南 郁夫の野球観察日記（116）整いました！オリックス（やっぱし）交流戦で息吹き返す

2022年6月8日 （文／南　郁夫、写真／Yasutomo）

2022交流戦・現地観察の２試合目は、対ヤクルト・スワローズの初戦＠京セラ。「ヤクルトっ」と聞くだけでいまだに「ぶるるっ」と震えてしまうのは、もちろん昨年の極寒の日本シリーズ最終戦の記憶がいまだに鮮明だから。語感としては「八甲田山っ」みたいなもん。行ったことあんのか？ありません。

とはいえ、なんだか懐かしい友達に会いに行くようなかんじもあったのだ。スタメンに連なる塩見、山田、村上などの名前を見たらいろいろシリーズのシーンが蘇ってきたし、「中村！あいつ腹たつ！」といまだにつぶやいてしまう自分がいるのだ。やられたよなあ、中村に。で。背番号なんで変えたん？

　

去年の日本シリーズの頃はねえ… 複数の新聞の取材を受けたり、私の近辺も騒々しくて。今となってはちょっと張りつめたような日々だった。この日も両軍、あのシリーズ最終戦と同じユニフォームでグラウンドにいるのだが、もちろんあのときのような凍るような緊張感はなし。こちらもオホホと気楽である。そらそうだ、単なるワンオブ公式戦だもの。いや本当にシリーズは特別だったなあと… こらこら、もう２度とないようなことを言っとるやないか。

さて。この試合の序盤はヤクルトの先発、お掃除でもしてくれそうな名前のサイスニードの「むにゃむにゃ投球」におちょくられかけたオリッ打線だったが（ちょっと前なら間違いなく終盤までひねられた）、３回に早くもつかまえて先制。５回までに６点を奪う嘘みたいな展開となって、久々に？気楽に試合を見ることができたのである。とか言って、ピリピリの貧打戦でも気楽に見とるくせに。

　

この日は「無安打か固め打ちかどちらか」福田が３安打の固め打ちの日、「ちゃんと収穫してくれる」中川が渋く２安打２打点、「ゾロ目背番号のでかい人たち」ラオウ杉本、Tー岡田がそれぞれ１打点と、チームの復調が今度こそ本物かな？と思わせる活発な打線ぶり！マッカーシー大佐も初めて大ホームランをかっ飛ばして、京セラは大騒ぎである。

　

マッカーシー大佐の打球は、外野の上段席まで達する大ホームランでびっくり。こんなん、打てるんや！と。我々が外国人選手に期待するのはこれなのでねっ。おかえり、ニール。でもあの両手をバットにヒモで縛り付けられたような不思議な打ちかたは、気になってしゃあない。余談だが、ホームランボールは係員が探せど探せど見つからなかったというミステリー。ホームラン、幻？

さて。うちの先発の山岡くんは序盤は魔術師ぶりを発揮していたが（この日も２階席だったので投球の詳細はわからん）、突如４回に珍しくも四球を出しまくって押し出しで１点差に迫られるという「自滅寸前」の事態に。でも、ここを併殺で切り抜けるんが！さすが一流投手やわ、防御率驚愕の1.29やわ！８回からも黒木、阿部（京セラのある大正区出身、K!SPOでは入団の時から注目）の完璧リレーで「平野温存ありがとう」という、見事に投打の噛み合った試合は６－１でオリッの完勝であった。

これでオリッは６連勝で、貯金１。ようやっと昨年のリーグチャンピオンチームの本領を見せつつある時期に、ヤクルトと当たったのはよかった。なんせヤクルトは昨年の勢いそのままにぶっちぎりのセ・リーグ首位やから。低迷してるところを見られずに、とりあえずはすんだ試合。吉田正尚と紅林やなあ、あとは。

東京音頭、最高っすね。ヤクルトファンの傘、久しぶりに見れて良かった。この日はあんまり出しどころなかったけど。それにしても、試合のたびに傘を持って来なあかんちうのも大変っすね。隣のヤクルトファンの親子はカバンから傘を出して広げようとしたんやけど、おそらく去年から広げてなかったんやろう。ビニールがひっついて「めりめりめり」いわせながら広げてたんが、笑えた。

 

さて。この試合中に我が専属カメラマンがツイッターに載せたこの写真がプチバズったとか。

（フォロワー1000人だし、ふだん100いいねもいかないので、バズったって言いたい）

 

私ならこうやな。

 

---

＜過去コラム一挙掲載！＞
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

	南　郁夫　（野球観察者・ライター） 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
	著書「野球観察日記　スタジアムの二階席から」好評発売中！ https://kobe-kspo.com/kspo/sp145/