南 郁夫の野球観察日記(54) 女子プロ野球「スペシャルコラボマッチ」見てきました!
2018年5月20日(文/南 郁夫、写真/編集部)
5月19日(土)編集部からも告知されていたように、ほっともっとフィールド神戸でオリックス・バファローズ×女子プロ野球「スペシャルコラボマッチ」が行われた。
オリックスの試合に来た観客は、その後に行われる女子プロ野球公式戦「京都フローラvs愛知ディオーネ」を無料観戦できるという、この企画。「一度見ないとわからない」女子プロ野球の魅力を一般の野球ファンに知らしめるには、絶好のチャンスなのである。取材を通じてファンになり、里選手、みなみ選手、古谷選手にインタビューしてきた私としても、駆けつけないわけにはいかない。
当日、球場に着くとゲート前には女子プロ野球の宣伝フラッグが華やかにはためき、オリックスvs西武戦を見に来たファンも、興味深々の様子。場内には女子プロ野球のグッズ販売所なども設営され、この日は試合のない埼玉アストライアの泉選手や田口選手が「売り子」として、元気よくファンに声をかけている。こんな手作りで一生懸命なかんじも、女子プロ野球の魅力の一つである。
オリックスの試合前には、女子プロ野球の代表選手の一人である川端選手(埼玉アストライア)が、日本女子プロ野球リーグのアピール役として登場。始球式では、公式企画「女子プロ野球美女9(ナイン)総選挙」で堂々1位の加藤選手(埼玉アストライア)が西武・秋山選手にストレートを投げ込み、観客の大喝采を浴びる。前宣伝は、上々である。さて、コアな女子プロ野球ファンはともかく、果たしてどれくらいのお客さんがオリックスの試合後に球場に残ってくれるであろうか…?
13時にオリックスvs埼玉西武の試合が開始。終始劣勢のまま(とほほ)西武に0-7で敗戦したのが、16時ごろ。あいにくこの日は夕方から急に気温が下がり「みんな帰っちゃう」と心配したのだが、驚くほどテキパキと準備が進み、「京都フローラvs愛知ディオーネ」のプレイボールがかかったのが、なんと!16時40分。(おそらく)意図的に試合開始を極限まで早めたのだと思うのだが、これが大成功。「ちょっと興味あり」な人も、これくらいなら待てる! バックネット裏や内野指定席エリアは「満員」という熱気あふれる状態で、女子プロ野球の試合開始を迎えることができたのである。
そして。京都フローラと愛知ディオーネの選手たちは、この素晴らしい環境での試合に見事にプレイでこたえた。まったく目が離せない必死の攻防を繰り広げ、互い譲らず。5-5のまま延長戦(女子プロ野球は7回制で最大延長は9回)に突入する。そして、最終の9回裏にきわどい本塁上のクロスプレーで京都フローラがサヨナラ勝ちを収めるというスリリングな展開に、寒い中最後まで残った多くの観客は大興奮。選手たちは、女子プロ野球の魅力とともに「野球の醍醐味」を見せつけてくれたのである。
最初は「どんなもんか?」と腕を組んでいたオリックスや西武ファンが、フィールド上の彼女たちの機敏かつ華麗で爽やかなプレイを目の当たりにしてどんどん「前のめり」になっていくのを見て、私も嬉しくなっていた。最後はディオーネ・里、フローラ・小西の両エースが抑えに登場してさすがの投球を見せる緊迫した試合内容は、誰が見ても本当に素晴らしかったのだ。オリックス戦での仕事を終えたボイス・ナビゲーターの神戸さんと一緒に観戦していたのだが、女子プロ野球「初体験」だという彼もしきりに(魅惑の低音ボイスで)感心していたことを、付け加えておく。
そして、この日はオリックス応援団がそのまま残り、主催チームである京都フローラを1塁側内野席で「友情応援」。「どこかで聞いたような」メロディで、そのまま残ってくれたオリックス・ファンを巻き込んで大いに試合を盛り上げていた。西武戦では「1回しか」聞けなかった(とほほ)チャンステーマが「何度も」演奏される展開に、オリックス・ファンがタオルを回す光景はまさにコラボマッチ。欲求不満?が残っていたオリックス・ファンの「笑顔」が、このイベントの大成功を物語っていたのである。
この日の勝利で、京都フローラは愛知ディオーネから首位を奪回。3位の埼玉アストライアも首位に1.5ゲーム差と、今年のペナントレース(ヴィクトリアシリーズ)は盛り上がっている。女子プロ野球の魅力を知ってしまった方も、まだ未体験の方も、是非球場に足を運んでいただきたい。京都フローラのメインの本拠地は、オリックスも主催試合を行う「わかさスタジアム京都」(旧西京極球場)である。日本女子プロ野球リーグのHPで調べて「球場にGO」だ。
フローラには岩谷選手、みなみ選手と2人もホームランバッターがいるので、ひょっとしたらフェンスオーバーも見れるかもしれないしね!
詳しくは…
日本女子プロ野球リーグ(JWBL)公式HP
http://www.jwbl.jp
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オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。
南 郁夫 (野球観察者・ライター) 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」
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