スポーツイラストレーター T.ANDOH の「OUTSIDER’s ReCALL」(178)スポーツを通じて若者に呼びかける、薬物防止キャンペーンの輪
2026年3月8日(文・写真/T.ANDOH)

こんにちは!
スポーツイラストレーターの T.ANDOH です。
今回は、関西学生アメフトリーグの試合会場で出会った、ある団体の活動についてご紹介します。
「薬物」
いきなりK!SPOらしくないワードで驚かせてしまったかもしれません。
ただ、若い世代を中心に、薬物をめぐる社会問題が決して他人事ではないことは、みなさんもご存知のとおりです。
「自分が直面することはない」と思っていても、気づかないうちに巻き込まれてしまう可能性を誰もが孕んでいます。
そんな薬物に対する危機意識を、学生アメフトの試合会場で知り得ることができました。

会場で薬物撲滅の啓蒙活動を行っていたのが、ドラッグフリーワールド(DFW)ジャパン のみなさん。
日本中から危険な薬物の撲滅を目指して活動している団体で、関西学生アメリカンフットボールリーグの試合会場では、シーズン中も何度かにわたって小冊子の配布やブースでの動画放映が行われていました。

配布されていた小冊子は、薬物の種類ごとに12種類が用意されており、成分、作用、用法、そして身体や精神にどのような影響を及ぼすのかといった情報を、誰にでも分かりやすく学ぶことができる内容になっています。
「麻薬」と呼ばれるもの以外にも、「アルコール乱用」など身近なテーマのものもあったりして、この資料も読ませてもらって、僕自身も改めて知ることもたくさんありました。

団体広報の馬川由美恵さんにもお話を伺いました。
「一番提唱したいことは、“正しい知識”を得ること」
薬物には、危険な違法のもの以外にも、「市販されているから」と、一見安全そうに見えるものでも、実際には身体や精神に深刻な影響を及ぼすものもあります。
合法と違法の境界が分かりにくい薬物も増え、グレーな状態のまま世に出回り、後になって社会問題となったケースも存在しますよね。
また、処方薬の濫用や市販薬の誤った使用も危険を伴うことがあります。
用法や用量を誤れば、かぜ薬であっても命の危険を伴うことがあり、快楽目的で過剰服用してしまう人がいるのも現実です。
こうして考えると、危険で違法な薬物に限らず、「誰もが触れてしまう可能性がある」という点で、薬物の問題は決して他人事ではないんですよね。
だからこそ、正しい知識を身につけ、自らの身を守ることが必要であり、それこそがDFWジャパンの活動の根幹なんです。

DFWジャパンのブースでは、実際のドラッグ経験者によるインタビュー映像や、世界各地での団体の活動の様子がディスプレイで紹介され、ドラッグに対して正しい知識を得られるようなパネル展示も行われていました。
そうした展示について、馬川さんは次のように語ります。
「(脅威を)知っていれば、薬物に手を出すことはないと思うんです。」
たとえば20階建てのビルがあったとき、そこから落ちたらどうなるか分かっているから、意図的に屋上に登らないですよね。
車がビュンビュン行き交う道路にむやみに飛び込まないのも同じ理由でしょう。
薬物も同様で、一度でも危険な使用をしてしまったらどうなるのかを具体的に知ることで、初めて実感を伴った「恐怖」が生まれます。
正しく知ることで、近づかなくなれる。
DFWジャパンの活動には、そんな明確な理念がありました。

現在DFWジャパンは、読売新聞と協力して小中学校で薬物乱用防止教室を開催するなど、各地で啓蒙活動を展開しています。

昨年は関東でも、東京大学や法政大学でセミナーを実施されたそうです。

※川口隆弘、関西学生アメリカンフットボール連盟理事長(左)と
そんななか、学生が主体的に薬物に対する見識を身につけてほしいという思いから、関西学生アメリカンフットボールリーグもDFWジャパンの活動に協力していて、アメフト試合会場でキャンペーン活動が実現しています。

昨年末に甲子園ボウルが行われた甲子園球場周辺でも、現役のアメフト部員が学生ボランティアとしてパンフレット配布に参加していました。

参加した学生ボランティアの皆さんも語ってくれました。
「こうして参加させていただくことで、我々にも当事者意識が高まる思いです」

「自分には無縁のことと思っていても、『もらい事故』に遭うこともあると思います」
「いざという時に“触れない勇気”、“断る勇気”を持つことが大事だと思います」
アメフトの世界でも、過去には薬物問題が原因で廃部に追い込まれた大学がありました。
若者にまつわる社会問題として、薬物の問題は残念ながら後を絶ちません。

現状では、大阪府が大麻の検挙率が5年連続で1位となっており、その73%が30代未満なんだそうです。

「将来の日本を担う若者たちをドラッグから守りたい」
学生を筆頭に、若い世代に薬物に対する正しい知識、脅威を広めることで、社会に進んでも正しい判断ができる人間になってほしいと願っています。

DFWジャパンの活動はアメフト会場に限らず、三宮駅前をはじめ兵庫県内の繁華街でも不定期にキャンペーンを行っています。
馬川さんは、啓蒙活動をベースに理解してくださる方を増やし、今後は薬物防止のセミナー活動を、関西の学校でもさらに広げていきたいと語ってくれました。
ぜひ神戸の皆さん、とくに学校関係者や教育現場の方に、このDFWジャパンの活動を知ってほしいと思います。
若者が多く住み、集まる街だからこそ、早い段階で正しい知識に触れる機会が必要ですよね。

そしてアメフトの世界をはじめ、あらゆるスポーツの現場で、選手たちが健全な競技生活を送り、努力とフェアプレーが正当に評価される環境であり続けるためにも、薬物防止の流れは欠かせないと思います。
競技力向上のためではなく、自分自身を守るための知識として、薬物に向き合う文化が、スポーツの世界から社会全体へと広がっていくことを願っています。
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スポーツイラストレーターT.ANDOH
おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。 |
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