スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(24)1.17とオリックス
2023年1月17日 (文・イラスト/T.ANDOH)
こんにちは
イラストレーターのT.ANDOHです。
1995.1.17
あれから28年を迎えます。
当時から僕は名古屋に住んでいました。
高校1年生の冬。
成人の日が週末とかぶって、振替連休となった翌日だったと記憶しています。
名古屋での震度は4。
それでも、これはただの震度4ではない。
これが第一印象。
名古屋近辺は、御嶽山の火山性地震がある地域で、何度か震度4レベルの地震は経験していました。
MAXが4の地震にしては大きい。
改築前のわが家は当時築30年。
ネズミが棲みついていてよく天井裏をバタバタと走っている音を聞いていたんですが、前日の1月16日の夜は、やけにその音が騒がしかった・・・
そんなことを、地震が起きた時に思ったものでした。
そしてテレビをつけてみれば、関西地方が大変なことになっているらしい。
その情報のみのことでした。
学校から帰宅すれば、実家から見える惨事も、まだ現実のことなのか飲み込めない。
当時は神戸のことを、いまのようには知らなかったですからね。
しかし、
阪神高速が倒れ、ちぎれた高速から半身乗り出した観光バス。
皆さんにとっても記憶に残っているあのテレビ映像。
それが僕らにとっては、“すべて“ではありました。
個人的には、
当時、家の近所にオウム真理教が教団施設を作るという話があって、我が家のポストにも「麻原尊師は阪神大震災を予言していた」なんてチラシが入っていたり・・・
「よー言うわアホか」
なんて言いながら地元での反対運動が鳴り響いていたら、3月にはサリン事件が起きて。そっちの方が衝撃でした。
話を戻すと、
オリックス選手に犠牲者はいなくて、いまでも覚えていることは、福良GMが当日ゴルフの約束があったそうで、すでに待ち合わせ場所に向かっていたら地震が起きて、倒れる建物を尻目にゴルフバッグを担いで家まで戻ったという話。
グリーンスタジアムも幸いに壊滅的な被害はなく、ちゃんとリーグ戦が始まったこと。
イチロー旋風でオリックスに注目が向けられていた時代だったから、余計にチームへの期待感と選手たちの使命感は、大きなエネルギーとなっていきましたね。
オリックスの優勝劇は「がんばろうKOBE」の名のもとに全国に響きました。
ちょうどその時、
関学出身だった僕の担任が、自分の下宿としていたアパートも全壊したことを話ししてくれて、震災という未曾有の惨事の恐ろしさと、そこに向き合って生きる地元の人たちの話をしてくれて、
「神戸に行ってみたい」
って思うようになったんです。
過去のコラムで、もともとはジョニー黒木投手を見たくて神戸に行ったのが初めという話をしました。
それでも、
僕は千葉ではなく何故か神戸に足を向けたんですね。
その時のグリーンスタジアム神戸の美しさ。
デーゲームの暖かい日差しにキラキラ光る芝とスタンド。
それからパ・リーグの面白さ。
不人気時代のパ・リーグという雰囲気も好きで、気付いたらオリックスのファンになっていました。
自分のイラスト活動の中のモットーがあるんです。
「チームを知るなら街を知れ」
スポーツチームには地域性が出るんですよね。
お客さんの気質や地域の風土によってチームカラーも当然出てきます。
それが大事だと思うようになったのも、神戸に行くようになってからなのです。
それまで未熟な高校生で、名古屋でドラゴンズしか知らなかった人間が、初めて外の地を知ったのが、オリックスであり神戸という街でした。
関西や関東には競合もあります。
競合もあるから、企業努力もあります。
チームカラーから窺える風土や気質、そしてチームの戦略は球場にいるだけでも感じられます。
球団とファンの距離感の近さ、球場に集まってくるファンも、ほんとうに誇りを持って応援しているファンだったり、誇りを持っているからこその個性の強い、オモロいおっちゃんたちが球場を盛り上げたり・・・
そして
被害を経験したからこその、温かい人たちにたくさん出会うことができました。
いま、パ・リーグのチームが地方に分かれて繁栄しているのも然るべきなんですよね。
それも、
震災という一つの出来事から引き寄せられた目には見えないご縁であって、復興と生々しい現実と・・・
その両方を、神戸で体現して積み上げてきたことが、いまの自分のポリシーにいたっています。
「がんばろうKOBE」
の重みを僕は全てを分かりません。
しかし、
他所の人間だからこそ感じられる感覚や愛着を、これからもスポーツを通じてお伝えしたいと思います。
阪神・淡路大震災で犠牲になられた方、被害にあわれた全ての皆さんに、愛を込めて…。
※イラストの転載・無断使用はご遠慮ください。使用をご希望の場合はK!SPO編集部までご連絡ください。
スポーツイラストレーターT.ANDOH
おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。 プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。 プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。 名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!? |
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