スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(150)イチロー、アメリカ野球殿堂でスピーチ!日本でも8月末にセレモニー

2025年7月29日(イラスト・文/T.ANDOH)

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
イチローさんが、アメリカ野球殿堂「クーパーズタウン」で表彰式のスピーチをしました!
1月には日米で野球殿堂入りが決定していたイチローさんですが、殿堂入りの表彰は毎年この7月に行われ、晴れて野球殿堂にプレートが収まることになります。

 

日本でも、毎年オールスターゲームで表彰式が行われますよね。
京セラドーム大阪で行われた今年のオールスターでは、掛布雅之さんなどが表彰を受けた今年の野球殿堂なのですが、イチローさんはこの日は姿を見せませんでした。
水曜日に日本のオールスターが行われ、週末がアメリカ野球殿堂の式典だったので、日程的に難しかったんでしょうね。

というのも、アメリカでは野球殿堂の式典は3日にわたるお祭りなのです。
記念イベントが開催され、殿堂表彰者は記者会見やゴルフコンペ、ファンに向けてはトークイベントにパレードも行われる。
そんな中、イチローさんがクーパーズタウンに持ち込んだのはスピーチのためのメモと野球道具。
殿堂入り記念式典のこの週末も、欠かさず野球のトレーニングを行ったとのこと。
野球へ一途な姿勢は、スピーチにも表れていましたね。

野茂英雄さんに感謝の言葉を述べたのが印象的でした。
「野茂さんが切り拓いたことで日米の距離が一気に縮まった」
と話します。
日本で実績がある選手がメジャーに乗り込み、対等に戦えたことで、日本の野球レベルも、日米のお互いの”見え方”も変わりましたよね。
海外FAやポスティングといった現在の各制度も生まれていなかったでしょう。

野茂選手がドジャースに入団した時は、日本のプロ野球を「引退」扱いにして渡米。日本での実績を「リセット」しての入団で、初年度の年俸もなんと10万ドル(980万円)。
信じるものは”自分の力”だけでスタートして、オールスターにも選ばれる活躍まで成し遂げました。

イチローさんが野茂さんを見て励まされたというのは、僕からしたら意外なことでした。
そんなイチローさん自身、オリックス時代にあれだけの活躍をしていながらも、
「自分がどうしてこのような結果を出せているのか分からない」
野球に真摯に向き合っているからこそ、センスや運という言葉だけで自分を片付けたくない。
誰よりも野球を知り、野球を極めるために、自分を見つめれば見つめるほどの葛藤があったようです。

すでにスーパースターになっていたイチローさんですから、孤独感もあったのだと思います。
そんな一人考えるイチローさんの支えになったのが、野茂さんの「勇気」。
「有言実行」
プロとして最大限の責任を自らに課して、毎回がベストのプレーをするために野球に向き合ってきた。
そんな「プロ」としての姿勢は、野茂さんとイチローさんに共通もしているのかもしれませんね。

しかも野茂さんの中継を見て、
「メジャーリーグのストライクゾーンを研究していた」
とも語ったイチローさん。
オリックス在籍時から「メジャーリーグに行く」と公言をしていたイチローさん。
すでにイチローさんにとってメジャーリーグは「目標」の場として見据えていた。
その準備は、野茂さんのドジャース入団から始まっていたのですね。

それにしても、オリックスを退団してメジャーに進み、一線で戦ってちゃんと自分を”進化”させたのだからすごいですよね。

ただ”通用する”だけではなく、数々の記録を作り上げてきたイチローさん。
記録を達成できたのは、日々の積み重ねとも語りました。
道具をとても大切にされることは有名ですが、スピーチでもグラブの手入れからスパイクの手入れまで、そして毎日のルーティンを守ることでキャンプの初日からベストで望むことこそ「プロ」であるとも教えてくれました。

イチローさんは「イチローKOBE CHIBEN」というチームを率いて女子野球選手とのエキシビションを行います。
いまでも「野球選手・イチロー」として最高のプレーをして、ファンに見せることにこだわり、練習をしている。
それは、いまだに「野球選手・イチロー」として自分のプレーを楽しみにしているファンのため、一緒に野球を楽しむ仲間や相手のために、自分が最高のプレーをすることを誓っているから。

僕ら、毎回の仕事にこれだけの情熱とプロ意識を、つねに抱いて向き合えているか…。
せめてこのK!SPOの記事にでも、イチローさんの思いにあやかって精いっぱい書かせてもらっているつもりですけど、読んでくださる皆さんにちゃんと伝わる記事が書けているかな…。
僕はイチローさんのように超一流の人間ではないけれど、「目標」の持つことに限界はないという、これもスピーチの言葉を引用して、日々を大切にいこう。

やっぱりイチローさんはすごいや!
そして、オリックスを応援してきてよかった。
こうしてイチローさんのスピーチをもとにコラムを書かせてもらえているこのご縁にも感謝です。

オールスターで披露されなかった日本での野球殿堂セレモニーは、8月31日にバンンテリンドームナゴヤで開催される「イチローKOBE CHIBEN」の試合で行われるそうです。
イチローさんにとって故郷、愛知でこのセレモニーが行われるというのも感慨深いですね。
シーズンオフは神戸には帰ってくるイチローさんが、愛知で何かをやるのは珍しいですからね。

このイベントはチケットの争奪戦でして、残念ながら取れませんでした…。
その日は自分にとって精いっぱいを過ごして、イチローさんの思いを少しでも自分にも昇華させようと思います。
そして、日本でイチローさんが何を語るか?
ぜひ皆さんも注目してみてください。

 

※イラスト・写真の転載・無断使用はご遠慮ください。使用をご希望の場合はK!SPO編集部までご連絡ください。


スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。
プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。
プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。
名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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