スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(77)阪神・淡路大震災29年によせて

2024年1月17日 (イラスト・写真・文/T.ANDOH)

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
1月17日、阪神・淡路大震災が発生してから29年となる日となりました。
僕は毎年、勝手ながら5時46分に西の方に向かって黙祷を捧げさせていただいています。

僕の場合、神戸・阪神間の出身ではありません。
いまでこそ、能登半島地震も含め日本中のどこかで災害が起きると「自分にできることって何があるか」と考えることができたり、それを実行することができます。
しかし、当時の自分はその災害をまさに「対岸の火事」と見つつも、その事態の大きさ重さに恐怖を感じ「何もできない自分の悔しさ、怖さ」も感じていました。

OUTSIDER’s ReCALL
「他所者からの恩返し」
僕のコラムのタイトルにはこういう意味があります。
被災者でない僕に何ができるか。
それは、被災後の神戸という街に出会い、人と土地に触れて、僕自身が神戸という街に育てていただいたことへの感謝の気持ちを表して、スポーツの話題を通して神戸の魅力を伝えていきたいということがあるんです。
僕も震災のことを、僕なりに継承していければと思っていますし、震災を知らない世代の子どもたちが大人になってきている。

しかし、東日本や熊本、能登半島と、この30年の間にも大きな地震が定期的に起きています。
地球の46億年という壮大な歴史のなかでとらえれば、この手の地殻変動は人間がちょっとカゼを引いた程度のことなのでしょう。
各地の地震の関連性はすべてが繋がっているわけではありませんが、地殻変動による歪みの結果は、人間の風に例えれば、咳やくしゃみの初期症状があって熱が起きて… という段階があるのと同じこと。
日本において、いつ次の地震が起きる引き金となることは分からないし、また大きな地震が起きる可能性は非常に高い。
そういう意味でも、阪神・淡路大震災の悲劇は、名古屋の僕も自分が発せられる表現で、伝えていきたいと思います。

僕と神戸の出会いは25年前。
黒木知宏投手が好きでパ・リーグのファンになった僕が、当時のグリーンスタジアム神戸に、最初はロッテの試合を見に行ったのがきっかけでした。

そこで、外野レフトスタンドの入り口から広がったあの開放的なロケーション。
美しい芝。
コンコースに街路樹が生えている!
青い空と鮮やかな緑。

僕は一気にグリーンスタジアム神戸が好きになり、2001年のオリックスの「ボールパーク化計画」ではスタジアムを彩る内野オープンデッキのデッキペイントコンテストに入選して絵を描かせてもらい、以来、オリックスファンとなって今年で23年目ですか。
ロッテファン歴よりも長く、地元の中日ファンでもなく(笑)、オリックスに夢を預けて四半世紀を迎えようとしています。
その当時の地元のファンの方たちの「復興への希望」とは違う憧れですが、十分に足を運ばせる魅力がありました。
しかも「低迷期」のオリックスです。球団合併もありました。
それでも、諦めず応援し続けてきて、いまやリーグ3連覇の強豪チームです。
しかも、復興を祈念して優勝した当時のメンバーである中嶋聡さんが監督を務めたり、低迷期でもチームを支えてきた田口壮さんや辻竜太郎さんがコーチとして、チームを牽引してくれたってことがまた嬉しいじゃないですか。

こうもチームのスタイルが変わり、新しいファンが増えて雰囲気が変わると、距離を置いちゃうファンの方もいます。
「阪急ブレーブスが好きやってん」
という方もいます。
阪急の時の栄光といまのオリックスは確かに違うチームです。
しかし、そうやって時代の風を背に受けて、変化も前向きに受け止めてずっとチームを見てこれたことは僕にとっても財産です。
それは、
「強くない・人気ない・お金ない」だったオリックスでも、精いっぱいおもてなししてくれた球団スタッフの皆さんの心意気だったり、弱いチームだったけど楽しかった個性的な選手だったりがいてくれたから。
そして震災復興も乗り越え、名古屋から来ていた僕をあたたかく受け入れてくれた神戸の街と人があったからです。

今度は僕がReCALLする番です。


※これは関学ファイターズを初めて観戦して感動した西宮スタジアムの試合です。

自分の根幹であるオリックス。
元オリックス職員だった方が創設し、バスケで新しい風を吹き込もうとしている神戸ストークス。
学生時代の憧れだった関西学院大学。
いまK!SPOで描かせていただいているスポーツは、ぜんぶ僕の人生に関わっているんです。
これからも、自分の人生の道しるべとなってくれた神戸という街を応援していきたい。
外からの視点だから伝えられることも、伝えていきたいと思います。

最後にあらためて、震災で犠牲になられた方へ哀悼の意を祈り、今でも震災の被害で心身苦しんでいる方にお見舞いを申し上げます。

 

※イラスト・写真の転載・無断使用はご遠慮ください。使用をご希望の場合はK!SPO編集部までご連絡ください。


スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。

プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。

プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。

名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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