南 郁夫の野球観察日記(225)お疲れ様でした!オリックス、ボイス・ナビゲーター 神戸さん
2026年3月5日 (文/南 郁夫、写真/編集部へ)

ニュースを見てびっくり。オリックス・バファローズのボイス・ナビゲーター(スタジアムMC/球場アナ)が交代するというのだ。2018年に就任したボイス・ナビゲーター 神戸佑輔(かんべゆうすけ)さんとは、就任直後に取材させていただいて以来の顔なじみだったので、寂しい限りである。25年ぶりに優勝した2021年シーズンオフにもインタビューさせていただいた。
神戸っ子の神戸(かんべ)さん(ややこしい)は、ブルーウェーブ時代からのオリックス・ファンであり、元野球少年でもあり、チームと野球をよく知るナビゲートぶりは円熟の域に達したなと思っていたので、とても残念だ。
京セラで。ほっともっとで。オリックス・ファンなら誰の耳にもこびりついている、あの低音ボイス。選手コールの独特のイントネーション。あれがもう聞けないなんて、寂しいではないか。
彼がボイス・ナビゲーターになって4年目の2021年に、チームは25年ぶりの優勝。そしてそこからV3。神戸さんの活躍とチームの黄金時代は完全にリンクしており、彼が勝ち運を持ってきた、と私は思った。ファンの記憶の中で、輝かしい瞬間と彼の声は永遠に溶け合っているのだ。
勝利の瞬間の派手な声(びくとりーー)は誰の耳にも印象深いが、彼のアナウンスで「過去一」私がしびれたのは、2021年あの極寒の神戸でオリックスが日本一を逃した瞬間。オリックス最後の打者(たしか宗)が倒れて、ヤクルト全選手が声にならない声を上げてグラウンドになだれ込んだとき…。
敵地ゆえ、もちろん音響演出がない中、すでに鳴り物禁止時刻で静寂な球場に響くのは、ヤクルト選手とビジターファンの生の歓喜の声のみ。それを邪魔することなく、しばらく間をあけてから静かで厳かなトーンで行われた、「ヤクルト・スワローズ日本シリーズ優勝」を告げる、神戸さんのアナウンス。
残念だけど相手を称えたい、すごい日本シリーズだった、そんで今夜は長くて寒かった、やっとすべて終わった、という私のその刹那の思いを、神戸さんの絶妙のタイミングとニュアンスが代弁してくれて心に区切りがついた、忘れ得ぬ瞬間だった。
こんな風に。いろんな人の野球の思い出の断片に、神戸さんの声が混ざっているはず。ファンだけでなく、もちろん選手にも。ボイス・ナビゲーターの仕事は「野球の一部」なのである。
ひょっとしたら。今年の神戸の球場のスタンドには、ファンとして神戸さんが「ちょこん」と座っているかもしれない。そして球場には「新しい声」が響いているのかと思うと、とてもとっても変な感じだ。
とにかく神戸さん、8年間お疲れさまでした。
*8年間!オリックスでいえば彼のヒーロー・DJ木村さんの10年に次ぐ長期担当記録ではなかろうか。すごいことである。
*新スタジアムMC「スタジアム・ボイス」に決まったYUTOさんも兵庫県出身、幼い頃からのオリックスファンとのこと。球団最年少の23歳の若さで、歴代のMCとはまた違ったフレッシュな声を聴かせてくれると期待したい。
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南 郁夫 (野球観察者・ライター) 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」 |
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