南 郁夫の野球観察日記(239-1)最後まで 熱苦しく!
2026年9月13日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

9月の天候不良に呼応して、曇り空の続くオリックス・バファローズ。ロッテと熾烈な(笑)4位争いをするのがやっとで、残念ながら事実上目的を失った終盤では、ある。そんな中、対照的に今年大躍進を遂げて「目的ありあり」ぎらぎらな西武ライオンズとの連戦(9月9、10、11日)を観察してきたので、そのレポートである。
■雨ニモマケズ 連敗ニモマケズ
今年最後の神戸開催カード(9月9、10日)は両日秋雨前線に祟られるも、試合は無事敢行。特に9日は開始直前まで警報級の雨ながら、なんと甲子園は中止なのに、神戸は決行!神戸園芸(そんなのない)が阪神園芸に勝利した瞬間、である。
もちろんスタンドはびっしょびしょで、でも椅子を拭くのは「お客様任せ」の、神戸スタイル。椅子拭くタオル、身体拭くタオル、応援タオルの全3枚を完備している人は、間違いなく雨試合に慣れたBW時代からのファン。

んが。いろんな人の努力で決行された9日の試合は、一方的かつ全方向的に西武ペース。オリッはロッテ戦から続いて3試合連続で完封負けを喫してしまう。すがすがしいほどの無抵抗ガンジー主義に、神戸のファンも「しーん」。聞こえるは、西武応援団のチャンテばかりなり。せっかく、あだっちゃんもグラウンド整備したのに(笑)。

でも思うのだ。近年の西武の低迷を思えば、4年ぶりのCS進出を目前にして希望あふるるライオンズ選手たちの表情は、なんとも感慨深いではないか。立場逆転、有為転変。昨年より増殖して右へ左へ走り回って騒ぐ西武ファンたちを微笑ましく眺めるのみである。神戸の外野スタンドは全方向に走りやすくて、いいでしょ?



翌10日は、「試合開始と同時に降り出し、中止になるほどではないが試合中ずっと小雨やで」ちう、ある意味いちばん過酷な予報。何事にも根性なしの私は、「いい席だが屋根はない」年間シート席を捨て、専属カメラマンに「絶対濡れない席を取ってくれろ」とお願い。
神戸の野球ファンなら誰でも知っている、この球場で「間違いなく」雨に濡れない席といえば… ネット裏2階席の最上段!試合直前にこの席を押さえた我々は、レインコートや傘の花咲くウエットな場内をしり目に、堅牢な屋根に守られてのドライ観戦。


確かに、グラウンドは遠い。んがしかし俯瞰で見ると、野球(という秩序ある行動)のすべてが愛おしく思えるのだ。めくるめく変わる守備陣形、規則正しくルールに乗っ取って行われる、不思議なゲーム。「野球観察者」にはこの「客観的視点」が心地よい。ここに野球観察の奥義があるのである。え?濡れたないだけやろがって?ひ。ひい。
試合の方は、オリッが「28イニングぶりに得点」(とほほ)して微弱に盛り上がるも、西武が当たり前のように逆転して、ネビンや渡部聖称(:観察者イチオシ)のホームランで突き放して、やっぱライオン強いわ~の顛末。あ。最上段から見ると、ホームランの軌跡が「スマホの速報画面」みたいで、面白いよ。ていうか、現実の野球がすべて速報画面に見えるよ。
そして連日、少々の雨なら立派に花火は打ち上がったことを付け加えておく。オリッの今のチーム状態もあるのだろうか、それ目当ての(市民招待の)お客さんが花火終了後にどんどん帰り出す、というBW時代のような光景も久しぶりに見られて、なんだか懐かしくなる。


ちなみに、2階席最上段では、花火は1ミリも見えない。百万回見ているので、何も困らない。


というわけで、今年も神戸開催終了。駐車場に向かう途中では、たっぷり雨を含んだ総合運動公園の森林イオンを胸いっぱい吸い込める。こんな球場、他にない。


■京セラで 一矢報いて よかったね
今年の神戸開催は1試合雨天中止があり(7月4日西武戦)、その振替試合がなんと翌11日で、京セラ。三日連続観察など普段はしないのだが、振替チケットあるので… 重たい身体を引きずって、京セラへ。


この終盤にきてオリッはなんとなーく「淡々と」負け続けてる(ように見える)し、終盤のチーム・キャッチフレーズ「最後まで熱く」もなんか定型文的な?などと「個人の罰当たりな感想」を抱きつつ、この日も西武相手に同じような試合を覚悟してたが…。
ひとり、「熱い」男がいた。連日の四番起用に応えた宗佑磨の攻守にわたる目の覚めるような大立ち回りで、この日は西武に一矢報いたのだ。

特に逆転を防いだ横っ飛びスーパーキャッチは、「激ムネアツ」。一番美しい、サードのファインプレーの形。状況を考えたら、数年に一度レベルの美技。それを至近距離で見れただけで、観察疲れの身体に鞭打って(おおげさ)京セラに来た甲斐があったというもの。捕球によるチェンジ後、興奮して何やら叫びながらそのボールを超速でベンチ方向に投げるという謎行動も、ムネアツ。
おとなしくて仲のいいチームカラーの、オリッ。(もちろんみんな熱さは胸に秘めているのだが)

そういうチームカラーは決して悪いことではないし、だからこその人気もあろう。でも、今のチームには、この日の宗のような「わかりやすい熱さ」が必要だった。宗の熱いプレーが、キャッチフレーズの言葉に生命を与えたのである。

ポストシーズンに希望がなくとも、最後まで「熱苦しい」くらいの執念で勝ちにこだわる姿勢を、ファンは見たい。そういうエンディングが、チームの来年につながると思うのだ。最後まで 熱苦しく!私は今年のオリックスを見届けたいと思う。
少なくとも、この試合まで!

・京セラにこんなトイレありました?階段下の異世界、一見の価値あり。


雨やら機材トラブルで専属カメラマン、満足に撮影できず(泣)。次ページは、数少ないショットですが写真集をどぞ。
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南 郁夫 (野球観察者・ライター) 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」 |
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