南 郁夫の野球観察日記(110) 佐々木朗希・前々夜祭!ロッテ三連戦初戦の顛末!

2022年4月23日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

前日がソフトバンクの千賀、モイネロを攻略しての延長サヨナラ勝ち。いよいよオリックス上昇気流に乗るのか?と期待した4月22日(金)のロッテ3連戦の初戦を、現地観察してまいりやした。

また巡ってきた… あのロッテ戦である。日曜日にパーフェクトイニング続行中の佐々木朗希が登板することが決まっているからか、この日はちと控えめな客の入り。売り子のお姉さんの話では「日曜日は2万人と聞いてます」とのこと。あ、ご存知のように私アルコール飲まないので、前席のおじいちゃんがビール買うついでに、お姉さんと嬉しそうに会話しているのを盗み聞きしてただけ。

オリッ・山﨑福也、ロッテ・ロメロの両左腕の先発で始まった試合は、両投手のテンポがよく、むやみにサクサク進むのはいいのだが、山﨑福也は定期的に誰にも防ぎようのない失点をしてしまうという例のパターンで。8回途中まで頑張ったけど、4失点。まあでも先発投手としては合格かな、という出来ではあった。結局0勝3敗。勝たせてあげたい。

この日の山﨑で特筆すべきは、めちゃくちゃピッチャーゴロ多かったこと。記録じゃないか?というくらい(調べないけど)。なんかしら、二遊間に行きそうなゴロを全部処理しちゃうのよね、山﨑福也は。フィールディングがいいというか手が長いというか。

対してロメロは初めて見たけど、アザラシが立ち上がったよなヤンキースのサバシアみたいな風体から、決して速くはないけど打ちにくそうな角度の球をぐいぐい投げ込んで、オリッはヒットは出るけどなかなか決定打出ず。この日は要所で飛び出すロッテのセカンド・中村奨吾のファインプレーが光っていたが、ことごとく阻まれていたのが福田のめっちゃええ当たり「あるある」だったのだ。前夜のソフトバンク戦ではそれがヒットになってたので、オリッの勝ちパターンだったのよね。

さて。ようやく訪れたオリッ7回の唯一のチャンス(吉田、安達のヒットで1アウト1、3塁)で現状のオリッの問題点が、一気に露呈される。

そこからロメロ、バレラと続く打線だったのだが、なんと二人とも代打を送られてしまうのだ。

問題点1:チャンスで代打を送られるような外国人選手が二人スタメンにいる。

南の解決案:GM好みの外人であろうが、現状の調子であれば日本人選手を出してほしい。

そして、最初に代打で出てきたのが、ついにこの日スタメンを外れた昨年のヒーロー・ラオウ杉本。その杉本があろうことか!ロメロから代わった東條と対戦して「1球も振らずに棒立ちで見逃し三振」して、下を向いてしまったのである!おいおいおーい!

問題点2:ラオウ杉本の絵に描いたようなスランプが深刻である。

南の解決案:修理に出す。あるいはファームで自信を取り戻させる。

ファームでも打てなかったらどうしよう…。メンターでもつけるか?

吉田正尚の調子は上がってきているし(打球は上がらずシングル多いが)、最近めちゃいいスイングをする頓宮が、杉本の代わりをできそうに思う。ラインアップの模索が続くのがもどかしいが、なんとか打線の奮起を期待したい(わ、陳腐な表現)。まあ宗や太田が帰ってきて、個人的には宜保くんに出てもらって、ねえ。あと、8回途中から回またぎで9回も投げた本田くんが、なかなか立派な投げぶりで。ずいぶん「さま」になってきたのは収穫である。

というわけで、トントーンと何も起こらず8時半くらいに0-4で試合終了。なかなかこういうのも珍しいが(私、自慢じゃないけど観戦勝率高いので)もちろんそれも野球です~ということで、受け容れます。

さて(声を落として)。この日私が一番気になったのが、私の前の方の席に応援に来ていた、少年たちの団体さん。保護者の方に連れられて、ズラリ一列に並んですごく熱心にタオルやメガホンでちゃんと選手の名前を叫んで応援してくれて、非常に微笑ましかったのに…「新しい観戦様式」ってやつ? 彼らが応援するたびに、係員が飛んできて「声を出さないでください!」とやめさせるのだ。なんどもなんども。もちろんしょうがない、係員は仕事してるだけってことはわかっているケド。

少年たちは、応援を中断させられるたびにふてくされるわけでもなく言うことを聞いて「なんで?」という顔を一斉に親に向ける。その表情が不憫で不憫でな。私も「なんで?」と言いたいよ。

彼らが野球観戦を嫌いにならなければいいな、と強く思う。

日曜日に佐々木朗希がマウンドに上がっても、誰も声を上げてはいけないのか。「な、なんで?」


<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
著書「野球観察日記 スタジアムの二階席から」好評発売中!
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