スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(70)関学ファイターズ!激闘!関関戦 甲子園ボウルへ行こう!<2>

2023年11月22日 (イラスト・写真・文/T.ANDOH)

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
甲子園ボウルを目指す関西学院大学ファイターズは、11月26日にレギュラーシーズン最終戦となる関西大学カイザース戦にのぞみました。

「先日優勝したんちゃうん!?」
優勝しました!
優勝したというか、前節の立命館大学戦で勝利して2位以上が確定し「優勝」したということで、じつは1敗で関西大学と立命館大学が並んでいての関西大学戦。

この日関西大学が勝ったら、3チームが1敗で「同率優勝」の可能性があるため、関学ファイターズとしては関大に勝って「全勝優勝」で甲子園ボウルに駒を進めたい最終戦だったのでした。

春の試合では関大に負けている関学はリベンジでもあります。
1Qから3回生RB伊丹選手を中心に「ラン」中心で攻め込みますが、なかなか突き破れないんです…!!
関大の壁は強く、そして速い!
攻守ともに関学の動きに素早く察知してターゲットをしっかりとブロックしていきます。

伊丹選手は当然ながらターゲットとなります。
大柄な選手が多いわけでもなく、「立命館の方が壁の厚みを感じた」と選手もみな語るのですが、オフェンスの作戦がことごとく関大につかまりました。

パント(4thダウンで攻守交代のために遠くに蹴り上げる)もブロックにあったり、不意をつくロングパスも試みましたが、相手ディフェンスに阻まれてインコンプリート(不成功)となります。

さらに2回生QB星野選手はランを諦めるとターゲットを探して自走することとなり、2Q途中でタックルを受け負傷退場。
それでも1Q残り2分2秒の4thダウンから40ヤードのフィールドゴールで3点を先制。
2Qも残り1分39秒でフィールドゴールをさらに決めて6-0で前半を辛くもリードします。

後半3Qも立ち上がりから決め手を欠いた両チームでしたが、3Q残り7分52秒に関大が見事なロングパスでタッチダウンを決めて逆転すると、続けて3Q残り2分45秒で再度パスを通されて2つ目のタッチダウンを喰らいます。
そんなオフェンス陣に課題を持つなかで、我々はひとりのRBに注目しました。

4回生RB(ランニングバック)の大槻直人選手(背番号90)です。
170cm90kgの体躯はディフェンス仕込み。
ずっとディフェンスラインの選手としてプレーしていたところ、4回生になってオフェンスに転向。
しかもランニングバックという、走って攻めるポジションに転向したんです。
前節の立命大戦でもタッチダウンを決めるランを決めた大槻選手ですが、この関大戦でも大槻選手のパワフルなオフェンスが光りました。

7点ビハインドで迎えた4Qの立ち上がり、4thダウン残り1ヤードに追い込まれた中で大槻選手の決死のランが成功!!

これぞディフェンスライン仕込みの粘り強いランです。
ここでポゼッションを確保した関学に、ついにタッチダウンが決まります!

4Q残り7分23秒、ランでじわじわと進撃した関学オフェンス3回生RBの澤井尋選手のランが決まってタッチダウン。
続くボーナスポイントも決めて13-13の同点に追いつきました!
しかし、
両チーム時間を稼いでオフェンスを進めた末に、残り3分41秒には関大がフィールドゴールで3点引き離します。

その後の関学の攻撃では4回生QB鎌田選手のランと、小刻みなパスで進軍をしますが、残り1分を切ったところでまさかのQBサック(ボールを持つQBを狙い撃ちする作戦)!
フィールドゴールも選択できたのですが、関学ベンチは4thダウンギャンブルを選択。
ロングの状態でしたが鎌田選手は一発勝負でゴール左側に決死のロングパスを投げます…
が、
相手ディフェンスに当たり、万事休す。

関学ファイターズ 13-16 関大カイザース
そうです!
先述のとおり、3校揃っての「同率優勝」となりました。

4回生にとっては、この後の「抽選」によってはこの場でシーズン終了ともなる瞬間。
やはり4回生の大槻選手にとっても、敗戦は正直に悔しい思いが顔に出ます。
そして
関大生にとっては、望みを繋いだ全力勝負の後の「抽選」です!!
立命館にもチャンスが巡ってきたため、6000名が集まった会場全員が、抽選に注目します。

結果は!
関学ファイターズの1位通過!!

どっと安堵感が出たのか、それまで目を潤ませながらも固唾を呑んで見守っていたキャプテン陣の顔も歪みます。
「甲子園ボウル」出場に向けて、西日本大会への切符を手にした瞬間でした。

当たりくじを引き当てたキャプテン4回生DBの海崎琢選手の目にも光るものが。
しかし、
4回生のこのシーズンの戦いぶりと海崎キャプテンのチームに対する思い…、
それを考えると、当たりくじは最高のご褒美だったと思います。
怪我で「甲子園ボウル」に出場できなかった昨シーズン。
そして最高学年として背負った「DOMINATE」というスローガンの重圧に耐えられたのは、彼だからこそでした。

「今日の敗戦は4回生の責任です」
試合後に語ってくれました。
4回生にとっては、フルに持ち味を発揮する一方で、後進にその理念を継承する責任を背負っています。

「蓋を開けてみないと分からないチーム」
リーグ戦開幕前の大村監督のコメントからも窺えるとおり、自由に力を発揮するポテンシャルを感じつつも、それをしっかりとセオリーとしてシーズンを通して構築することが、 今シーズンの関学ファイターズのテーマだったと思います。

「自信と不安を両方背負っている」
とも、海崎キャプテンは言います。
彼には「負けを知らない」チームの怖さもありました。
自分達の振る舞いから戦術まで、全てを見られている意識でつねに気を張っていたキャプテンですから、その思いが本当に下級生に伝わっていくことは、これからの「甲子園ボウル」、そして関学の歴史としてこれから形として見えてくるものです。
勝ち進むことができた安堵と、さらに今日の敗戦をしっかりと受け止める決意を感じました。

そして大槻選手です。
「男は男らしく勇気を持って、一歩を踏み出す」
そんな気持ちでディフェンス時代から前を向き、いまその一歩を踏み出す勇気が、勝利へのゲインとなっている。
計り知れないほどの努力があり、それを支えて、オフェンスの練習を徹底的に付き合ってくれたチームメイトには感謝しているとのことでした。

関学ファイターズは今週末の12月3日に福岡県で開催する西日本大会で九州大学と決勝を争い、勝利のあかつきには、いよいよ「甲子園ボウル」です…!!

「アメフト、見いひん?」
胸アツの最終戦を見届けて、「アメフト好きでよかった」と心から思いました。
こんな素晴らしいスポーツ、もっとたくさんの人に見てほしいです。
K!SPOでは、引き続き関学ファイターズと「甲子園ボウル」を紹介していきます!

学生アメフトの頂点を目指す「第78回毎日甲子園ボウル」
12月17日(日)に甲子園球場で開催です!!
詳しくはこちら
https://www.koshienbowl.jp/2023/

 

※イラストの転載・無断使用はご遠慮ください。使用をご希望の場合はK!SPO編集部までご連絡ください。


スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。

プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。

プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。

名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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