南 郁夫の野球観察日記(3)
スペシャル企画・田口壮さん!ロングインタビュー(前編)

2016年5月26日(取材・文/南 郁夫)



皆さんっ。「野球観察者」の南郁夫です。
えらいこっちゃである。今回、編集部から依頼された企画はなんと

オリックス二軍監督・田口さんを取材してください!

「そ、壮なんですか!」
切れのないカーブのような冗談もうわずりながら、二軍の練習場である「神戸サブ球場」に出動っ。今回はのんびり観察しとる場合では、ないのである。そしてそこには本物の、田口さん。

さっそくインタビューに入らせていただくことに、する。


ーーいきなりですが。高校時代、自宅から険しい山の上の兵庫県立西宮北高校まで走って毎日通学していた(約5km)という「田口伝説」って、本当なんですか?

「はいっ。カバンかついで、走ってました(笑) 学校に着いても、裏山走って砂場走って鉄棒ぶら下がって。野蛮人でした(笑) まさに野生の子どもでしたね。山道を走るのは、とってもいいんですよ。足腰にもいいし、絶好の環境でしたね。体力つきました」

*その基礎体力を元に、進学した関西学院大でいまだに破られない連盟最多安打記録〜1991年ドラ1でオリックス入団〜リーグ優勝・日本一に貢献〜メジャーリーグでワールドチャンピオン2回〜オリックス復帰。の田口さんである。


−−2012年の引退時は、セレモニーもなくさびしかったです。

「僕はねえ、引退ってそんなものかなと思うんです。家族には、ふんぎりがつかないとは言われましたけど。でもアメリカの選手って、シーズン終了後に“さらっと”やめていくんですよね。それがかっこいいなと、思っていましたんで」




−−そして。オリックスに戻ってこられて二軍監督。日本の二軍と田口さんが経験されたアメリカのマイナーは、違いますか?

「アメリカのマイナーリーグは、競争がすごくて、選手数が多い。結果が出なければやめていくだけ、という世界です。日本の場合は、選手の絶対数が少ないこともあり、環境がまったく違いますね。とにかく二軍は“育てる”場になります」


−−監督になられるにあたって、理想のイメージはありましたか?

「ないです。なにもない(笑) 最初にあるべき姿を作ると、そこへ合わそうとするので、それはあまり好きではないです。変われなくなることが怖い。かたくなには、ならないようにしたいんです。
監督というのは、今も見ないといけないし、3年後、5年後の遠い未来も見ないといけない。まあ、なるようになるだろうと、思っていますよ」


−−1万人の観客を集めた阪神二軍監督・掛布さんのように、ご自身のネームバリューを活かしていこうとかありますか?

「自分は…前に出るべきではないと思っています。選手を、前面に出したいです。お客さんの“あ、田口だ!”という声に反応しちゃうと、それは違うかなあ、と思いますね」




−−若くて無名の二軍の選手たち。どうやって育てますか?

「全員、かわいい僕の選手です(笑) 全員、なんとかしてあげたい。彼らの持っているものを100%出し切らせてあげたい、といつも思っています。
試合中、絶好調です!とか、用意できました!とか、アピールしてくれますよ。用意しろとも言ってないのに(笑)みんな元気だし。明るいので、彼らだったら何があっても、前へ進めると思っています!」


−−とはいえ、苦しい二軍の成績ではあります。

「今年中になんとか勝てるチームにしたい、という思いで、やっています。弱いというのは、僕自身がいやなんで(笑)
試合に“勝つ”ことで学ぶことが、すごく多いんです。負けるのは簡単ですが、勝ち方を学んでおかないと、一軍に上がったときに、困るんですよね。負けているゲームでいくら打てても、“勝つ”メンタルを持っていない選手は、ダメです。最後はチームで勝つ。その経験が一番重要ですね。だから、時間はかけても勝てるチームにしたいし、なんとかなる!と思って、やっています」


−−やはりそのためには、練習ですか? 選手にカミナリを落とすことも?

「練習量は多くないとだめ。だめですね。勝てないなら、試合後も練習しかないですよ。それが嫌なら上にいけ!ていう話です(笑)
 今、チームはウエスタンリーグで最下位です。そんな勝てないチームの選手がクビになったら、君たち、あとがないよと。他のチームから声はかからないよ、と彼らにはいつも、言っています。楽しくやってるのはいいですが、結果は自分たちにふりかかってくるんだよ、と」


−−一軍に上がる選手というのは、どう見きわめますか?

「目の色です。上に行ける選手は、勝負師の目になってます。そうなった選手は、1試合でもいいから使ってください、と(上に)言います。
悩ましいのは、上に行きそうで行けない選手、一軍に定着しきれない選手ですね。(一軍が)めちゃくちゃ弱ければチャレンジもできるけど、今の状態ではそれも難しいですしね」


毎日の練習と試合で、日に焼けた笑顔と白い歯が印象的な田口二軍監督。ロングインタビューは、まだまだ続きます。
次回をお楽しみに!





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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」


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