スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(94)関学ファイターズ、激闘の関関戦!
2024年5月29日 (イラスト・文/T.ANDOH、写真/Azusa Suzuki)
こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
今回は2週連続で関学ファイターズのレポート。
5月26日(日)に行われた、目下のライバル、関西大学カイザーズとの一戦をお伝えします。
いまは新入生が入って新しいチームを試すための春の交流戦の時期ですが、終盤には関西大学そして立命館大学との試合があり佳境を迎えるんです。
そして、関西大学は関学が苦手意識を持っている数少ないチーム。
交流戦(練習試合)とはいえ、関大との勝敗はチームにも大きな影響力を及ぼします。
昨年も春の交流戦で敗戦して、秋のリーグ戦でもシーズン最終戦に関大と戦いまた敗戦。
リーグ優勝はすでに決まっていたのですが、勝敗差で関大・立命館も並んだ三つ巴となり、最後に「くじ」で甲子園ボウル行きを掴んだことは、昨年こちらでも書きました。
学校もOBもそのことをよく知っているので、この日はたくさんの注目を浴びる中の一戦となりました。
MKタクシーフィールドエキスポという、万博記念公園の新しいアメフト用スタジアム。
あのパナソニックスタジアム吹田の横に出来たこぢんまりとしたスタジアムなのですが、小さな観客席なのでお客さんの密は厚く満員御礼!
さらにスタジアム横の広場からも観戦出来ちゃうので、そんな立ち見客も入れて3,500人のお客さんが集まったという、関西学生リーグ屈指の好カードです。
試合は序盤から押されムード。
この日もスタートQBは2回生のリンスコット・トバヤス選手から、WRの片桐太陽選手へのパスとRB伊丹翔栄選手へのランを交互に繰り出していくのですが、なかなかゲインを稼げず、1Qは0-0で終えます。
関西大学の何が脅威なのか!?
というと写真の選手。
背番号8番の4回生QB、須田啓太選手ってのが、これがもういい選手なんです…!
昨シーズンのMVP選手であり、目下学生最高のQBと言われている須田選手。
昨シーズンの最終戦でも決勝のタッチダウンにつながるロングパスを関学に見せつけました。
須田選手のクイックで的確なオフェンスワークと、この日はRBの前川選手のコンビネーションが印象的でしたね。
関学ディフェンスも頑張って止めていたのですが、ポゼッションをリードした関大が2つのフィールドゴールを決めて0-6で前半を終えます。
後半になると関学はQBに1回生の星野太吾選手が登場。
パスもつながるようになった一方、関大ディフェンスは変わらずぶ厚く苦戦します。
しかし伊丹、澤井の4回生RBがしぶとく攻撃を繰り広げ、3Qには伊丹選手がスクリーンパスで抜け出してタッチダウン。
初めて関学がタッチダウンを決めて逆転もします。
4Qになるとその攻防はさらに激しくなります。
両チームがフィールドゴールで3点ずつをあげますが、決め手には欠きます。
そんななかでランを重ねてゲインを稼いできた末、関学の4回生RB澤井尋選手がタッチダウンを決めて再び引き離します。
このランを抜け切れたのは大きい。
振り払われた関大ディフェンスはショックです。
しかしあなどれない関大は直後のオフェンスで須田選手がパス攻撃!
2つ大きなパスが通り、さらにショートパスを決めて関大が2点差となるタッチダウンを決めます。
タッチダウン後にキックを選ばずオンプレーで2得点を狙う2ポイントコンバージョンを選択した関大は、さらにパスで同点を狙ったのですが、これは不成功。
関大15-17関学
時間を消費していた両チームの攻撃はここで終わり、最終的には2点差で関学ファイターズが勝利しました。
「運が良かっただけ。練習でも起きているミスが目立った試合でした」
試合後は大村監督はじめ、インタビューをとった全ての選手がミスの目立つ試合を振り返っていました。
セットプレーを成功させるため徹底的に練習をするなかで、課題がそのまま悪いプレーとして露呈すると振り返った今日の試合。
関学にとっては、勝ったとはいえ満足のいくゲームではなかったようです。
一方で、不成功しても絶妙なポストにパスを投げ続けた関大須田選手の思い切りの良さとフィールド上での度胸にチームが呑まれた…
そんな印象もまた拭えない一戦だったかもしれません。
「考えるプレーができるようになった」
天性のオフェンス力に加え幅が広がったと大村監督に評されたのは、タッチダウンを決めた伊丹選手。
とことんオフェンスが苦しめられた試合でしたが、ピンチの時に上級生が流れともどもチャンスをねじ込んでくれた印象はありました。
下級生を積極的に起用している春の交流戦で、再三ピンチを救っているのはやはり上級生。
こうして強いチームを作り上げるメソッドは受け継がれていきます。
しかし関大という脅威はこの試合でも関学らしさを剥ぎ取るようなプレッシャーをフィールド上でも見せつけました。
関大側の消耗も大きいとは思います。
この試合を次の関関戦でどのように昇華させるか。
いまからヒリヒリするような激闘の未来を感じる一戦でもありました。
「技術ももちろん気持ちの上でも決して負けないよう、次の立命館も戦力では気を抜けないので、全力で臨みます」
キャプテンの4回生LB永井励選手は気合いを入れていました。
次の立命館戦は春のシリーズの集大成。
直接あたるライバルとの戦いが続きますから、気合の入り方は違います。
しかもチームを作り上げていくためには春のシリーズは全てがテスト。
そう思うと、厳しい目でチームを振り返ることにもなる…!
シビアなスポーツです!!
高尚なスポーツである一方で、学生スポーツという未知の面白さも秘めている学生アメフト。
前人未到の7連覇日本一に向けて、K!SPOでも例年に増して関学ファイターズを追いかけていきたいと思います。
てことで、
アメフトコラムでお馴染みのフレーズ言います!
まだまだ今からでも十分楽しめる関学ファイターズとアメフト観戦。
次回の立命館大戦もお送りします!!
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スポーツイラストレーターT.ANDOH
おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。 プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。 プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。 名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!? |
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