スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(171)オリックス・バファローズの新ユニフォームと新しいトレンドを考える!

2026年1月6日(イラスト・文/T.ANDOH)

あけましておめでとうございます!
スポーツイラストレーターの T.ANDOH です。
今年も野球、アメフトと年中スポーツを追いかける一年になりそうですが、ぜひ他にはない、少しマニアックな視点でお話ができればと思います。
読者の皆さんもぜひお付き合いいただければ幸いです。

新年一発目として!
昨年のオリックス・バファローズのファン感謝デーで発表された2026年の新ユニフォームについてお話しましょう。
イラストレーターとして、そして自称「野球ユニフォームマニア」の視点から(笑)、描く側・見る側の両方の目線で考察してみたいと思います。

大幅なモデルチェンジではないものの、今回のユニフォームは、バファローズのマークがBsからBに変わった2019年シーズン以来となるテコ入れとなりました。
昨年まで襟元と袖、パンツのラインに入っていたゴールドとネイビーの3本線は、太めのゴールドとネイビー、そしてホワイトを加えたラインに変更。
ゴールドとネイビーの2本線の間に細いホワイトが入る、少し変則的な構成です。
また、ゴールドもよりツヤ感のある輝きにアップデートされています。
オリックス球団は、長らくネイビーとゴールドをコンセプトカラーとして確立し、チームのブランド戦略を築いてきました。

「チームの結束、ファンの絆、地域との広がりを象徴するネイビーとゴールドを大胆にあしらいました」
球団のリリースからも、このカラーをより強調したことが分かりますね。
ベースデザインを大きく変えないのも、“バファローズ”という印象をブレさせず、ファンや地域に愛着を持ってもらうための戦略だと感じます。

僕は、コロコロとユニフォームを変えるのはあまり好きではないんです。
ヤンキースのピンストライプ、巨人のオレンジのように、「変わらない」ことこそ、伝統球団ならではの最大の魅力。
時代を超えて親しまれる力強さは、ファンに向けた大きなポリシーの象徴だと思っています。

バファローズがネイビーとゴールドを取り入れたのは2011年。
かれこれ15年、このカラーを一貫してきました。
だからこそ今回のアップデートは、「変わらないこと」を大切にしてきた15年の積み重ねを、あらためて可視化するものだと感じましたね。

 続いてビジターユニフォーム。
こちらもホームの色違いレイアウトで、シャツは袖のラインのみとし、パンツと連動した太めのラインが印象的ですね。
ユニフォームのトレンドという視点で見ると、この太めのラインが新しい流れになるのか注目したいところです。
2011年に取り入れられたラケットラインや、昨年までの細めの3本線はいずれも当時の流行を反映したデザインで、MLBをはじめ、ヤクルトや楽天などが先行して取り入れてきました。 

そこにきて近年は、よりスッキリしつつインパクトのあるライン表現へと流行が移りつつあります。日本ハムはその例ですね。
そうした流れの中で、襟元を整理し、これまでにない太さとバランスのラインを配置した今回のデザインは、全体として洗練された印象を受けます!
このラインがバファローズ発の新たなトレンドとなるのか、それとも唯一無二のデザインとして定着するのか。
実際に選手が動く姿を見てみたいユニフォームですね。

そしてもう一つ評価したいのが、ビジターのパンツがグレーになったこと!これは個人的にもかなり嬉しいポイントです!!
野球ユニフォームの基本として、ホームは白基調、ビジターは色付きという原則があります。
“色付き”という概念が上下ツートンという表現に変わって定着していますが、ツートンでもパンツは白というケースが多くて、これは「色付き」という定義からは疑問を持っていたんですよね。

かくいう昨年までのバファローズも白パンツでしたが、上下ツートンでもパンツは色付きであるべき、というのが僕の考え。
MLBではパンツも色付きが原則ですし、昨今はサードユニフォームの多用で両チームがツートンのユニフォームを着用するというケースもよく見られます。
ホームとビジターを明確に分ける意味でも、今回の“パンツがグレー”は非常にポイントが高い変更点です。

そしてサードユニフォーム。
ここでは一気に個性を打ち出してきましたね。
Buffaloesの「B」には、阪急ブレーブスをオマージュした流線型の新書体を採用。

1936年に阪急軍としてスタートしたオリックス・バファローズ。
ほんとうは、今年で球団のルーツができて90年なんですよね。
譲渡や合併を経てきたなかで「90周年」と明言しづらい立場ではあるものの、過去をリスペクトしながら新しい一歩を示すカラー(書体)の確立という、歴史の継承のあらわれとして、とても興味深いですね。

 濃いグレーを基調とした上下濃色のデザインに、ネイビーのストライプを織り込んだ構成も新鮮です。
戦前・戦後の阪急軍に見られた濃紺ベースに白ストライプというユニフォームへのオマージュも感じられるのは、僕だけでしょうか!?
濃色の中で際立つゴールドの書体も魅力的です。
プリント全盛の時代に、刺繍ユニフォームを守り続けている点にも、バファローズらしさが表れていると思います。

そして最後に!
画期的なこととして、今回のユニフォームは神戸を本拠とするアパレルメーカー、ワールド社のグループであるエムシーファッション社という会社がユニフォームの開発と製作を担うということです。
ワールド社は、じつはかつてもオリックスのビジュアル戦略にユニフォームデザインで参加してきた地元、神戸の会社。
あの斬新だった仰木監督時代のブルーウエーブのスタジャンをデザインしたのがワールド社でした。
それでも、当時このスタジャンやユニフォームを作ったのはミズノ社。
けっきょくデザインを施してもユニフォームの製作はスポーツ用品メーカーに依存していることが現状でした。

こうしたビジュアル戦略を尊重し、スポーツメーカーに依存したデザインコンセプトから脱却する流れが、加速するかもしれませんね。
バスケや他スポーツだと、地域のメーカーとコラボをして一緒にブランドコンセプトを構築して一貫性を持たせるケースもあります。
今回はNPBというビッグクラブがこうしたブランド展開を発表したことは、新しい流れができるかもしれません。

今回のバファローズの2026年ユニフォームは、一貫した球団ブランドをより強く打ち出すためのアップデートだと感じました。
ネイビーとゴールドという軸をぶらさず、ラインの表現やビジターのパンツカラー、サードユニフォームでの歴史へのオマージュまで、すべてがチームブランドを補強する方向に向いている。
さらに地元企業が開発を担うという試みも含め、単なる新デザインではなく、球団の姿勢や未来像を示すメッセージでもあるように思います。

2月にはこの新しいユニフォームに身を包んだ選手たちが始動します!
実際にフィールドで動き出したとき、このユニフォームがどう映るのか、シーズンを通して見ていきたいですね。

 

 

※イラスト・写真の転載・無断使用はご遠慮ください。使用をご希望の場合はK!SPO編集部までご連絡ください。


スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。
プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。
プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。
名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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