スポーツイラストレーター T.ANDOH の「OUTSIDER’s ReCALL」(176)親子牛、太田椋とチームを支える父暁の野球旅

2026年2月11日(イラスト・文/T.ANDOH)

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
先月、太田椋選手と渡部遼人選手の自主トレにお邪魔したのですが、その際、太田選手の実父であり、オリックス球団職員を務める太田暁さんにもお会いしたいと思っていました。

「うわぁー!これは実家行きやな(笑)!!」
松山で見学の記念にイラストを描き、ご本人たちにお渡ししました。
そして、太田選手と、自主トレに参加されている父暁さんにはこのイラストをプレゼントしたところ、とても喜んでいただけました。

太田親子の、時空を超えたコラボレーション。
似顔絵イラストだからこそ表現できる一枚です。
いまの時代、生成AIで写真合成もできるかもしれませんが、イラストの方がロマンあると思いませんか!?
本当に喜んでくださったのが、ねらい通りで嬉しかったです。

そして暁さんから、現役時代のお話も少し伺うことができました。
太田暁さんが30歳のときに太田椋選手が誕生。
当たり前のことですが
、太田選手の30年前を、プロ野球選手として生きてきた方です。

1988年、帝京第五高校から近鉄バファローズにドラフト6位で入団。
投手として指名されましたが、選球眼の良さを評価され野手に転向。
しかし、1軍の壁は厚いものでした。

ルーキー時の1989年といえば、近鉄バファローズは優勝の年。
仰木監督率いる猛牛打線が圧倒し、壮絶な10.19決戦から1年越しで悲願を果たした、ドラマチックな時代です。
内野には金村義明さん、村上隆行さん、真喜志康永さんら錚々たるメンバーが揃っていました。
1軍出場は通算7シーズンで3試合。
晩年は背番号51をつけていたことから、ちびっ子ファンに「イチローや!」と指をさされることもあり、悔しさを感じたそうです。

そんな暁さんが現役だった頃、僕はナゴヤ球場でファームの試合を親子でよく観ていました。
間接的ではありますが、同じ時代、同じ場所で野球を見ていたことになります。
僕がファームの試合を見ていた1996年当時、内野では中村紀洋選手が1軍で頭角を現し、ファームでは中村良二さんがクリーンアップを務めていました。

その中村良二さんが、のちに天理高校監督として太田椋選手を育てることになるのも、何かの縁を感じます。
群雄割拠の近鉄内野争いに挑んだ暁さんですが、1996年シーズンを最後に現役を引退。
翌年からは球団職員として用具係に転向しました。

奇しくも同じ年、僕もナゴヤドームで球場スタッフのアルバイトを始めます。
記録係やボールボーイを務め、ファームの試合も担当し、暁さんが飛び込んだ“裏方の世界”を、僕も垣間見ることになりました。

プロ野球の裏方さんは、本当に面倒見の良い方ばかりなんです。
選手より早く現場に入り、選手が居残りをすれば最後まで付き合う。
派手な舞台を「整える」仕事だからこそ、支える力が求められます。
当時の近鉄ファームのスタッフは、とても気さくでおおらかな印象でした。
こっそりボールや折れたバットをくれたことも、今では良い思い出です。

一方で、選手育成には厳しく、ナゴヤ球場の片隅でブルペンコーチと若手捕手が投球術を議論する姿は、聞き耳を立てるほど勉強になりました。
ここにいる選手全員が1軍で活躍できたらいいのに。
そう思えるほど、選手もスタッフも真剣に野球と向き合っていました。

そんな世界で暁さんは用具係を経て、バッティング投手へ。
オリックスと近鉄の合併後もチームに残り、いまもその右腕を選手育成に捧げています。
「そんなに投げられなくなりましたよ」
そう穏やかに語る暁さんですが、高校まで投手だった経験と選球眼の良さから、回転のきれいな球は選手からの評価も高く、太田椋選手の打撃練習でも投手を務めています。
1996年に引退してから、今年でスタッフ歴30年。
一つの球団でこれほど長く現場の裏方を務める方は稀で、目下のところユニフォームを着続けているスタッフでは暁さんただ一人。
球団が合併しても残り続けた事実が、暁さんの実直で謙虚な人柄を物語っています。

今回お話を伺い、暁さんの歩んできた道と、近鉄ファームの現場を振り返ることができました。
プロ野球が華やかであり続ける背景には、こうしたスタッフの存在があることを、もっと多くの人に知ってほしいと思います。

バファローズという縁でつながる太田親子の野球旅。
椋選手は少し怪我をされたそうですが、キャンプも中盤。
しっかり身体と向き合い、また暁さんの球を打ち返し、年間20本塁打という目標を達成してほしいですね。
暁さんもまた、誰より近くで息子の成長を見守っています。
これからも多くの選手を育て、強いバファローズを支えてほしい。

読者の皆さんも、ぜひ試合前練習やファームの試合に足を運び、スタッフの仕事にも目を向けてみてください。
プロ野球の奥深さを、きっと感じられるはずです。

 

※イラスト・写真の転載・無断使用はご遠慮ください。使用をご希望の場合はK!SPO編集部までご連絡ください。


スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。
プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。
プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。
名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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