィールド神戸のフィールドシートを考案した方なんです。
田中氏はオリックス退社後に大阪エヴェッサでプロバスケの世界に入り、のちに神戸ストークス球団社長となった北村正揮氏とともに兵庫ストークスを立ち上げました。

まだBリーグ発足前。
しかも2011年は東日本大震災がありました。
ストークスもこのままスタートさせて良いのかという葛藤が首脳陣の中にもありましたが、各地にプロバスケのチームが出来上がる時期でもあった当時。
先の読めない世の中でも神戸も被災地として、バスケで街を元気にしたいという“夢”はありました。

そうして「オール兵庫」を掲げて始動したチームは、ほんとうにヒヨコのようなチームでした。
兵庫ストークスの1期生は大学生新卒の新人が中心のチーム。
谷直樹、松崎賢人、中村大輔、高松英治といった兵庫国体のメンバーが集まったチームでしたが、決してみな強豪校で名をならした選手ではありませんでした。
プロキャリアももちろんない選手が中心のチームでしたが、それでも彼らの成長と、上を見るしかないチームの気運は見ていて楽しかったですね。

日本リーグ(JBL→NBL)2部に初年度でファイナルに進出し3位。そして翌年は優勝を果たし、1部入りを果たします。
2部で優勝した2年目に入ってきたのが中西良太選手と道原紀晃選手。

そうです。
いまの神戸ストークスでもチームリーダーとしてチームを牽引している谷・松崎・道原・中西といったベテラン選手は、もう10年以上前からストークスを構成する中心にいました。

チームはBリーグ発足前年に西宮に移転。
B2リーグでスタートしたBリーグでも初年度に優勝。
1部昇格を果たしますが、1年で降格という苦汁も飲みます。

Bリーグとなり、リーグ自体のレベルが急速に底上を果たしました。
いまパリ五輪にまで出場するような選手たちが出現したのも、間違いなくBリーグが財政的、環境的にも劇的に飛躍をした結果です。

強くなったから人気が出てきた。
僕は全てがそうじゃないと思います。
人気が出て、かつ強くなる要素を両方、リーグをあげて強化して、選手とチームはかなり頑張って底上げをしてきました。
僕らもついてけないくらいの勢いで。

そんな急成長に必死だったのはストークスも然りで、西宮移転の理由も1部リーグ入りを目指して巨大アリーナを建設するためでした。
西宮市が誘致したアリーナ計画も結局は頓挫。
チームも急成長するリーグのなかB2リーグで苦戦します。

さまざまな選手が入れ替わり、のちにリーグを代表する外国人選手も何人か登場しましたが、フランチャイズプレーヤーである谷・松崎・道原・中西の4選手は変わらずチームの中心にいました。

どんどん急成長するリーグ、そして他チームに勝ち残るため、この4選手も本当に必死だったと思います。
その必死の戦いは兵庫ストークス黎明期と重ね合わせてしまいます。

2部の下位チームにもボロ負けだった初年度の初期。
それでも選手たちは若さとその可能性で乗り越え、大きく実らせました。

その当時とは条件も変わっています。
成長のために“血を入れ替える”ことも組織の常ですが、ストークスはあえてこのフランチャイズ選手たちに将来を預けて戦いました。

そんななかで浮上した「新アリーナ建設」そして神戸移転。
いよいよBリーグの新基準に向けて、新たな転機を迎えます。
ストークスにとっては、神戸は新たなフェーズでもあり、原点回帰でもあります。

そして神戸移転初年度を戦いぬいた昨季の2023-24シーズンをもって、1期生松崎賢人選手が引退をしました。
いつかは迎える“引退”ですが、松崎選手の引退は感慨深いです。
新人の頃からずっと見てきた選手ですからね。

そして、これも新たなフェーズの一つなのか。
一時代が変わる瞬間でもあるんです。
そんな時代がいよいよ来たかという寂しさもあります。

しかし、谷・道原・中西は来たる新シーズンもストークスで戦います。
僕は、移り変わる時代の中でも、やっぱりこのフランチャイズ選手には期待をしたい。
すでにチームリーダーとしてチームを牽引するベテランに至ってはいますが、Bリーグの荒波を全力で受け止めている彼らには、まだまだ新たな歴史を刻むキャリアをもっている。

とくにキャプテンの道原紀晃選手は178cm69kgという小柄ながら、抜群の身体能力と天性のバスケセンスでその荒波を乗り越えてきました。
特出すべきは、11年前とほとんど体型も変わっていないんですよね。
それもまた天性の能力の表れなのか。
そしてまだまだ攻撃の要として君臨しているのもすごいことだと思います。

ストークスが神戸から日本を代表するチームに成長するためには、フランチャイズ選手たちの経験とチームへの愛着が若い選手たちにも伝わって、次代を築いていくのだと信じてます。

来年夏にオープンする神戸ベイエリアの新しいランドマークGLION ARENA。
ストークスは次の次のシーズンからここで戦うことになります。
新時代を迎えるためには今秋から始まるシーズンの戦いがポイント。
ぜひチーム大きな転機を迎えるこの時期の、チームの成長とベテランの活躍にも注目してみてください。

 

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スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。

プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。

プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。

名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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