スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(92)オリックス沖縄開催と地方開催試合の楽しみ

2024年5月19日 (イラスト・文/T.ANDOH)

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
なかなか上昇気運にもっていけないオリックス・バファローズですが、今週末の京セラドームまでの間は遠征が続きましたね。

5月14日、15日は沖縄でオリックスと千葉ロッテの試合が開催されて、14日は大雨によって残念ながらコールドゲームで試合を落としてしまいましたが、スコールのような大雨が急に降ってくるところはさすが南国・沖縄らしかったですね。

14日のゲームではご当地出身の宜保選手がスタメンで起用されました。
やはり沖縄出身の宮城投手がまさかの故障者入りしてしまって、大城選手や比嘉投手も二軍調整中。宜保選手は
「宮城や先輩の分も」と奮起して初安打。
出身地の豊見城(とみぐすく)市は那覇空港のある街でセルラースタジアムにも近いですから、親戚、友人がたくさん集まったなかで、途中出場した15日の延長戦でも意地を見せてくれました。

オリックスの沖縄開催は8年ぶり。
じつは、その8年前の沖縄での試合は、たまたまですが僕は現地で観戦することができたんです!
イラストのお仕事で沖縄のプロバスケチーム「琉球ゴールデンキングス」とお付き合いがあったので、キングスへの訪問をこの試合に合わせてスケジュールしました。

その際はご当地選手として大城選手がやはり試合にも出場して、大いに沸きました。
地方球場で試合があるというのは日本独特の文化ですね。
普段気軽に球場に足を運べない地域に住むファンにとって、地方開催はまさしく「お祭り」です。

たとえば沖縄のセルラースタジアム那覇では、ワンカップの泡盛が売ってるんですよ(笑)。
試合もちょっと遅めの18:30試合開始でしたから、試合前からやれ泡盛だ!オリオンビールだ!と観客の皆さんはお酒で盛り上がり、大城選手が出てくれば、球場の各所から指笛が飛び交う・・・

セルラースタジアム那覇は那覇の市役所や国際通りがあるエリアからは歩くと20~30分はかかる場所ですが、試合終わったらみんな歩いて繁華街に向かい、そのまま日付を越える夜半まで、街は賑わってましたね。
その光景を知ってる僕も、しっかりと沖縄の夜を堪能いたしました(笑)。

沖縄は春季キャンプの開催地でもあるため、野球熱は高いですよね。
逆にプロ野球に縁の薄い地域にとっては、年に一・二度のプロ野球開催はワクワクするものでした。
たとえば名古屋生まれ、名古屋育ちの僕にとっても、パ・リーグの試合は年に何回かのお楽しみでしたね。

僕が子供の頃は、当時のナゴヤ球場で近鉄バファローズが年に3カードほど主催ゲームをしていたんです。
名古屋にも近鉄電車が走ってますから、近鉄沿線の催しとしてバファローズの試合が組まれていたんですよね。

時代がくだると、イチローさん全盛期のときはオリックスも名古屋で主催試合をしていました。
名古屋はイチローさんの故郷でもありますし、ちょうどイチローさんとオリックスの躍進の時期にナゴヤドーム(現・バンテリンドームナゴヤ)ができたので、商圏として双方ともにメリットがあったんです。
おかげさまで年に10試合以上パ・リーグを見ることができたし、ひと昔前のパ・リーグですから、観客との距離感も近くて、ブルペンに子供が集まっては選手がボールを投げ込んでくれたりサインを書いてくれたり・・・
なんて楽しみもありましたね。

のちにセパ交流戦が始まって、パ・リーグ自体にも人気が出てきていまに至ります。
ところが地方開催自体も少なくなりましたよね。
リクエストのルールなどもできたおかげで、環境が安定しない地方球場が敬遠されることにもなっていると思います。
あとは交流戦も開催されたり、交通手段等の発達などで地方で開催する要素も減ったということでしょうか。

加えてリーマンショックなどの不況、コロナ禍といった社会的背景も後押ししたのでしょう。
便利になった一方で、地方球場ならではのアットホームな光景は見られなくなってしまいました。
それでも、
便利になった部分を活かせば、昔は地元の百貨店やプレイガイド、主催をする新聞屋さんなどでしか購入できなかったチケットも手に入るようになりましたし、交通機関やホテルなどもインターネットで簡単に取れるようになりましたから、地方試合を見に行くこともできるようになりました。

いまでもプロ野球が開催となるとはりきって街おこしを行う市町村などもありますし、そんな街おこしを通じて地方を旅し、その地域を知ってお金を落とす・・・
そんな行動もまた野球活性や地域活性につながるのではと思います。

かくいう僕も地方球場の独特の雰囲気に浸りたくなることもあります。
そもそも名古屋から大阪・神戸に出かけるのも、普通の人からしたらかなりの”イベント”ですけど(笑)、同じ遠征をするならと旅の計画を練ってみたりすることがあります。

神戸や大阪のファンの皆さんも、たまには”あえて”地方球場の試合を見に観戦旅行を計画するのも良いのではないでしょうか。
そして土地に触れ、ご当地の美味しいものを食べて…
見識を広げるのもまた野球の楽しさと思います。

 

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スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。

プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。

プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。

名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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