南郁夫の野球観察日記（128）オリックス2年連続日本シリーズ進出決定！フォト日記

2022年10月16日（文／南　郁夫、写真／Yasutomo）

10月15日、オリックス・バファローズがなんと2年連続の日本シリーズ進出を決めた。こ、これは令和の黄金時代到来なのか？　25年待ったのはなんなのか？　んなことはともかく、アドバンテージ（公式＋山本）含めてオリックス3勝、ソフトバンク1勝で王手をかけた第4戦の京セラは、もちろん満員御礼っ！

トイレ待ちにぐるぐる何重にも行列ができ、係員が「トイレの最後尾はこちらです！」と叫ぶ異様な状況のなか、試合は厳かに始まったのである。さすがポストシーズン、審判の数がわらわら多いぜ！

ファイナルなのに「ファーストステージ」の広告、紛らわしいけど会社名なんだろうから、仕方ないぜ！

この重圧のかかる試合の先発は、満を辞しての山岡泰輔。珍しく闘志むき出しの山岡はテンポよく昨日の勝利で勢い付きそうなソフトバンク打線を抑えていたが、打球が足に当たるアクシデントで4回で緊急降板する。

ソフトバンク先発の和田も好投しており、ちとばかし暗雲立ち込めたオリッを救ったのは、やはり超高性能バッター・吉田正尚。4回裏に飛び出した上段席への先制2ランは、マジで見たこともないとんでもない当たりで、一気に球場のムードが盛り上がる～！

4回で山岡が降板したことで、回またぎで2イニング投げることになった最強の2番手・宇田川優希の投球がまたすごかった。後がなく必死のソフトバンク打者を軽々と抑えていくのだ。ある意味このシリーズの影のMVPと言ってもいい圧倒的な存在感を示すこの投手はご存知のようにちょっと前までは育成選手・・・そんなことあるんかいな？　と驚くばかり。

しかしオリッも2点ではなんとも心もとない。6回に2死ながらチャンスを作って「なぜか得点機で回ってくる」頓宮裕真が放ったセンター越え大飛球で「待望の追加点！」と誰もが思った瞬間、なんと後ろ向きのジャンプでこれをもぎ取った牧原大成のウルトラ・ファインプレー！これが流れを変えたような気がしたのは私だけではなかろう。しかも場内に流れるのはラッキーセブンの「若鷹軍団」♪

しかし、そこに立ち向かうのはすっかり「たくましく」おなりになった、颯一郎さまっ。160キロを出したときには場内騒然となったが・・・ああ、そこに落とし穴が。デスパイネに同点2ランを食らってしまうのである。でもそのあとは立派に立ち直って2イニングを投げ切る、颯一郎さまっ。

９回表は「家から歩いてきた？」大正区出身の阿部翔太がすっかりシン守護神の風格でソフトバンクを抑え込み、2-2のまま9回裏へ。それにしても、オリッのブルペン陣は素ん晴らしい。なぜか9回表には安達がファースト守備につき、オリッファンざわつく。

そしていよいよ9回裏！満員御礼の場内が「サヨナラ」「サヨナラ」と淀川長治（←若い人知ってる？）のように願うなか、モイネロから若月健矢のヒットなどで2アウト2,3塁のサヨナラのチャンスを作るオリッ！決めてくれっ。延長は・・・しんどい。そこで登場するのがこの男、昨年は優勝の輪の中におらず悔しい思いをして、今年ついに本格的ブレイクを果たした「無敵の中川圭太」なのであるっ。

「この男にこそ決めてほしい！」スタンドのみならずベンチも祈る中・・・

決めた！中川圭太が決めた！彼らしいバットコントロールで渋いサヨナラヒット！ついに、ついに中川圭太がファンの記憶に永遠に残るヒーローに登り詰め、オリックスが2年連続日本シリーズ進出決定を決めた瞬間である！

H 000 002 000 | 2

Ｂ 000 200 001X | 3

星勘定以上に苦しかったこのシリーズを乗り越えた選手たちの喜びが爆発！私も2年連続でこの瞬間を京セラで見ることができて、感無量。ここうん十年のことを考えると、なんだか嘘みたいな気がいまだにするけれどもっ。

まあそれにしても、やはりソフトバンクは手強いチームだったなあ。シーズン勝率が同じなんだから当たり前だが。また来年、会いましょう。（千賀以外）

試合後は胴上げをはじめとするいろんなセレモニー。なんだかこういうのも見慣れちゃった気がするのは、思い上がり？　こういうのもまた幻のようなもんで、それを懐かしむ日が「遠からず」くるのかなあと思っちゃうのは、思い下がり？

とにかく今宵は喜びに浸りましょうぞ。

今年こそ日本一！といきり立つなかれ。日本シリーズはまた別のギフトとして、楽しめばいいのである。

私は現地観察予定はないので、この日が今年の野球観察納めであった。今年も終盤にこんないい目をさせてくれて「ありがとう」とオリックスに言っておこう。

＜過去コラム一挙掲載！＞
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

	南　郁夫　（野球観察者・ライター）通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
	著書「野球観察日記　スタジアムの二階席から」好評発売中！ https://kobe-kspo.com/kspo/sp145/