スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(1) 日本一のボールパークに描いたスポーツイラストレーターの第一歩

2022年7月14日 (文写真・イラスト・文/T.ANDOH)

2001年の2月

僕はひとり、肌をつんざくような北風のグリーンスタジアム神戸にいました。

はじめまして。スポーツイラストレーターのT.ANDOHと申します。

名古屋を拠点にスポーツをテーマとしたイラスト作品を創作しながら、毎日オリックスの試合をテレビで見守っているオリックスファンです。

そして時々関西にも足を運び、現場で目で耳で感じる「野球」のもたらす感動を楽しみに過ごしています。

名古屋でスポーツのイラストを主に描いている僕が今回「K!SPO」に寄稿する機会を頂いたのは、そのスポーツとイラストにおける活動の原点が、オリックスと神戸にあったからです。

そんな外の人間=OUTSIDERである僕が見てきた神戸の街の景色や、オリックス・ブルーウェーブからバファローズへの変遷の思い出。

サーパス神戸の誕生と自分の変化。

そして、スポーツが与える感動とは何か。

その感動を何か自分らしく多くの人に伝えたい。

そんなことを考えているいまの自分に至るお話を、皆さんにお伝えしたいと思います。

話と時間を戻しましょう。

グリーンスタジアム神戸の内野コンコースのデッキは、つねに陽のあたらない日陰です。

グリーンスタジアム… 現・ほっともっとフィールド神戸の内野スタンド。

チケットを改札しスロープを上ると、たくさんの人やイベントのためのテントが立ち並ぶその広いひろいオープンデッキに立つでしょう。

心ワクワクさせてスタンドに急ぐ皆さんの足元に、大きな絵がいくつか描かれているのに気づいている方はどれだけいらっしゃるでしょうか。

そのオープンデッキに、20年前に僕も一つの大きな絵を描きました。

今では一部が剥げてしまい、むしろ醜い痕跡にしか見えないかもしれません。

なにしろ、年に何百万人という方に「踏まれて」きたからです。

イチロー選手が去った2001年。

オリックスは、リーグを連覇した時の盛り上がりやイチローフィーバーも落ち着き、その下降していく球団人気を回復すべく、大幅なイメージチェンジを図りました。

あの殺風景な陽のあたらない北向きのオープンデッキに、当時大きな絵を描いて彩ろうと、球団が執筆者を公募。

そのコンテストに選ばれ、一辺が5メートルある絵を描きました。

選手は宮古島にキャンプでお留守。

グラウンドにはときどき暖かい初春の陽差しがキラキラとスタンドや芝を照らしている中、グラウンドに敷かれた工事のためのシートや、90センチくらいの低めのフェンスの束をも照らしていました。

そうです。

フィールドシート、低い内野フェンス、内野まで敷き詰められた人工芝。

オリックス球団が現在も「世界に誇る日本一のボールパーク」として自慢に掲げる「ボールパーク」に改造している最中のことでした。

僕は幸運にも「グリーンスタジアム神戸 神戸球場」という大きな看板がある球場正面となる場所に描かせていただきました。

いまはブルベル(オリックス・バファローズのマスコットであるバッファローブルとベル)のフォトスポットが設置されている場所の「地面」に、僕の作品はあります。

「ここは、どちらかといえば三田の天気やからな(笑)」

「港町神戸」とは程遠い、あの郊外の丘陵地のスタジアムは、とにかく寒い。

あの名物球団スタッフの花木聡さんからそう笑われながら、僕がひたすら5メートルの白い地面に腰を落としあぐらをかきながら、ペンキを塗る筆を走らせていました。

尻は冷え、北風が身体を冷やし、スタッフが大きなコンテナのゴミ箱をつい立てに置いてくれましたが、焼け石に水…

いや、その表現を当てはめるだけでもまた身体が冷える(苦笑)。

[

吹雪が当たり、乾いていない部分が雪解け水で流され、描き直したこともありました。

周りにも、他にコンペで選ばれたグループや学校の美術部の子達がたくさんいましたが、僕はひとり。

制作が間に合わない僕は1週間のオプション… というか居残り滞在をさせてもらい、凍てつく寒さの中、3週間をかけて絵を描き上げました。

新たな「ボールパーク」という、現在に至るプロ野球の魅力を提唱することになった日本一の球場の魅力の一つとして、その「ボールパーク」の雰囲気を伝える作品を、僕は描きました。

僕にとってデビュー作品。

そして、1メートル以上の大きな作品を描いた、最初で唯一の作品です。

来月もほっともっとフィールド神戸でオリックスの公式戦がまた予定されています。

ぜひ、読者の皆さんには一度足元に目を向けて、その絵を探していただきましょう。

そして

次回はその絵を描く動機となったことと、それが、なぜ神戸やオリックスだったのか。

そんなお話をしながら、僕なりの野球に対する雑感やスポーツイラストを展開する自身のビジョンについて、皆さんにお伝えしたいと思います。

 


スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。

プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。

オリックス・バファローズには伏見寅威選手、中川圭太選手にロゴデザイン、イラスト提供中。

名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

Twitter でK!SPOをフォローしよう!