スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(31) WBCカナダ代表、元オリックス、アンドリュー・アルバース投手

2023年3月11日 (文・イラスト/T.ANDOH)

いよいよWBCが開幕しました!
プールBの日本は、中国、韓国に勝利して上々のスタートです。今年は現役バリバリのメジャーリーガーが多数出場することになったため、アメリカ以外にも各国に一流選手が散らばっていて、いままでになく大会が盛り上がることが予想されます。

その中には日本でもお馴染みの選手もたくさんいて、オリックス選手はいないのかな?

と思ったら、何人か選出されてるんです。

メキシコ代表には元選手のバルガス投手とメネセス選手。

オーストラリアには育成でプレーしたジョージ選手。

そして、今回ご紹介するカナダ代表、元オリックスの先生こと、アンドリュー・アルバース投手です!

2018年から20年シーズンまで3シーズン、おもに先発でプレーをしました。

軟投派といいますか、スピードは決して速くないですけど、ダイナミックなフォームからストレートとスライダーで攻める投手でしたね。

カナダ出身で、韓国でも1シーズンプレーするなどたくさんのチームを渡り歩いていて、実はオリックスで3シーズンも契約したというのは、アルバース投手にとっても長く在籍したチームなんです。

ちなみにマリナーズにも所属していたのですが、ちょうどアルバース投手がオリックスに来た2018年にシアトルに旅行に行ったとき、アルバース投手実使用のユニフォームを購入してるんです(笑)。

メジャーリーグでは、選手が使用した道具やユニフォームも「商品」という概念があります。

だからこそ、

格式のあるオークションも存在していて、大谷選手をはじめとした一流選手はもちろん、無名の選手の道具から、試合で使用されたボールにも、メジャーリーグの登録証がついて取り引きの対象となります。

いつ、誰が有名になるか分からないこともあるので、後年になっても値打ちのつくように、その素性をしっかりと管理しているんですね。

日本ではフリマサイトで選手のサイン入りのグッズが「転売」されて、選手が悲しんでいるという話題があがっていますが、メジャーリーグはこうした管理が徹底されているので、取り引きの対象になるものは証拠がないと、売りに出しても売れません。

ダルビッシュ投手が「サイン転売」についてサバサバとしたコメントを発信していましたが、そういう背景があるんですよね。

個人的にもらったサインは、その人にしか値打ちがつけられない。

ってことが根底にあるんでしょうね。

話がそれましたが(笑)

マリナーズの球場「セーフコ・フィールド」(当時)にもちゃんとチームの公式ストアがあって、そこで選手の実使用品が売られています。

アルバース投手のユニフォームは、ぶっちゃけ「その他大勢」のコーナーにあって、偶然見つけました。

100ドルもしなかったので、プロモデルの、しかも選手が使用した(かもしれない)ユニフォームを1万円以下で購入できたんですよね♪

その後、アルバース投手が3シーズンもオリックスで頑張ってくれたので、僕の中ではプライスレスな値打ちがついてます。

惜しむらくは、

コロナもあったので、ほんとうはご本人に見せて、サインでも書いてもらいたかったな・・・ってことです。

オリックスでは初登板でいきなり初勝利をあげてから、うなぎのぼりに勝ち星を稼ぎましたね。

その後ケガもあって1軍とファームを行き来することもありましたが、ヘルニアさえなければもっと活躍できただろう、日本野球にもしっかりとフィットしました。

冒頭のイラストですが、

メジャーリーグで”逆転のおまじない”として帽子を後ろ前反対にしたりするなどの「ラリーキャップ」をしている姿がテレビに映り、それが話題にもなりました。

アルバース投手のラリーキャップにあやかって、最初から裏地が表に作られた帽子も販売されましたよね。

ケガによる離脱ののちも復活登板で勝利したりと評価は良い投手であると同時に、頭も良い選手でした。

他球団で打撃投手をしている友人との会話の中で、面白い投手としてアルバース投手の名前が出てきたことがあります。

アルバース投手はピッチャープレートを踏む位置を対戦相手やシチュエーションに応じて変えることが上手で、しっかりコースをついた投球ができていると評していました。

相手バッターを研究する能力は、学生時代に教員免許を取得して、シーズンオフには数学の講師をしていたというそのクレバーな部分にも発揮されていたのかもしれません。

ヘルニアというケガもあり、複数年契約も不本意なまま帰国したアルバース投手。

翌年の2021年を最後にプロ野球では投げていないのですが、今年のWBCにカナダ代表としてエントリーしています。

さらに、巨人で長らくプレーしたマシソン投手もカナダ代表に名を連ねているのですが、マシソン投手もなんと2021年をもって現役引退を示しています。

ブランクのある選手でもかき集めないと揃っていないのがカナダ代表。

北米の、しかもフランス文化も色濃いカナダという国は、メジャーリーガー自体が少ない現状があります。

中南米出身の選手が増えていることもあり、カナダは予選リーグでも敗退するのがもっぱらの状態なのですが、それでもアルバース投手は、自国の威信と誇りをかけてチームに加入したと思われます。

オリックス時代にインタビューで、プロ野球選手を志したなかでも母国カナダでプレーをすることが憧れだったと回顧しています。

唯一カナダに本拠地を構えるトロント・ブルージェイズに所属し、トロントで登板を果たしたときの感慨は深かったとのことでした。

アルバース投手にとって4回目の代表選出。

カナダの躍進は厳しい状態ではあるかもしれませんが、13日からはカナダの参加する「プールC」がはじまります。

アメリカ、メキシコ、コロンビアという強豪がひしめくグループですが、悲願の決勝ラウンドの進出と、アルバース投手の奮闘も期待したいです。

 

 

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スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。

プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。

プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。

名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

 

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