スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(151)8月をもって閉鎖!神戸王子スタジアム写真集 ~1~
2025年8月6日(イラスト・写真・文/T.ANDOH)
こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
以前から関学ファイターズのアメフト記事でも触れていますが、神戸市王子スタジアムが公園の再開発に伴い8月31日をもって閉鎖となります。
神戸市民のさまざまなスポーツ行事の舞台としても親しまれた一方で、西宮球場(西宮スタジアム)が閉鎖されて以降、関西アメフトの“聖地”として知られてきました。
僕も学生の頃からアメフトの試合で何度も訪れて、このK!SPOの関学ファイターズの取材でも、初めて訪れたのは王子スタジアムでした。
春の交流戦でスタジアムについて取材もしていたので、ひとつの記録になればと思い、写真とともにスタジアムのお話をさせていただきます。
王子スタジアムは皆さんご存知、王子動物園の隣となる公園東側にあります。
阪急王子公園駅を降りて北側の横断歩道を渡ると、右手に見えてきます。
左手には動物園、そして遊園地にもつながる駐車場も広がっているので、週末になると賑やかな場所ですよね。
関学ファイターズの取材を始めた頃、僕の専属カメラマンの「あ」さんは、スタジアムの後方(山側)から降りてきた神戸松蔭高校の生徒の夏服に衝撃を受けていました(笑)。
夏服の季節になると神戸ではニュースにもなりますよね。
愛知県出身、現在も名古屋在住の「あ」さんにとってはあの制服は衝撃だったようです。
名古屋では老舗の女子校の制服でもここまでのインパクトはありません。
さすが関西ともなると伝統の「深さ」がちがう!と思わされる光景です。
そんな王子公園駅を降りて右手(東側)を歩くと、土手のような傾斜を上がった先に一般客の入り口ゲートがあります。
クラブハウス(事務所)のある建物は正面にありますが、一般のお客さんが入場できるゲートはグラウンドの片隅でして、トラックの脇を歩いてスタンドに上がっていきます。
グラウンドレベルを一般のお客さんも歩くことになる、ちょっと独特のレイアウトになっています。
左側のスタンドに進めばメインスタンドへ。
右側に歩くとバックスタンドに続く観客席兼通路がトラックに沿って伸びています。
王子スタジアムの特徴。
スタンドの下段に屋根付き、カウンターテーブル付きの席があります。
ここも入り口同様ちょっと独特でして、なんとなく控えチームの選手が荷物を置く待機スペースでもありながら、一般のお客さんも座っている。
選手とお客さんが混在するのはアマチュアスポーツならではの光景かもしれませんが、屋根付きということで落ち着いて過ごしたい人が利用しているスペース。
僕らも機材や荷物を置いたり、ハーフタイム等で物書きをするときに利用しています。
ただ、屋根が人の背より少し低いくらいの高さなので、座っていればちょうど良いけど、立って歩く時は頭上注意。
しかもテーブルと天井の間も間隔が狭いので、外を見られるスペースはのぞき窓のような状態となります。
そんなダッグアウト的なロケーションも、かえって落ち着いたスペースになっているのかも。
春夏の眩しい季節には、ここにもお客さんや関係者がぎっしり集まります。
スタンドに上がれば、メインスタンド側からはこんな景色。
南側は、傾斜をせき止めるようにスタンドが盛り上がっていて、見える景色は青いフィールドに、青い山。
摩耶山の稜線がとても美しく見えます。
メインスタンドは2,500人収容。関学をはじめホーム側となるチームの応援席となります。
左手方向には遊園地の観覧車が。
背後にも樹木が茂っていて、意外と最後列は木陰になって気持ちよく観戦ができます。
公園の一部ということもあって、とても樹木が多くて緑が鮮やかなスタジアムです。
メインスタンド最上段には放送席や記録室があります。
最上段からの外の景色はこんな感じ。
手前に公園駐車場と街路樹、そして街の景色が広がっています。
傾斜地でありスタンドの上段なので、そこそこの景色が広がっていますね。
ちょっと違う角度からこのスタンド裏を見ると、これだけの高低差があるんです。
ほんとうに、摩耶山に続く傾斜地の付け根で、傾斜を埋めてフィールドを作り、土手のようにスタンドを作って整備したことが伝わってきます。
反対側にも行ってみましょう。
スタジアム北側はバックスタンドとなっていて、こちらは収容人員500名とコンパクトなスタンドが設置されていますが、バックスタンドの周辺は正面の入り口からトラックに沿って通路となっている部分が2~3段のブロック段となっているので、お客さんが多数詰めかける試合では、周辺にもたくさんのお客さんが座って観戦しています。
スタジアム後方の公園遊歩道と面しているため自然豊かとはいえますが、草ボーボーなのでバックスタンドで座る方には虫に注意でしょうね。
夏の観戦は虫除けが必須かもしれないですね。
トイレもまた、茂みの中にいわゆる公園の常設トイレのような小屋が数箇所設置されています。
お世辞にもキレイなトイレではありませんね…。
スタジアム東側、バックスタンドに向かって行く通路の途中には小さな「聖火台」もあります。
王子スタジアムは昭和31年に当時の兵庫国体に合わせて建設。
兵庫県内では本格的な陸上競技場として、神戸ユニバー記念競技場ができるまでは県下の主要な陸上競技やサッカー大会などで賑わった競技場です。
主要競技大会がユニバーでも開催されると使用機会は減り、1994年には老朽化に伴う改修のために一旦閉鎖されるものの、翌年に阪神・淡路大震災があり改修計画が頓挫。
以降、引き続き市民のスポーツ行事の拠点として、多くの学生競技や地元の自治会の運動会など、幅広く利用されるようになりました。
震災当時は災害物資の拠点になったり、ヘリコプターの発註場としても利用されたそうですね。
メインスタンドには大きくひび割れして、床がずれている箇所もありますが、これも震災の影響なのかな…?と思わされます。
そして王子スタジアムは2000年以降、アメフトの聖地としても知られるようになりました。
それまでアメフトの試合を開催していた西宮スタジアムならびに隣接の西宮球技場が2002年度をもって閉鎖されることにより、王子スタジアムがアメフトの会場として誘致したことによるもの。
現在は国内屈指のアメフト王国でもある関西で、王子スタジアムは大きな役割を担う存在となりました。
学生アメフトはもちろん、トップリーグであるXリーグの試合や社会人の試合も年中開催しており、アメフトスクールも運営されています。
だから王子スタジアムが閉鎖となると、アメフト開催にも大きな影響を及ぼすんですよね。
今回はこれまで!
次回はフィールドやバックヤードの写真とともにさらにスタジアムのことをお話ししたいと思います。
王子スタジアムは8月をもって閉鎖しますが、最終日となる8月31日には関西学生アメフトリーグの今シーズンの開幕戦、関西学院大学ファイターズと甲南大学REDGANGの試合が開催されます。
最後の王子スタジアムでもう一つ思い出を作ってみませんか。
そして、関学ファイターズの試合も見て今シーズンを注目してほしいので、ひさびさに言います!
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スポーツイラストレーターT.ANDOH
おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。 |
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