南 郁夫の野球観察日記(164-1)オリックス2024年度新人選手入団発表記者会見レポート!
2023年12月1日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)
2023年11月30日(木)、大阪市内のホテルで行われた「オリックス2024年度新人選手入団発表記者会見」を取材させていただいた。記者会見の模様はネットでライブ中継もされたようだし、各選手の紹介や発言は球団HPなどで詳報されているので割愛させていただき、観察者として会見の雰囲気などを報告させていただこう。
一流ホテルというきんらびやかな場所、多数の報道陣(数年前より確実に多い)。もちろん舞台の中心は目を輝かせてプロ野球の世界に入ってきた若者たちなのだが、私の目はどうしても会場に集結したスカウト陣に向いてしまう。会場内にいる山口和男、小松聖、下山真二、早川大輔(敬称略)などを見てしまうと、オールドファンはなんとも落ち着かない気分になるのだ。
低迷期を抜け出し、若い力でリーグV3を達成したことで絶賛されている、昨今のオリックスのスカウティング・育成能力。それを支えるスカウトたちの多くが優勝に縁遠かった時代に奮闘した元選手たちというのが、なんとも「ええ話」なのだ。記者会見を温かく見守る彼らもまたこの日の主役であり、中嶋監督がスピーチの冒頭でまず「こんないい選手を揃えてくれてありがとう」とスカウトたちへの感謝と賛美を送ったことに、大変感銘を受けた。
育成4巡目の芦田丈飛くんが「(担当の)日本一の投手の小松さんのようになりたい」と言ったときにはスカウト陣がどっと盛り上がる一幕も(笑)。そんな雰囲気にスカウト陣の「勢い」を感じたし、これも強いチームの好循環だなと思う。会見場には新人選手のご家族が来られているのだが、行事終了後に行われる家族写真撮影に担当スカウトが一緒に入るケースが多く、いい関係を築いているんだなあとほっこり。
さて。ずらり並んだ新人選手たち。今年のドラフトも各方面で「100点満点」と言われており、4巡目までが有望高卒選手、5巡目以降が即戦力社会人投手、育成はほぼ投手という明確な「意図」を感じるラインアップ。社会人とはいえ最年長が24歳の小田島成龍くんという、全体の若さ!みんなキラキラしているんだこれが。
高卒選手たちがさすがにまだ幼さを残しているのに対し、大学も社会人も経験した選手たちはやはり受け答えも面構えもしっかりしていて、ずいぶん「お兄ちゃん」に見える。5巡目以降の高島泰都くん、小田島成龍くん、権田琉成くんに特にそれを感じて、この背番号96・97・98の社会人投手トリオが一軍に割り込んでくれば面白い。それぞれ、なかなかキャラも立っている。
印象的だった選手を一部紹介すると、ドラ1の横山聖哉くん(内野手)は高卒なのに身体ががっしり大きく、背番号34を背負った打撃や評判の守備を早く見たいなと思わせてくれるムードを漂わせてくれる。担当スカウトは小松聖さん。
神戸市出身で鷹取中学→報徳学園校、中学の頃は「兵庫夙川ボーイズ」(GM兼総合アドバイザー:元オリックス・水口栄二さん)所属ということで勝手に地元親近感を感じているドラ4の堀柊那くん(捕手)に話を聞くと、水口さんからは「甘い世界じゃないから頑張れ」と言われたそう。まだあどけなさが残って体の線もやや細い堀くんが数年後どんな姿になっているか、楽しみである。
さて。
この日1番の話題は、横山聖哉、権田琉成の2選手をオリックスに送り込んだ長野県・上田西高校の新聞委員会の二人の女子高生たちであった。「なんで女子高生がおんの?」と思ったら袖に「上田西高校」の腕章。学生報道関係者として会見に参加した彼女らは、果敢に中嶋監督に質問をぶつけるなど大活躍で、後で職業報道陣たちから多数の逆取材を受けていた。ポーカーフェイスの監督もこのときばかりは「にこやかに」質問に答えて、大いに会場が和んでいた。上田西高校の学校新聞、読みたい。
そんな彼女らも含めて、とにかく希望に満ちた将来ある若者たちで、今年も会場は大いに輝いていたのである。全員に幸あれ!と言いたいところだが、そうはいかないのがプロ野球という「定員の決まった」実力社会。誰が生き残るか?誰がブレイクするか?
何度もこのイベントを見ているが、この時点では誰にも何もわからない。「まさかあの宮城くんが…」「なんの印象もなかった茶野くんが…」な世界なのだ。ドラフト順位など関係ないサバゲーがすでに始まっているのが、現実である。
入学式のようなふわふわした祝祭ムードに包まれながら、少しほろ苦い気持ちにもなる… それがプロ野球の新人選手入団発表記者会見。緊張の会見を終えた新人選手たちが自分の両親を探すときに見せる「子供の顔」が、脳裏から離れない。
彼らが「プロ野球選手の顔」になっていくのを、見守りたいと思う。
ドラフト1~7巡目、育成ドラフト1~5巡目全選手紹介はこちら
南 郁夫 (野球観察者・ライター) 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」 |
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