南 郁夫の野球観察日記(57) オリックス後半戦スタート! 今年こそはいけるかも!と、思っていたら…

2018年7月19日(文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

オールスターも終わり、いよいよペナントレースも山場。今年のオリックスはこの段階で(夢の?)5割をキープ。7月18日現在4位とはいえ上位と僅差で、「クライマックス圏内?」な雰囲気なのである。あれ? ほとんどのチームが5割超えてる気がするが、きっと気のせいである。故障者や調子が出ない主力も多いのに、目立った連敗もなくしぶとく戦うオリッ戦士たちに「今年こそは」な期待は高まるばかり。意気揚々と、後半戦スタートシリーズの7/18(水)日本ハム戦に参戦だ!

参戦… だが。大好きな「ほっともっと神戸」ではなく、京セラドーム大阪に、である。試合日程を見て「げっ」となった神戸のオリックス・ファンは多かろう。なんと7、8月の2カ月間の神戸開催は七夕大花火ナイトの1日のみ。しかも(取材も入っていたのに)その日は涙の豪雨中止。ご存知のように私は「野球はお空の下で…よな」とほざくオールドファンだ。んが。オリックスにとっては大事なボーイズ・オブ・サマー。好きくなくても… ドームでしか試合がないのなら、行くしかないのだ、大阪にー。

気持ちを上げるため「ドームを好きになろうプロジェクト」を自分に向かって展開。

1)エアコンの誘惑
亜熱帯でしょうがこれ! と汗まみれで叫ぶ、デンジェラスな今年の夏。夜でも30度超えちう異常事態においては、やはりドーム球場が快適であることは認めざるをえない。甲子園の「頭からお湯をかぶったような」虎ファンを目の当たりにすると、クールなドーム観戦は、確かに天国ではある。半ズボンだと「スースー」するくらいだ。夏は「エアコン=神」。これに抗うことは、難しい。

2)充実の付帯設備
今となっては地方開催感満点の(それがいいのだが)神戸に比べて、さすがドームの各種施設は充実。全体にはバブル崩壊感が色濃く漂うとはいえ(こらこら)、基本的に設備は綺麗でショッピングモールのよう。例えばハンバーガーだけで3社競合(マクド、モス、フレッシュネス)ちう選択肢豊富な環境はありがたい。トイレもとても清潔だし、過ごす場所としては快適なのである。荒廃して終末感満点だったドーム前に「イオン」が進出して以来、より利便性が増しているのもある。ちなみにグッズショップも物量豊富で、この日はワゴンセールには伊藤のユニを買い求める人が殺到していた… しーん。

3)意外といいアクセス
目の前まで阪神電車と大阪メトロが乗り込んでおり、電車アクセスは至便。梅田からドームまではちょうど三宮から「ほっともっと」くらいの所用時間。加えて「イオン」の駐車場を利用して車でのアクセスというチョイスもあり。平日は特別な駐車料金設定もなく、気楽である。週末等の特別料金も、甲子園試合時「ららぽーと」駐車場のよな「キャッチバー料金」ではなく、安心して使える。参考までにいうと、下の道を使っても夜間ならドームから西宮あたりまで車で30分以内。車で行くのもあり、なのである。

以上、「ドームを好きになろうプロジェクト」でした! ま。こんなこと言わなくてもチームがどんどん「高み」に上っていけば、黙っていても神戸からファンは殺到するわけである。期待の後半戦スタート、とりあえず7/18(水)の日ハム戦はどうだったか?というと…

チャラーン!ディクソン完封、ラオウ杉本2戦連続満塁弾の「11- 0」でオリックス、完勝である!

 

これまでの低迷ぶりがウソのようなディクソンのビシビシの奪三振ショーと、常時接続つながる打線で着々と加点するオリッを、「エアコンの効いた」指定席で優雅に観察ちう、素晴らしい納涼の夜となったのである。ええやないか!京セラドーム… ちうか、後半戦のオリックス!

何と言っても、杉本の恐るべき長打力よ。セカンド頭上を襲ったように見えたライナーがぐんぐん加速して右中間フェンス越えする光景が、待望の右の日本人長距離砲の誕生を高らかに告げる。田口さんインタビュー時に二軍のグラウンドをひたすら走っていた彼の姿を思い出したり。ここまで「ほぼ二軍」だった杉本が後半の起爆剤になれば、まちがいなくチームに勢いがつくであろう。彼が打てばベンチも異様に盛り上がる。いいキャラである。

そしてディクソンの復活は、他の先発投手が決め手を欠く現状で、非常に大きい。6年目で日本の気候に慣れたのか、今年は恒例の「夏失速」の逆で「夏スタート」のようである。見分けがつかない二人の娘さんのためにこれからエース級の活躍をしてくれるだろう。

杉本の衝撃でかすんでしまったが、この日のオリックス打線はいいかんじであった。吉田正にはすでに主軸打者の風格が漂うし、伏見や西野、後藤駿太といった「やってくれなきゃ困る」中堅どころがしっかりつないでいく。チーム力がようやく上がってきたなあ、と感じさせる今のオリッである。安達も元気。T-岡田、中島、小谷野といった離脱組が後半の正念場に帰ってくれば、今年のオリックスは大いに「ある」のではないかと思う。あるある。

 

暑い夏。どうせだから、オリックスも熱い夏になってほしい。野球が熱いのは、大歓迎である。あるある。

追記:と、意気込んでいたら、7月20日以降、ロードに出たとたん、まさかの大失速。泣
ここは踏ん張りどころ!がんばってほしい。

 


<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」

著書「野球観察日記 スタジアムの二階席から」好評発売中!
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