南 郁夫の野球観察日記(82) 2020年シーズン終了 オリックス○×△勝手に通知表
2020年11月16日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)
コロナ禍でなんともいえないシーズン となりましたが、パ・リーグはやはりというかそれでもというか、ソフトバンクの圧勝。それに大いに貢献したのが「例年通り」オリックスだったりするわけですが、まずはこんな状況でシーズンをやり遂げたことに、関係者の皆様含めて「お疲れ様」と言いたいです。まだ試合やってるチームありますが。しかも京セラドームで。
思い返せば… ようやく開幕にこぎつけた、6月末。取材させていただいた無観客試合、山本投手のシーズン初登板試合での、「語り継ぎたい山本由伸の11球」(パ・リーグTVがYouTubeにこのタイトルでアップ中:三塁側カメラ席の我らケースポ編集部が延々と映り込んでます!)。これを目の当たりにしたときは、今シーズンの前途は揚々のように思えましたが…
そして、ファンが球場に戻って来て三連勝
良い試合もあったものの最終順位はご存知の通り。毎年、最終戦の挨拶が「ふがいない成績で終わってしまい…」というのが悲しいです。
さすがに… 勝率4割は切ってほしくなかったです。中嶋監督代行に代わっていなければ、1950年代なら危うくリーグ追放(あるいは罰金)である「3割5分以下」になっていたかもしれません。吉田正尚選手の打率より低いやん…
球界最高レベルの打者と投手を擁しており、試合の断片を見ていると、そないに他チームと戦力差があるとも思えないのに、試合には「きっちり」負ける。この「勝てなさすぎる体質」は、近年ずっと謎のままです。
今年のチーム成績を見ても、打率はソフトバンクと2厘しか変わらないし(4位)、本塁打も極端に少ないわけでもない(4位)。防御率は3点台と悪くない(3位)、盗塁に至ってはソフトバンクに次ぐ2位。でも、お察しの通り「得点」が最下位な我らがオリックスというわけですが、実はロッテも大して変わらない得点力なのに(5位)、オリッのおかげで(5勝18敗)CS進出しとるやん、と。もう。
なんで?ちう話です。つまり戦術の問題か?となるわけですが。
チームはシーズン終了後、正式に来季の中嶋監督体制を発表。例によっていろいろコーチ編成をいじるみたいですが、MLBのレイズやマーリンズが成功させたような、極端と言えるほどの若返りや常識を覆す革命的な戦術を使うという発想がない(許されない?)日本のプロ野球界においては、コーチ陣を刷新したくらいでは、ファンは期待の持ちようがない。また来年もいろんな選手を試しては変えて、試行錯誤だけでズブズブ沈んでいく展開になるんじゃないかと。
うああー。ネガティブになっても、しょうがありやせん。もちろん各選手が戦術はどうあれ、持ち場でポテンシャルを100%出してればチームは「勝てる」はずですからね。とりあえずは、それぞれの選手の成長に期待するしかないわけです。というわけで、2020年各選手を○×△で勝手に評価してみました。
○はもちろん、首位打者の吉田正尚、最多奪三振の山本由伸。◎の活躍です。全試合出場した吉田正尚選手の安定感は素晴らしいものでした。フィジカル面の不安を完全に脱却した吉田選手は、まさにいま球界ナンバーワン打者と言っても過言ではないでしょう。ただ、率との兼ね合いなのか、ホームランは少なめでしたが。山本投手は「すげえ」の一言に尽きます。みているだけで、幸せです。しかもまだ発展途上だし。得点力あるチームなら間違いなく「投手三冠王」でした。
○を続けます。ベテランの安達了一選手とT-岡田選手は、奮闘しました。安達選手の勝負強い守備と打撃はやはりこのチームに欠かせないことを痛感させられましたし、100試合出場を果たしたT-岡田選手は、チームトップの16本塁打と、久しぶりに輝きを取り戻しました。あと野手では、出た試合では爪痕を残してくれる伏見寅威選手、後半に魅力的な長打力を見せつけたモヤ選手、鮮烈なデビューを遂げてチームに活気を与えた大下誠一郎選手、終盤にダイアモンドを駆け回った佐野皓大選手が○です。
投手の○は、左腕の山崎福也・田嶋大樹・宮城大弥各投手でしょう。左腕王国到来か?という期待が湧きました。意外に?使えたヒギンス投手、私がシーズン当初「イチオシ」した漆原大晟投手も一軍デビューを果たしてまずまずの実績を残したので、○ですね。
で。ここからは期待を込めた×ですが、最大の誤算は中川圭太選手の2年目のジンクス?じゃないかと思います。昨年の頼りになる中川はどこへやら、今年はいろいろ攻守で低迷してしまいましたね。それと、まだ若い中川選手はともかく、中堅の大城滉二選手が(髪型以外)期待はずれでした。このあたりの野手が渋いお仕事をしないと勝てないのではないかと思うので、残念です。
そして、何と言っても山岡泰輔投手のつまづきが、痛かったです。エースとして期待された今年でしたが、体調面のこともあり4勝止まり。防御率は2.60とポテンシャルは高いだけに、来季は「もみじ饅頭」で体調万全で活躍してもらいたいところです。あと、シーズン通して絶対的な中継ぎシステムが固定できなかったという意味で、ブルペン陣全体が、×です。このあたり、起用法なのかなんなのか、しっかりしているはずだと信じていたのでショックでした。
とか、偉そうに○とか×とか言ってきましたが、「どの子も可愛い」のがファンってもんです。期待しているからこその×です。来季はみんな○ばかりというシーズンにしてほしいですね。
最後に、△です。
デビューしてずっとなのですが、私にとって福田周平選手って、ずっと△です。打率はいつ確認しても.250くらい、守備もうまいけどそこまでうまいか?と言われればどうだろう??という、福田くん。とっくに盤石のレギュラーになってもおかしくない実力と面構えなのに、ずっと△な、その感じがもどかしいのです。来季は飛躍してほしいです。
あと年棒のせいかボロカスに言われてますが、ジョーンズ選手は△にしときます。限界なのか手を抜いてるのかよくわからない「体温の低い」プレイスタイルをシーズン通して貫き、たまにいとも簡単に特大ホームランを打ったときの「あ、打っちゃった」という、あの顔。さすがメジャーとも、なんか怪しいなあとも、思います。来年帰ってくるかどうかもよくわかんないという意味も含めて、二重△です。そんな記号ないけど。
ま。ともかく。来シーズンもたくさん現地観戦できますように。そして、現地で「おりほー」できますように!
<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。
南 郁夫 (野球観察者・ライター) 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」
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