スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(10)指導者に目覚めるとき~能見篤史
2022年9月25日 (文・イラスト/T.ANDOH)
こんにちは
イラストレーターのT.ANDOHです。
熱いペナントレース争いが繰り広げられているなか、今年はチームにとっても象徴的なベテラン選手が引退を表明しました。
福留孝介、糸井嘉男、そして能見篤史。
いずれも阪神タイガースでも活躍した選手ということで、とくに関西でも多くの野球ファンの思い出に残る選手でしょう。
先の2選手にいたって共通した引退理由がありました。
「ファームの若手を見たときに、オレもうこっち(選手)の立場では見られなくなってきた」
この手のコメントを発してきました。
そう
百戦錬磨のベテラン選手だからこそ抱く衝動なのかもしれません。
能見篤史投手は、オリックスに加入して2年目。
関西の野球ファンなら誰もが知っている阪神のエースからの転身。
しかも、オリックスでは「兼任コーチ」としての入団でした。
「戦力」としても期待される一方、「指導者」としての立場も求められての移籍。
それを受け入れたものの中には、「引退」するという覚悟がどこかにあったのでしょう。
しかし、
まだどこかにくすぶっていた「現役」というプライドを背負いながらマウンドに上がった2021年。
しなやかであり、力強い投球は健在で、主に中継ぎとして貴重な存在を示せば、平野佳寿、ヒギンスが登録されない時期にはクローザーも務めました。
中嶋聡監督のもと、ファームから若手選手が続々と一軍に上がってくるなかで、「指導者」として若手選手の生きた見本となることでも、その能力はプレーをもって体現してくれました。
結果、
宮城大弥投手、山岡泰輔投手が安定した活躍を見せ、また若手中継ぎ選手が貴重なチャンスをものにしてきました。
投手陣を自身の背中を見せることで育んだのが、兼任コーチ・能見篤史。
2022年の登板は4試合。
その分、さらに若手中継ぎ陣の本田、阿部の成長や、黒木優太の復活、山崎颯一郎の中継ぎ転向など、さらに厚みを増した投手陣を次々と押し出してきた。
今シーズンのオリックスは投手陣で支えられた部分が大きい。
交流戦明けから立て直しが出来、オールスター明けからギアが入ってきたチームには、先発がピンチを作った後の中継ぎ陣の粘りにも救われて、昨年の優勝がフロックではないことを証明してきました。
指導者の顔ももってオリックスに入団してきた能見篤史。
オリックス入団とともに目覚めた「指導者としての意識」は、その左腕をもって成果をもたらし、さらにコーチとしての新たな道へと繋がっていく。
残り少ないレギュラーシーズン、鷹の尻尾は見えています。
奇跡の逆転優勝に向けて残り試合はオリックスに有利にも流れています。
最終週となる残り3試合。
もう一度回ってくるでだろう絶対的エースによる勝利が果たしてこの混戦のどのような結末になるか。
そして、本拠地最終戦は投手・能見篤史の引退試合。
次代を担う最後の“現役の背中”を、チーム全員で見守ることになるでしょう。
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スポーツイラストレーターT.ANDOH
おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。 プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。 オリックス・バファローズには伏見寅威選手、中川圭太選手にロゴデザイン、イラスト提供中。 名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!? |
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