南 郁夫の野球観察日記(220)福田周平は終わらない2

2026年1月4日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

プレイスタイルそのままに、人生の決断も早かった。昨年末にひっそりと、福田周平の現役引退が報じられたのである。NPBが無理でもどこかで野球を続けてほしいというファンの身勝手な希望を覆し、ついに周平がユニフォームを脱ぐときがきた。

実際の本人インスタには球団とファンへの感謝が綴られ、最後に「第二の人生、また一から頑張ります!!!」とある。「ん?野球辞めるとは書いてないけど?」と思うが、さすがに報道機関は裏を取っているはず。引退ということなのだろう。

オリックスを戦力外になったとき私が書いた惜別コラムは、かなりの反響があったと聞く。持って行き場のないファンの思いを代弁していたのなら光栄である。周平はみんなにとって特別な選手だった。彼がグラウンドを「駆けずり回って」成し遂げた連覇のめくるめく日々を、我々が忘れるわけはないのである。

周平の「意を決した」プレーが試合を動かす躍動感を、肌で思い出せる。たとえそれが、ムササビのように突っ込んで「後逸」したボールが外野をころころ転がるシーンであっても。周平が頭からいってダメなら仕方がない、突っ込む周平が好きだ。監督に叱られなければいいけど…。そんな感情移入ができる稀有な存在が、福田周平だった。

25歳での入団以来、濃密なオリックスでの8年。大観衆を文字通り熱狂させ、優勝も経験した。慣れない外野でゴールデングラブ賞も取った。称えるべき、誇るべき、そして恵まれたキャリアである。贈る言葉は、「お疲れ。忘れへん」しかない。脳裏に思い浮かぶ周平のすべてのプレーに、ありがとう。けっこう、ある。

とはいえ。福田周平はまだたったの33歳だ。
だいぶ年長者の私が保証するが、人生の面白さはこれからである。It’s only baseball. 選手人生に区切りをつけて、軽やかに第二、第三の人生を歩いていってほしい。周平らしくあれば、なんでもいいから。
カッコいいジャケットのポケットに手を突っ込んで街を闊歩する周平の姿が、頭に浮かぶではないか。

改めて、福田周平にこの言葉を贈ろう。
福田周平は終わらない。もちろん、終わらない。

 

 

※写真の転載・無断使用はご遠慮ください。使用をご希望の場合はK!SPO編集部までご連絡ください。

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」

 

Twitter でK!SPOをフォローしよう!