南 郁夫の野球観察日記(48)
新ボイス・ナビゲーターの神戸さんは、
子どもの頃からのオリックスファン!

2018年3月5日(文/南 郁夫)


1月のキャッチフレーズ発表イベント・レポでお伝えしたように、今シーズンからオリックス・バファローズのボイス・ナビゲーター(スタジアム・アナウンサーのこと)が新たになった。神戸 佑輔(かんべ ゆうすけ)さんである。

球場アナウンスといえば、ファンにとっては1年を通して耳にする重要な「声」である。神戸さんはどういう声なのか? どういう人なのか? 3月4日、彼にとってのデビュー2試合目となるオープン戦(ほっともっとフィールド神戸)でその声を体験し、試合後のアナウンスブースにて短い時間ではあったが、意気込みなどをお聞きすることができた。


■神戸 佑輔(かんべ ゆうすけ)
 1988年生まれ 神戸市出身 オフィスキイワード所属
 主な活動実績:
 野球 関西独立リーグ「06ブルズ」2014年度スタジアムDJ、
 サッカー アミティエSC京都 場内アナウンサー、
 第3回世界身体障害者野球大会場内アナ、ベイコムジュニアサッカー実況、
 オービィ大阪、錦城閣他各TV・ラジオCMナレーション
 各種VP、CATV特番ナレーション
 天満音楽祭、化粧品会社新作発表などイベントMC など


ーーまずはオープン戦とはいえ実戦デビューしました。どんな手ごたえですか?

「対戦相手(横浜DeNAベイスターズ)の選手名やアナウンスの段取りなど、覚えることが多くて不安だったのですが。京セラと神戸で2試合を無事に終えることができたので、まずは安心して落ち着いたというところですねー。これをシーズン通して続けていけばいいのかな、と」


ーーボイス・ナビゲーターに決まったときの心境を聞かせてください。

「オリックス・ファンなので。事務所から募集のお話を聞いた時点でラッキー!と思い「記念受験」感覚で応募したんです。書類選考に残って、面接で憧れの球団内部に入れるということだけで、うれしかったですね。事務所から「ほぼ決まった!」と聞いたときも100%は信じられなくて、公式発表までは半信半疑でした」


ーーいつからオリックスのファンだったのですか?

「オリックスが日本一になった1996年、僕が小学2年生のときに父親にこの球場に連れられて。それ以来、ずっとです。当時はイチローさん、田口さん、藤井さん、小川さん(*)、星野さん、鈴木平さん、そしてもちろん福良さんもいて、ファンになりましたね」

*小川博文さん
 現在は、この日の対戦相手、横浜DeNAベイスターズの打撃コーチである。


ーーそれから22年。その少年はその球場でボイス・ナビゲーターに。素晴らしいですね!

「そうですよね〜。将来はプロ野球選手になって、憧れのDJ木村さん(*)に自分の名前を「ユウスゥケ〜・カンベ〜」とアナウンスしてもらうのが夢だったんですから」

*DJ木村さん
1980年代のディスコブーム時代にDJとして活躍後、日本初の男性球場アナウンサーとして1991年から2000年までオリックス・ブルーウェーブを担当。「スタジアムDJ」を名乗り、画期的スタイルで野球場アナウンスに革命を起こし、「イチローゥ・スズゥキ〜」コールは日本中で有名となる。音楽・映像制作など場内演出にも関わった。現在は映像制作会社社長として、プロ野球チームやJリーグクラブなどの映像制作に携わる。


ーーご自身も野球をプレイされていたとか?

「小学2年生の時に地元のソフトボールチームに入って、それから中3まで野球やっていました。進学した育英高校は野球強豪校だったので野球部には入らなかったんですが(笑)草野球は続けていますよ」


ーーナレーターのお仕事をされるきっかけは?

「大学(映画学科)で卒業後の進路に迷っていたんですが、中学生の頃から家の電話を母親に取り次いだとき「息子さん、ええ声やな」とよく言われていたことを思いだしまして(笑)、ナレーターの勉強をしたんです。生活の中に、ナレーションってあふれているじゃないですか。「お風呂が沸きました」みたいな自動音声の仕事をして、友達に「これ、俺の声やねん!」なんて面白いかなと(笑)」


ーー今日の試合でアナウンスを初めて聞かせてもらいましたが、低音なのに明瞭な発音というのが新鮮でした。もっと年齢が上の人の声かな、と感じますね。

「そう言われるのはうれしいです。そう思ってほしいです。自分の武器は低音ですね。軽快に、というよりは「下に下に」という意識でしゃべっているんです」


ーーこれからどういう風にご自分のカラーを出していこうと思われますか?

「ずっと、DJ木村さんのようになりたい、という思いがありました。木村さんから数えて僕が5代目のボイス・ナビゲーターですが、過去の人の真似にならないように「わかりやすく伝える」というコンセプトを守りつつ、僕のスタイルが出せたらなと思っています」

ーーこれからを期待しています。試合後でお疲れのところ、ありがとうございました!









写真でおわかりのように、神戸さんは「野球少年」の面影を残した好青年である。オリックスや野球のことを語るときのキラキラした眼差しからは、この仕事に対する情熱と期待、喜びがひしひし伝わってきた。

奇しくもこの日は、神戸で生まれ育った(垂水区→灘区)彼の、神戸デビュー。子どもの頃から憧れていた舞台に自分の声が流れるなんて、本当に素晴らしいストーリーではないか。

インタビューで語っていたように、彼は本当に心地よいバリトンボイスである。安心して聞いていられる。この日のアナウンスは「さすがに緊張してるかな?」という思いで聞いていたのだが、適切で落ち着いていて、とても新人とは思えぬ出来栄えであった。ちょうどこの試合で先発投手だったルーキー・田嶋くんのピッチングのように。

そう。最初から「違和感」がなかったのである。これはすごい。それは彼が「野球をよく知っている」からであり、この球場で聞いた数多くのアナウンスが「体に染み込んでいる」から、と言えるかもしれない。しかしこの仕事に就くまでの経緯を聞くにつれ、「なるべくしてなったんだな」という感じがする。

年齢の割に(?)音楽はストーンズやビートルズなどが好きだという神戸さん。ぜひ、伝説のDJ木村さんのように、場内演出の方にまでその才能を発揮してもらいたいと思う。期待しています。

それにしても、である。神戸で生まれ育って、名前が神戸(かんべ)とは。彼自身「覚えてもらいやすくて、ありがたいです」と言っているので、皆さんもぜひ覚えてほしい。そして、実際に球場に足を運んで、彼の低音ボイスの魅力を堪能してほしい。










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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」





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