スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(143)今年も大盛況!関学生の日本酒振興プロジェクト
2025年6月6日(イラスト・文/T.ANDOH、写真/Azusa Suzuki)
こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
関西学院大学ファイターズの春の交流戦のなかで楽しみにしているのが「テ―ルゲートパーティー」。
テールゲートパーティーとは、アメリカでは自動車のハッチを開けてピクニックをすること。
アメリカのスタジアムの駐車場は広大なので、試合の何時間も前からピクニックをして丸一日楽しんじゃおうという習慣があります。
関西学院大学のOB会が始めたテールゲートパーティーとは、そんなアメリカの習慣を参考に、学生アメフトの会場でキッチンカーなどを集めて飲食や遊びのコンテンツを用いた取り組みです。
プロスポーツ会場では珍しくない光景かもしれませんが、学生スポーツでの取り組みは珍しいと思いますし、コートサイドのギリギリのところにまでテラス席を設けて試合が楽しめるというのはこのテールゲートパーティならでは!
普段ではなかなか見ることができない景色でアメフトが楽しめるということで、今年が3年目の取り組みですが、年々評判が増しつつあるイベントです。
さてそんなテールゲートパーティーで唯一、現役の大学生が自主出店しているブースがあります。
それが関西学院大学国際学科「木本ゼミ」が展開する「日本酒カクテル」です。
「若い世代に日本酒をもっと飲んでもらいたい」
という日本酒振興を掲げ木本ゼミが取り組んでいるプロジェクト。
僕らはテールゲートパーティーで初めて知ったので、今年で3年目のお付き合いですが、この日本酒振興の取り組みには13年の歴史があるとのこと(!)。
日本酒カクテルは2期生の時から始まっているそうです。
ファイターズのアメフト同様、学生なので毎年メンバーが入れ替わるわけです。
今年は14期生(3回生)が中心となって活動しており、毎年テーマを決めてブラッシュアップもされている。
毎年、新たな学生がその時代にも反映して研究テーマを設け、その実践の場になっている。
学生ならではな動き方も良いですね。
ブラッシュアップのひとつが今年の新メニュー。
今年は「しゅわレモ」など、甘くない口当たりのメニューが加わりました。
「若い世代に親しんでもらえる日本酒カクテル」というのがコンセプトなので甘口のメニューが多かった日本酒カクテルなのですが、今年はターゲットの年齢層を広げて辛口のメニューを追加しました。
のんべのウチのカメラマン「あ」さんもさっそく「しゅわレモ」を試していましたよ。
口当たりスッキリなのは、これからの暑い季節にもぴったりだと思います。
テールゲートパーティーはかなり年配のOBの方も多くいらっしゃるので、辛口のものも考案したそうですが、これは年齢層関係なく楽しめるものだと思います。
ベースの日本酒は「剣菱」を使用。剣菱もスッキリ辛口系なので、相性も良いですね。
口当たりの良いカクテルならではな楽しみ方ができる一品でした。
年配のお客さんの中には「日本酒のまま飲みたい」という声もあるでしょうが、カクテルという新たな楽しみ方もぜひ試してほしい。
味変できるのもカクテルの楽しみ方ですよね。
ほかにも美酢(みちょ)をミックスした「みしゅ」シリーズとネクターをベースにした「とろモモ」。
甘口のカクテルも取り揃えていて、幅が広がりましたね。
日本酒カクテルを購入されたお客さんにはアンケートも実施していました。
こうしたアンケートは協力してくださっている酒蔵の方にもフィードバックされるそうです。
今年のアンケートのテーマは「日本酒を選ぶ際に重視するポイント」。
「味や香り、価格といった要素に加えて「ラベルデザイン」で選ぶという意見を多数得られたのは新たな気づきでした」
と、リーダーで3回生の竹谷太一さんが教えてくれました。
試飲したり評価を見て選ぶこともありますが、僕も酒屋さんで「ジャケ買い」することがあります。
お酒本来の性格をラベルに表現していることもあるし、個性的なラベルは気になりますよね。
パッケージやラベルといった「見た目」が商品の購買力を左右する。
普段イラストレーターをしている僕にとってもこの意見は嬉しいお話でした。
さて今回のテールゲートパーティーにはOBも出店参加されていました。
木本ゼミOBでファイターズOBでもある馬淵太誠さん。
馬淵さんはお祖父母が経営する食堂の名物餃子をECサイトで販売する活動をされており、今回の「日本酒カクテル」ブースに餃子販売で参加。
良いお酒には良いおつまみが必要ですよね。
お互いの良さを引き立てる意味でも、一緒にフードを販売するのはナイスアイデアですね!
秋田県にかほ市に実店舗がある「園食堂」の名物餃子。
具がぎっしり!ジューシーさに加えて玉ねぎを使用しているという甘みもあって、比較的さっぱりといくらでも食べされそうな餃子でしたよ。
一度はメニューから姿を消した餃子を復活させ、ECサイトへの販売と展開しました。
60年続く「園食堂」の暖簾と味を、ECサイトというかたちで受け継いでいきたいというのが馬淵さんの考えです。
全国にファンがいるという「園食堂」には餃子以外にも、豚のロース肉がドンと乗った豪快な「肉タンメン」というのが名物なんだそう。
秋田まで行くのは大変なので、一度餃子と合わせて取り寄せてみたいと思いました。
毎年日本酒カクテルを考案して出展を重ねている木本ゼミ。
テールゲートパーティー以外にも様々な試飲会に参加したり、国際学科らしく海外にも進出することもあるそう。
日本酒振興の取り組みは、財務諸表分析や会計学といった本来の学問の実践の場としても活動されています。
日本酒の再興を企業分析の世界に反映されているというのも、面白いですね。
一時期、衰退しそうになった日本酒の世界ですが、最近は個性的な地酒が人気を取り戻している時代。
灘五郷は老舗の大手メーカーもあるので、企業研究の場としても絶好の環境かもしれません。
「実際にお客様と接してお話を伺って、さまざまな気づきを得ることができました。こうした学びはゼミ内で共有し、今後の活動に活かしていくことで、これからもより多くの方に日本酒を楽しんでいただけるよう取り組んでいきたい」
竹谷さん(写真右)が頼もしく語ってくれました。
僕も日本酒が好きなので、地元灘のお酒をはじめ日本酒が再評価されることはとても嬉しいし、若い世代が新しい感覚で日本酒の楽しみ方を提案し、さらに企業成長の取り組みにまで発展してくれることに期待したいです。
日本酒振興をきっかけに骨太な企業経営を学ぶ場としても展開していく木本ゼミ。
これからも彼らの活動を応援していきたいですし、また来年はどんな取り組みと新しいメニューを考案してくれるのか、楽しみです!
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スポーツイラストレーターT.ANDOH
おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。 |
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