ナミコのおでかけ日和(18)王子公園の無料スポットでデジタルデトックス~神戸文学館
2025年12月6日(文・写真/ナミコ)
こんにちは、ナミコです。
みなさんは神戸文学館をご存知でしょうか?
王子公園から王子動物園に向かう坂の向こう、交差点の角にある煉瓦造りの建物、と言えば思い出される方もいるかもしれません。

王子動物園へは数えきれないぐらい通っている筆者ですが、いつも通り過ぎるだけのこの建物が実はずっと気になっていました。
現在は企画展
終戦80年『学徒出陣』の記録 学舎から戦場へ
が開催中とのこと。
そこで今回、思い切って訪問することにしました。
神戸文学館は1904年(明治37年)、関西学院のチャペルとして建てられた由緒ある建物。神戸市内に現存する最古の煉瓦造り教会建築として震災を乗り越え、2006(平成18)年12月4日に神戸文学館として生まれ変わりました。※館内案内チラシより抜粋
現在は神戸ゆかりの文学者の作品展示や展覧会が行われています。

まずは王子動物園に向かいます。通い慣れた動物園の入場ゲートを通過。
すると右手に見えてくるレンガ造りの建物。こちらが神戸文学館です。
玄関に向かう階段を上がると、エントランスからは動物園の獣舎が見えます。
動物園側から「あれはなんの建物?」と思いながら見ていたことを思い出し、位置関係に納得しました。

入り口の重厚なドアを引くと、そこには個人宅のようなシンプルな無人の受付が。
残念ながら館内の撮影は不可。
来場者名簿に記帳し、右手の展示室へ進みます。
そこは礼拝堂として使われていたであろう、天井が高く広い部屋。
部屋の半分のスペースで企画展が開催されていました。平日にもかかわらず、フロアでは数人の方が熱心に展示を鑑賞されていました。
企画展は大きく6つのコーナーで、神戸市や周辺地域の学徒出陣を紹介されています。
1つ目は、日本の徴兵制度の歴史について。明治以降の兵役義務と、戦前の教育制度や現在との違いが説明されています。
2つ目は、1943年11月19日に神戸市が主催した東遊園地での出陣学徒壮行会についての展示。会場はなんと東遊園地。神戸ルミナリエ会場になるなど、市民の憩いの場が学徒動員壮行会の会場になっていたとは想像もできませんでした。
当日の写真には、現在の神戸大学・甲南大学をはじめとする地元の大学生がゲートル姿で並んでいます。学徒動員と言えば、明治神宮外苑での壮行会の様子を目にすることはありますが、地元神戸の様子を見るのは初めて。
遠い世界に感じていた戦争がぐっと身近に感じられます。
壮行会当日に読まれた代表謝辞の原稿には、字が苦手な本人に代わって姉が清書したというエピソードが添えられていました。
3つ目は、各校ごとの資料展示。
関西学院大学、神戸大学の前身である旧制神戸商業大学と旧制姫路高等学校、旧制甲南高等学校、旧制甲陽高等商業学校の資料が展示されていました。
当時は理工医学系、教員養成学校には徴兵猶予がありましたが、関西学院大学には理工系の学部がなかったため、全員が学徒動員の対象となった、との記述もありました。
俳人の山口誓子が、当時の神戸商業大学から出征した義弟を詠んだ句や書簡、入隊した学生が戦死直前まで書き続けた日記、寄せ書きされた日の丸なども展示されています。
中でも戦死した息子が万が一帰還した場合、ぜひ復学させてほしい、と依頼する父の手紙には、息子の戦死を信じたくない父の思いを感じ、こみ上げるものがありました。
学校ごとに撮影された記念写真の中には、現在のキャンパス内で撮られたものも多く、リアルに戦争を感じます。
それらの写真が納められた学校別の資料も展示されており、その場で手に取ってみることができます。
反対側では常設展示
常設展示ゾーンでは明治から昭和にかけて、神戸にゆかりのある文学者の資料が時代ごとに展示されています。
ガラスケースを覗き込んでみると、山本周五郎、横溝正史、野坂昭如や妹尾河童など人気作家の直筆原稿など、本好きなら驚くような展示品がずらり。
彼らの本も所蔵されていて、館内で自由に読むことができます。
受付に戻り、左側へ。そこはサロンスペース。ソファが置かれ、その周りを囲むように「神戸の本棚」が設置されています。読書や休憩、談話に使えるそうです。300円でドリンクサービスもあるので、静かでぜいたくな時間が過ごせます。
企画展も含め、入館は無料。
本当にいいんですか?と聞きたくなります。

デジタル機器が似合わない、歴史ある建物の中で、気づけばすっかりデジタルデトックスできていました。

建築に興味がある方、関西学院にゆかりのある方もぜひ訪ねてみてください。
四季の花に囲まれた館内はウォーキングの休憩にもオススメです。
今回ご紹介したのは
神戸文学館
神戸市灘区王子町3丁目1番2号(王子動物園西隣)
※駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください
電話:078-882-2028
ナミコ
セは阪神、パは阪急を応援しながら阪神間で生まれ育った昭和生まれのママライター。
幼少期の憧れの人は福本豊。阪急ブレーブスを知る最後の世代として、西宮ガーデンズに行くたびギャラリーとメモリアルスポットを巡礼しては熱く語るためママ友たちにウザがられている。趣味は野球観戦と鉄道旅行。
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