南 郁夫の野球観察日記(79)
監督交代!シーズン後半のオリックスに期待!

2020年8月23日 (文/南 郁夫)



「ど!」としか言いようがなかったですね。オリックス・バファローズ、シーズン半ばにして突然の監督交代劇。活況を呈する混パにあって「一人負け」というチーム状況を考えれば、そして、このチームの「歴史」を考えれば十分想像できることではありましたが… 監督交代のニュースを聞いたとき、結構驚いてしまいました。タイミング的に「アダム・ジョーンズ故障で帰国」なら、別に驚かなかったんですが。

結果が全ての監督業とはいえ、てっきり西村監督は福良GMと「同期」していると思い込んでいたので(「代打・小島」)、少なくともシーズン中に責任を問われるような事態になるとは、思ってなかったです。 質感的に、もっとも(とほほな)印象に残る「石毛→レオン」の交代劇を思い出してしまったのですが、新監督代行が中嶋聡・二軍監督だということで、「それは、あり」と思ったオールド・ファンは多いのではないでしょうか。



中嶋 聡。
現役生活なんと29年の名捕手。「阪急ブレーブス」「オリックス・ブレーブス」「オリックス・ブルーウェーブ」を知る男。弱冠19歳で正捕手となり、山田をはじめ往年の阪急の名投手に鍛えられ、佐藤義のノーヒットノーランを受け、星野のボールは素手で受けた男。他チーム移籍後も、西武では松坂の専属捕手、日ハムでは唯一無二の「抑え捕手」として活躍し、指導者としても定評を得た、球界の大功労者。

その中嶋 聡が、22年ぶりに二軍監督としてオリックスに帰ってきたのが昨年。ブレーブス・ファンにもブルーウェーブ・ファンにも納得のこの人がいずれ… とは思っていましたが、いきなり来たんか!という感じですね。福良GMにきわめて縁の深い人材でもありますが。


新監督代行に期待が持てるのは、指導力はもちろんですが、なんといってもそのキャラでしょう。
強肩・強打・俊足の捕手として西宮球場やGS神戸で活躍していたときの印象は、とにかく「華のある」選手だなあ、というものでした。キャッチャーなのに。
リードや捕球技術はもちろん優秀なのでしょうが、ここ一番の盗塁阻止やバッティングで「うりゃー」とわかりやすくファンを沸かせる、その楽天的でやんちゃ(に見える)キャラ!これこそ、現状のオリックス監督として期待したいポイントです。

才能ある若い選手が送りバントに失敗して二軍落ち… みたいな古い野球道は、いまどきファンも選手も望んでいない気がします。NPB他チームやMLBの例を出すまでもなく、20歳そこそこの選手のアスリートとしてのポテンシャルは、昔とは比べものにならないくらい高い。それをうまく発揮させたチームが躍進している印象があります。若い選手が納得してついていける指導者、チームのムードを決して停滞させない指導者が求められているのではないでしょうか。

毎年言われる「才能ある若手が多くいるのに実力を発揮できない」を、さすがにそろそろ脱却しなければならない時期に、オリックスは来ています。中嶋新監督代行からにじみ出る「ちょっとユルい、兄貴キャラ」には、沈滞ムードを払拭してくれそうな予感が濃厚にあります。

監督代行就任の囲み取材では・・
(要請が来たとき)「正直、無理だと思いました」
(ファンへのメッセージ)「あまり僕に期待しないほうがいいと思います」

就任後初采配での勝利で記念球の行方を問われると
「お父さんに… そんなわけないやろ!」(舌を出して)

このなぜか関西人ノリツッコミ(秋田出身なのに)も、ええ感じですね。
そして、そんな新監督の愛称は「サメ」です(サメを正面から見ればわかります)。誰か知りませんが、これを命名した人は天才ですし、平気で周囲にそう呼ばせてる新監督の人柄が、素晴らしいと思います。周囲に気を遣わせない… いまどきの指導者には絶対に必要な要素です。

ということで。8月も終盤ですが、実はまだ今シーズンは半分なんですね。
就任後さっそくの連勝!サメさんがチームの雰囲気をガラッと変えて、少なくとも楽しくオリックスの選手がプレイすることを期待したいと思います。9月には「Thanks KOBE」も控えていますしね!



そして、そして!
8月23日現在、中嶋監督代行になってオリックスは「豹変」の3連勝です!
特に23日の試合で一軍に初昇格していきなり大事な局面で登板した、(あの 2019年新人選手入団記者会見で私が声をかけさせてもらった)富山、漆原の両投手が大事な局面で活躍してくれたのには感動しました。

というか、この大抜擢を敢行した中嶋監督代行の「腹の括り方」がすごい。監督代行が去年からずっと見守っていたからこその起用ですね。漆原がクローザーになる!という 私のシーズン前予想は当たってしまうかも。

加えて中川や杉本など、監督代行と同様「顔が真っ黒」なファームパワーがチームに「活」を与えたのは間違いないでしょう! もともと薄かった(?)一軍と二軍の壁は完全に取っ払われた感がありますね。

そしてこの人もようやくファームから昇格した昭和の野球漫画のような熱血・辻竜太郎コーチの明るい暴れぶり!
こんなコーチをこのチームは待っていたのです。
なんだかワクワク楽しみが増した、後半のオリックスですね。






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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」




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