スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(123)激闘!甲子園ボウル!(2)

2024年12月25日(イラスト・文/T.ANDOH、写真/Azusa Suzuki

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
前回コラムでおさまらなかった…
12月15日に甲子園球場で開催された「第79回毎日甲子園ボウル」続編です!

立命館大学パンサーズと法政大学オレンジの一戦は、3Q終了の時点で38対28という得点ラッシュ。
 立命館大学が10点差でリードしているとはいえ、今までの試合展開を見ればまだまだ逆転の可能性もある展開。
すでに結末はご周知の方も多いと思いますが、運命の第4クオーターから、試合後の選手たち、会場の様子を今回はお送りしたいと思います。

出だしは法政大、立命館ともに攻撃はパントで終わります。
ファーストダウンに失敗し攻守交代。自陣を回復するキックを蹴るパント。
立命館はこの日、4thダウンギャンブルを試みて成功もしていて、4Qにして初めてのパント。
それだけオフェンスでガツガツ食い込んだ試合展開でした。

立命館としては試合のペースを掴みたいところですが、今度は法政大のオフェンスで4thダウンギャンブルが決まりゲインを繰り返します。
3回生RB中川選手のロングゲインから、4回生WR宮崎航也選手へのパス攻撃も決まった法政大学。

まだまだゴールまで遠かったですが、その後のプレーで4回生RB廣瀬選手がスルスルと抜け出してタッチダウンが決まり、3点差となります…!
残り7分で決まった3点差。
まだまだそれぞれの攻撃時間を考えると、立命館が追加点を取っても法政大にもチャンスはある微妙な時間…。
しかし、ここで立命館が勝負に出ました!!

4回生RB山嵜選手、2回生RB蓑部選手のランで敵陣にねじ込むと、1回生WR木下選手へのパスでファーストダウンを獲得!
得点を狙うにはまだ少し遠い位置でしたが、立命館がスペシャルプレーを出します。

山嵜選手へのランと見せかけて左サイドから回り込んできた3回生WR仙石大選手がボールを受け取ると、右側に大きく走り込んでゴールへ駆け抜けてタッチダウン!!

「甲子園ボウルで、どこかでやってみようと準備をしていたプレーなんですけど、(4Qで)法政さんに追いつかれたんで、“ここしかない“ と迷わず選択しました」
(試合後の山嵜大央選手談)

これもまた、立命館が見せたスペシャルプレーだったのですが、このプレーは作戦ネーム「テキサス」と言われる作戦で、NFLの王者カンザスシティ・チーフスも使用したスペシャルプレー。
立命館が勝利を引き寄せるために取っておいた作戦。
まだまだ時間が残っていたタイミングでしたが、勝負と思って仕掛けた”作戦”。
見事に決まりました!

それでも残り時間が4分近く残っていたので、法政にも十分に逆転のチャンスがありました!
攻守交代した法政大学からのリスタート。
ところが!
4回生QB谷口選手パスを立命館の2回生DB藤津伊琉選手がインターセプト!そしてゴールへ!!
このプレーはファウルとなりタッチダウンには至らなかったのですが、しかしファウルによって攻撃権が立命館に移ったことが決め手となりました。

最後は立命館スタンドがフィールドの選手たちと残り時間をカウントダウンして歓喜の瞬間を共有!

立命館大学パンサーズ 45 × 35 法政大学オレンジ

立命館大学パンサーズが9大会ぶりの日本一に輝き、大会MVPと、シーズン最優秀選手賞である「チャック・ミルズ杯」は、キャプテンの山嵜大央選手が獲得しました。

「気が抜けない試合でした。結果として点の取り合いになって、一瞬でも気を抜いたら負けやと思ってのぞんで、最後まで集中していました」
もっとワンサイドゲームになると思っていました。
ところが法政大にもランにパスにビッグプレーが決まり、立命館も攻守にわたって気を抜くことが出来なかったと思います。
そのうえで、4thダウンギャンブルも敢行したり、得点にからむプレーの中で、こうして幾度とスペシャルプレーを試みるなどの思いきりの良さ。
これは、根気よく試合に集中した成果だったんだなぁと実感しました。

「連覇せんと怒るぞ!」
山嵜選手がトロフィーを片手に後輩たちに檄を飛ばしました。
「今年も十分しんどかったけど、来シーズンはこれを上回れないと勝てないと思う」「今年よりも過酷なシーズンが待っていると思うので、後輩には頑張ってほしい」
満身創痍で戦い抜いたキャプテンの心からの感想であり、連覇を目指すことの難しさを物語ります。
この大会を制するだけでも、これだけ得点を競り勝たないと得られなかった。
しかも、相手の法政大学も、まだまだ2回生・3回生の活躍が光りました。
来シーズンも、大学選手権のこのシステムのまま戦うことになります。
どんなカードになっても「勝つ」ための準備と作戦を持って臨まないといけない。

山嵜選手といえば…
昨シーズンは大一番の関学戦で、自らのミスで勝敗を決した場面がありました。
昨シーズンの悔しさをこの一年に賭けた…。
それでも「しんどい」と語ったシーズンでしたから、来季は追われる立場となり、益々のシビアなシーズンとなるでしょう。

そして見ている側としては、とても面白いゲームとなりました。
パワープレーでしっかりと道を作るラインの選手の頑張りも見られれば、オフェンス陣の”らしさ”あふれるプレーも見られて。
それでいてスペシャルプレーです。
一走、一投がビッグプレーを生む。
ビッグプレーの中には計算された戦術があり、それで得点ラッシュともなって、最後まで知と力がぶつかり合ったゲームとなりました!

両チームの大健闘に感動の甲子園ボウルでした。
そして山嵜大央選手、絵になる男でした…。

この甲子園ボウルでの立命館の戦いは、関西アメフトリーグにも大きな影響を与えそうです。
頂点に向けて“挑戦者”として力を出しきった立命館は、来季は追われる立場となります。
先にも触れたとおり、このめいっぱいのシーズンのさらに“上のレベル”を下級生に求められます。

そして、あらためて関学ファイターズにとっても、来シーズンを戦う厳しさを見せつけられた一戦となったと思います。
しかし、挑戦者として生まれ変わる関学もまた見てみたい。
関大も絶対的エースQBが卒業をして、次なるチームへのアップデートが期待されます。

卒業生がいて新入生が入ってくる。
毎年変化するチームビルディングを楽しめるのも学生スポーツの特徴です。
新たな戦いの予感と、その熾烈なシーズンをこの甲子園ボウルから作り出した立命館の新たなる挑戦…。
K!SPOを通じて引き続き、この若い選手たちの戦いと青春の1ページを紹介したいと思います!
野球もアメフトも、スポーツの魅力をたくさんの方に感じてもらえるように。
そして、甲子園でのこの歓喜を見てほしい…!!

てことで、
今日も言います!!

 

 

今年もコラムをご覧いただき、ありがとうございました。
2025年もよろしくお願いします!!

 

※イラスト・写真の転載・無断使用はご遠慮ください。使用をご希望の場合はK!SPO編集部までご連絡ください。


スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。
プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。
プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。
名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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