南 郁夫の野球観察日記(135)2023年オリックスのキーパーソンは、この人!

2023年1月9日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

ついに日本一になった2022年シーズンも、なんだか遠い昔に感じる。野球のない毎日は、辛い。オフの無常感がピークの年始め、今シーズンのオリックスのキーパーソンは誰なんだ?と考えたときに私の頭に浮かんだのは、新加入選手や絶対的エースでもなく・・・やっぱりこの人っ。

T-岡田である。

みなさん、覚えてますかあ? 昨年すっかり影が薄くなってしまった、T-岡田のことを。愛すべき「生え抜き」そして、怖くない「パイセン」。チームの長い低迷期を知るファンからしてみたら、この人の活躍のなかった昨年にはやはり一抹の「寂しさ」がある。日本一になれたのに贅沢な話かも、しれんけど。

最近のネットニュースで、ソフトバンクの田中正義やロッテの福田秀平と並んで「パ・リーグの正念場選手」の一人に挙げられてしまった、T-岡田。今の彼の立場を言葉で表したら「シーズン打率.149、1本塁打に終わった元本塁打王」ということらしい。まあそれ、事実やけんど。

「一発」で球場の雰囲気を変える、T-岡田独特の、凄み。優しい草食恐竜が「一瞬だけ」本能を出したらとんでもなかった的な彼のホームランのカタルシスは他で味わえないものだし、ファンとして忘れようがない。ああ、数々の名シーン・・・。その長打がチームの雰囲気に及ぼす効果は、誰しもが認めるところだ。

結構なベテランなのだが、いまだにその実力の全貌を見せたのかどうか本人にすらわからないという、T-岡田の謎。誰にもわからない「何か」がピタッとはまりさえしたら「本物のゴジラ」になるのではないか?という淡い期待。DNA操作(あかんやろ)とか手段はなんでもいいから、T-岡田の逆襲を見たいのだ。そして、それが2023年のオリックスには必要だ。

日本一になった昨年ですら痛いほど感じた、チームの慢性的な持病「得点欠乏症」。さらに今年は、打率はもちろん本塁打・打点・得点圏打率チーム1位の吉田正尚がおらん、という事実は残酷だ。昨年までの「やっと取った2、3点を投手陣が守りきって勝つ!」野球にさらに拍車がかかり、今年は「内野ゴロの間に取った1点を投手陣が守りきり・・・」なんてのを見せられたら、し、しんどすぎるやろっ!たとえそれで勝っても・・・(個人の感想です)。

そこに。ついに「浪速のゴジラ」が本当に覚醒して、その恐ろしい正体を現すのだ!序盤でドッカーンと先制ホームラン、終盤で得意の「逆転3ラン」!私はそういう試合が、見たいっ。そういう試合こそ見たい。内外野守れるT-岡田は、(あてにならない)他の打者との兼ね合いもバッチリではないか。

ああ、この初春の妄想にワクワクしてきたぞ。T-岡田の逆襲。オフは頑張りすぎて故障(あるある)しない程度に調整してもらって、何かの天啓を受けて覚醒し、開幕から「ガルルル」とスタメンにいてほしい。もちろん心は優しい「パイセン」のままで。

もう一度、T-岡田と「いい夢」を見たい。

私の2023年シーズンの初夢はそれだけである。

 


<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
著書「野球観察日記 スタジアムの二階席から」好評発売中!
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