南 郁夫の野球観察日記(137)兵庫県出身ご当地選手を応援しよう!選手名鑑で遊ぼ

2023年2月19日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

ようやく書店にいろんな選手名鑑が並び、いよいよ野球選手のスパイクの音が近づいてきた感がある。今季はいよいよ私の気がかりな案件も「個人の判断」らしいので、格別に楽しみな球春だ。ビバ!個人の判断。というわけで、いそいそと毎年の楽しみである「名鑑選び」に本屋に走り、数ある中から「ある観点」のみでこれを購入!

表紙、ださっ。しかもA5サイズで持ち歩きにくっ。じゃなんでこれを選んだかというと、この名鑑のみ選手の出身地表記が異様に詳しかったのん。例えば、清宮幸太郎の出身地はどの名鑑を見てもただの「東京都」だが、この名鑑だけは「東京都新宿区」。佐藤輝明は「兵庫県」じゃなくて「兵庫県西宮市」。そう、市町村区分まで記載されている名鑑はこれだけなのだ。それだけで、その選手の背景がよりリアルに浮き上がる気がしませんかえ?

名鑑にはいろいろな遊び方があるが、今回はこの特殊名鑑を使って、パ・リーグの兵庫県出身者を市町村まで把握して拾っていこうと、閃いたのである。K!SPOだし、私も生涯のほとんどを神戸や阪神間で過ごしてきた人間だし、ということで。一体、球界に兵庫県出身者はどんくらいという興味で。

グローバル幻想は終焉し、これからは「ご当地」時代。それを押し出している球団も多い。地元出身者に肩入れするのは、ごく自然なこと。皆さんもぜひ、名鑑で年俸ばかりチェックせずに(ワシやないかい!)ご自分の市町村出身の選手をチェックしておくと観戦の面白みも増すかも、である。「へえ、そうなんや~」程度でもね。

でわ、スタート!(育成選手は含みません)

<オリックス>

・村西良太 #22 「淡路市」 26歳 4年目 投手 右左 1700万

・吉田凌 #66 「西脇市」 26歳 8年目 投手 右右 1900万

・東晃平 #95 「小野市」24歳 6年目 投手 右右 800万

・石岡諒太 #00 「神戸市」31歳 8年目 内野手 左左 700万

・来田涼斗 #38 「神戸市」21歳 3年目 外野手 右左 800万

5名、と思ったより少なめで主力選手はいない。地元なのに、と思ったら、そうか本拠地は大阪か(涙)。それでも神戸市出身が2名。神戸のK!SPO的にはやはり来田君の今年に期待したいところ。チームの打力アップに、のんびりしている暇はない。ところで全員の出身地が東経135度ラインに位置しているのは偶然?なんらかのメッセージ?

 

<ソフトバンク>

・甲斐野央 #20 「西脇市」27歳 5年目 投手 右左 3600万

・野村大樹 #55 「宝塚市」23歳 5年目 内野手 右右 900万

・野村勇 #99 「神戸市」27歳 2年目 内野手 右右 2500万

・佐藤直樹 #30 「神戸市」25歳 4年目 外野手 右右 1400万

玄界灘にも4名確認。有望なダブル野村がともに兵庫県出身とは知らなんだ。オールドルーキー野村勇はスター街道まっしぐら、野村大樹は私の現在の居住地出身なので、二人とも要注目である。

 

<西武>

・増田達至 #14 「洲本市」35歳 11年目 投手 右右 30000万

・松本航 #17 「朝来市」27歳 5年目 投手 右右 6500万

・田村伊知郎 #40 「神戸市」29歳 7年目 投手 右左 1000万

・栗山巧 #1 「神戸市」40歳 22年目 外野手 右左 17900万

・岸潤一郎 #68 「尼崎市」27歳 4年目 外野手 右右 1450万

5名、しかも結構な高給取りの大物が3名も在籍。いまだに神戸開催試合で敵味方関係のない拍手を受ける現役レジェンド・栗山の存在は「神戸のヒーロー」と呼ぶにふさわしい。育英高校出身だし。ミスターライオンズが神戸出身とは嬉しいではないか。増田は淡路島のヒーローだね。

 

<楽天>

・田中将大 #18「伊丹市」35歳 10年目 投手 右右 47500万

・西垣雅矢 #49 「朝来市」24歳 2年目 投手 右左 900万

・安田悠馬 #55「神戸市」23歳 2年目 捕手 右左 1100万

・小深田大翔 #0 「佐用郡佐用町」28歳 4年目 内野手 右左 5000万

・辰巳涼介 #8 「神戸市」27歳 5年目 外野手 右左 5300万

 おっと、ここに最大の大物がいた!日米球界の英雄・田中の年俸は下がってもこれだもん。ここも5名のうち3名が主力と、兵庫県貢献度、高し。個人的に一番好きな外野手である辰巳は、今年マジでトリプルスリーを取るだろう。彼のだっるそうな神戸弁は最高である。

 

<ロッテ>

・中森俊介 #56「丹波篠山市」21歳 3年目 投手 右左 720万

・中村奨吾 #8 「三木市」 31歳 9年目 内野手 右右 20000万

あららの2名。とはいえ、主将が兵庫県出身である。にしても、中村が三木市出身とは、意外。早稲田卒のスマートなプレイスタイルで、なんだか都会の子になりすましている気がしてたので・・・。いや、三木市が田舎と言ってるわけでは、な、ないよ。中森投手は、来田君の明石商業の同級生ですな。

 

<日本ハム>

・宮西尚生 #25 「尼崎市」38歳 16年目 投手 左左 5000万

なんと1名。ハムは戦略的に北海道志向を強めているが、大阪府出身者に至っては一人もいないという、極端な関西排除思考で結構笑える(京都はいるけど)。宮西は関西弁も喋りにくいだろうが、尼崎根性でまだまだ爪痕を残してほしい。

 

<参考:セ・リーグ>

代表的な選手(主観)のみ

・山田哲人(ヤクルト)「豊岡市」

・佐藤輝明(阪神)「西宮市」

・近本光司(阪神)「淡路市」

・大勢(巨人)「多可郡多可町」

・坂本勇人(巨人)「伊丹市」

・小園海斗(広島)「宝塚市」

山田は珍しい寒冷地・豊岡市出身。引退した能見さんも豊岡(当時は出石町)の出身ですねえ。田中と並ぶ伊丹市のもう一人の雄・坂本には、空港以外なんもない(こらこら)地元のためにも、本人の名誉のためにも(こらこら)復活を望む。佐藤はまさに甲子園球場の地ヒーローなわけで、フランチャイズの理想形だなと思う。

というわけで。選手の出身地が「**市」までわかっただけで、結構盛り上がるっしょ?を実感していただけたであろか?私だけ?そうですか。いっそのこと、プロ野球チームをもっと「いい感じ」に分散させて、出身地域ごとにチーム構成してしまえば「戦国時代」みたいになって面白いのに、と妄想が膨らんでしまった。

みなさんも、今のうちに選手名鑑でいろいろ遊びましょう。

 


<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
著書「野球観察日記 スタジアムの二階席から」好評発売中!
https://kobe-kspo.com/kspo/sp145/

 

 

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