南 郁夫の野球観察日記(159)熾烈!パ・リーグCS出場争い

2023年10月5日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

早々にオリックス・バファローズがV3を決めたからと言って、ペナントレースが終わったわけではない。
10月5日現在、いまだに他のクライマックス進出チームが決まらないというすごい2~4位争いをソフトバンク、ロッテ、楽天が繰り広げており、最後の最後まで消化試合モードにならない理想の展開に、パ・リーグはなっておるのだ。

渦中のチーム、ロッテ・マリーンズを応援(?)しに10月4日(水)、オリッ胴上げ日以来の京セラドームに行ってみた。ここ最近のロッテはほんと極限状態の総力戦の戦いを続けており、今日はロッテ応援や〜と本気で思いつつ。いつもお世話になってますんで(なんの?)。もちろん純オリッ・ファンの専属カメラマンにそういう屈折心理はないので、ロッテの写真はほとんどないが。

まあ私などが思いつきで応援しなくとも!この漆黒のレフトスタンドで十分だった。彼らの一糸乱れぬ爆音のユニゾンはドームゆえ一塁側スタンドにダイレクトに「こだま」して、三塁寄りの上段席にいた私は常にロッテの応援が「ステレオ」で聞こえていた。すげえ。加わりたくはないけど。

しかし序盤、オリッ先発・宮城くんの「人を冷静におちょくった」ような老獪なピッチングの前に、なすすべのないロッテ打線。負けられない戦いの連続に明らかに疲弊したように見える彼らに、さすがにレフトスタンドから「誰かヒット打てやー」という叫びすら聞こえる展開で、6回終了時で、ゴンザレスのホームランなどで3-1とオリッがリード。

わー、今日負けたらロッテかなりやばいなあと思っていた7回、オリッの新顔・招き猫投法の横山楓が四球を連発したところから、潮目が変わる。急に粘りこくなったロッテ打線がついに攻勢に転じ、代打・角中勝也(さすがです)のタイムリー2塁打で追いつき、さらにそこから必死のパッチの総攻撃でオリッを逆転し、突き放したのである。爆発するレフト応援席!

応援団にはあまり好意的でない私だが(あくまでのんびり観察したい派なので)、この日ずるずる負けそうな雰囲気だったロッテ選手を「現実」に繋ぎ止めていたのは、明らかに選手より元気な応援団の声だったと肌で感じたのだ。これは大事な試合なんだぞ!と常に教えていたのは応援団。応援団の声ってほんまに「力」になるんや、と驚いた。そんなの選手の社交辞令と思ってたけど(ひどっ)。

最終回のマウンドに立ったのが澤田圭佑、というのがまたよかった。オリッを戦力外になったこの男がロッテの育成から這い上がり、クローザーとしてこの大事な試合を締めたのだ。この京セラで。少なからぬオリッ・ファンが熱くガッツポーズをする澤田に拍手を送っていたのは、嬉しかった。

京セラ最終戦ということで試合後挨拶に出てきたロッテ選手の足取りは疲労困憊のせいか、よろよろ(特に岡大海)。これからも負けられない総力戦が続くロッテに幸あれ、である。
いやあ、優勝が決まった後もこんな「必死こいた」試合が見れるんだから、CSもいい制度ではあるねえ。え?下剋上?上等上等。それも野球や。

さて、オリッの方だが宮城くんは万全。打線に繋がりはなかったが、主力にヒットは出ているし、あとは誰が好調を維持してCSメンバーに残れるか?まだわからんな。やはりベテランになっちゃうのか、思い切った刺激的な入れ替えがあるのか?ナカジマジックの最後の見せどころ。
あ、ファームのタイトルをとった村西良太が完全にアンダースローになってたのは驚いた。

ブルペンでは、四球を連発した横山楓、吉田凌、ワゲスパックはさすがに監督の印象は悪くなった。ほんま四球はあかんねえ。この日、彼らの荒れ球を体で止めまくった若月ケンケンは、散々なバースデーとなったのである。

結果的にどこがクライマックスに残り、そして京セラに勝ち残ってくるのか?まだまだ目が離せない戦いが続く。10月も野球が熱い…なんて言える日が来るなんて(涙)。それが「当たり前ではない」ことくらいは、オリッファンなら重々わかっておりますとも。


さて、ロッテに比べて、和やかに調整中のオリッ面々の写真もどうぞー。

やはりこのベテランの力が必要「あだちおかだ」

いつも頼りになる無敵の圭太

いしりょは、ボールボーイにタオル持たせて何してるん?

周平さんはいつだって必死のパッチ、CSでの活躍が期待される

ベルちゃんはいつだってマイペース、くつろぎすぎやん

 

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
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