南 郁夫の野球観察日記(156)衝撃!山本由伸ノーノーを2年連続現地観察!

2023年9月10日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

9月9日のZOZOマリンに、私はいた。昨年6月18日のベルーナドームにも、私はいた。私はチームに帯同しているスポーツ記者ではない。自腹を切って関西から年1回の観察遠征に行ってる、単なる野球アホバカだ。なのに、2年連続で山本由伸ノーノー試合を遠征先で観察した私は、すごいとしか言いようがない。
は?すごいのは由伸やろがって? 確かにっ。2年連続なんて戦後初とか。せ、戦後初て…それはもうNPB初や。その両方の現場に、私はいたのだ。

それにしてもやはり私は、由伸に福を与える現人神と言えるだろう。ぜひ言ってほしい。この日視察してた現金男:キャッシュマンGMがキャッシュにものを言わせるのなら、来年ニューヨークに招待されてもいい。飛行機ファーストクラスなら、だが。
さて。はて。実は2年連続観察はもちろんウソでないのだが…「2年連続目撃!」と言い切っていないところ、その瞬間の描写をしていないところに皆さんは違和感を感じないだろうか?

マリンでのノーノー達成直前の、私の同行秘書(専属カメラマン)の様子はこうである。(京浜幕張駅にて)

その瞬間はJR京葉線に乗って東京駅に向かっていたのである。こら!目撃してへんやんけ!「試合は最後まで見ろ」家訓を破って、よりによってこんな試合を中座するとわアホの極みなのか?
いやいや、実は今回の遠征観察メインはその前日のZOZOマリン(台風中止)で、この日は最初から「中座試合」と決まっていたのでえ。「今夜の由伸ならやるやろな」と後ろ髪を高橋光成か今井達也みたいに引かれながら、やむなく8時に球場を後にした私の頭にあったのは…「アパホテル連泊は嫌やあ」の、一心。野球ファンの風上にも置けない根性のなさ。
若い秘書はその瞬間を見たかったろうが、歳をとるとはこういうことなの。ホテルニューオータニならいいけどね(満室)。

海風が吹き抜ける、素晴らしいマリンスタジアム。野球のワクワクが詰まったこの開放的な球場で山本由伸が投げた「第1球」に、すでに偉業の予兆はあった。いきなりコーナーぎりぎりに投げ込まれた153キロのストライクに、球場全体がどよめいたのだ。千葉のファンは、今夜がこの稀代の名投手の「見納め」であることがよくわかっているのかも。

先頭の荻野の投ゴロを機敏なフィールディングで処理したところから、ドラマはスタート。例の「ゴムのパチンコ」を操るような簡潔なフォームからくり出される小気味良いテンポで、確実に打者を退けていく由伸の独壇場。屋根のない現地で聞くと圧倒的に美しい響きのロッテ応援団には気の毒にも、この作業は永遠に続くように見えたが、6回に(ラオウが意識させたから?)四球で「完全」がなくなる前に、あまり指摘されていないが、精密な作業が崩れる一瞬のほころびが5回にあったのだ。
山口航輝の鋭いゴロが由伸のグラブに当たって打球の向きが大きく変わって誰しも「初ヒット!」と思った瞬間、そこには魔法のように「あだっちゃん」がいたのである。久しぶりのスタメン起用がズバリ当たり、この守備の名手は逆を突かれながらこの打球を素早く処理、見事アウトに。ちょっとでも手間どればヒットだっただけに、これが大きかった。紅林だったら?わからんけど。

その紅林は8回に登場し、センター前ヒット。私が見れたのはそこまでなのである。さすが由伸、8時までに7イニングは見せてくれたのだ。

もちろん残念ではあるが、初めて座ったZOZOマリンの2階席の心地よさ、ラオウ杉本の久しぶりの大ホームランの爽快さと意外に多いオリッファンの大声援に満足し、球場を後に。「由伸、やるやろなあ」と思いつつ。偉業達成後の電車では私らが着てるオリッのユニを野球ファンと思しき人々にジロジロ見られて、それはそれで面白かった。そんなとき東京人は「山本のノーノー見てはったんでっか?」とは尋ねないのね。

山本由伸、日本への置き土産・2年連続ノーノー。それも本当にすごいが、それを旅先で2年連続目撃し、しかも2回目の瞬間は見ていないという私の偉業もすごいのだ。知らんけど。

この遠征1日目のすったもんだ紀行文は、こちらのコラムで。

今回は、ZOZOマリンの思い出写真集で締めたい。このままでじゅうぶん素敵なマリン。今回も雨天中止で難儀したけど、野球のために改修で「屋根なし」のまま維持していただきたい。

・東京から40分ほどで、到着。10年ぶりなのだ。(専属カメラマンは5年ぶり)

・海が近くて行楽気分!暑いけどね。

・グッズショップが気分を高める!相手チームのアパレルを買ってしまう:あるある

・開門直後、オリッ練習中。残留ありがとう!若月健矢が水分補給。

・この3人は仲がええし、とにかく目立つ!

・ウォームアップ中の中川圭太、か、髪型が…。

・ちょっとは点、取ろな。オリッの円陣。声出しは水本ヘッドコーチ。

・場内を盛り上げる、マリンの球場演出。素晴らしい。

・スタメン表示が、カッコいい。

・見やすくて秀逸なスコアボード。先発は私です。

・選手名鑑いらずの情報量。

・強風で?ボロすぎませんか?ロッテのフラッグ。

・満員御礼です。

・普通に観客と会話する、フレンドリー石川亮。

・吉井監督、ご苦労されて…(最初から白髪)。

・ラオウのホームランは、めっちゃ気持ちよかった。場内大騒ぎ。

・マリーンズにも頑張ってほしかったけど… 愛すべき応援団。

・ダッシュマンの対決が見れて、よかった。

・とにかくこの遠征、私もこういう気持ちです。

 

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
著書「野球観察日記 スタジアムの二階席から」好評発売中!
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