スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(103)覚醒の兆し見せた二世選手、太田椋

2024年8月6日 (イラスト・文/T.ANDOH)

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
さて
オールスターを過ぎても連敗癖が治らないオリックス・バファローズ。
名古屋に住んでると中日ドラゴンズの低迷っぷりが毎日のように噂されてくるのですが…、オリックスと中日、勝ち星あんま変わらないんですよね。

「決定打」を打つ、つなぐという攻撃のリズムが出来ないのがもどかしい攻撃陣ですが、今シーズンはそのなかでもチャンスを掴む打撃が光っていたのが、6年目内野手の太田椋選手ではないでしょうか。

レギュラー定着を目指す6年目も開幕直後は打撃低迷で一度はファームに落ちましたが、5月に再昇格すると打撃が開眼!
交流戦前の楽天戦でチームの連敗を4で止める逆転の2点タイムリーを放ちました。
交流戦も調子が良くて、5月30日の広島戦でも逆転勝利を導くタイムリーを満塁の場面で打ったし、6月6日の横浜戦には1点ビハインドをひっくり返すホームランを放ちました!
西川選手、紅林選手と並んで不動のクリーンナップに名を連ねる時期もあり、とかくチームの悪いスパイラルからの脱却を、バットで導いてくれた印象があります。

奈良の天理高校から2018年にドラフト1巡目で指名。
丈夫な身体と野球センスは父親譲りです。
ファンにとっては有名な話ですが、太田選手の父、暁(さとる)さんはオリックスのバッティング投手を長らく務めておられます。
現役時代は近鉄バファローズで内野手を務めた選手です。
現役引退後に近鉄の用具係に転身ののち、スローイングの良さからバッティング投手に転向して四半世紀を過ごされています。

僕は高校生の頃にファームに出られているお父さんの姿は見たことがあります。
当時の選手名鑑などにも書かれていたエピソードなんですが、現役時代につけていた背番号が51番だっただけに、”顔と名前が一致しない”現象が起きがちなファームの試合では、太田さんのことをよく知らない子どものファンなどからイチローさんに間違われたり、イチローさんと比較されるようなヤジもよく飛ばされていたんだそうです。
また暁さんは左打ちでもあったので、よけい言われたんでしょうね。

個性派集団の近鉄の中では身体の線も細かった暁さんは一軍定着も厳しく、1996年に現役を引退され前述の球団スタッフに転身します。
しかし球団スタッフを長く続けられることもなかなか難しいことなんですよ。
とくにバッティング投手とは、正確かつ安定したピッチングが通年にわたってできなければいけない。
さらに選手の要望に応えた投球も求められるうえ、自分の調子の良し悪しを選手に影響させられない。
チームから全幅の信頼を得られているからこそ、50歳を過ぎてもバッティング投手が続けられているのが、父暁さんなんです。

そんな父の背中を見ながら自身も野球界の王道を歩んできた椋選手です。
野球センスは抜群な選手だと思うのですが、毎年良いところでケガにも見舞われています。
今年も好調をキープしたままオールスターにも選出されましたが、直前の7月21日の楽天戦で起きた右踵骨挫傷により戦線離脱。そしてオールスター出場も辞退となってしまいました。

しかし、浮き沈みはあっても今年の好調には太田選手の将来を期待したい。
いまのオリックス打線で打順を固定させた時期があった数少ない選手です。
チームが困窮している時に、不調を打破する思いきりの良さも、これからのオリックス打線を牽引する立場に成長してほしいですよね。
お父さんも待つ一軍の舞台に一日も早く戻ってこれて、オリックス立て直しの中心を担う選手になってほしい。
覚醒の兆しを見せてくれた太田椋選手の復帰を心から祈ります。

 

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スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。

プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。

プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。

名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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