スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(144)関学ファイターズ春の交流戦。因縁の法政大学戦

2025年6月10日(イラスト・文/T.ANDOH、写真/Azusa Suzuki

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
今回は、関西学院大学ファイターズ春の交流戦、法政大学との一戦をお送りいたします。
春の交流戦もJV戦といわれる下級生主体の試合は残っていますが、この法政大学戦がレギュラー選手にとっては最後の交流戦。
しかも相手の法政大学は、昨年甲子園ボウル出場をかけて争い、敗れた相手!
法政大に勝って春の集大成としたい。
そんな思いで臨んだ一戦となりました。

スタメンQBで出場した2回生の星野太吾選手は立ち上がりからパスとランをバランスよく繰り出していきます。
4回生WR五十嵐太郎選手へのロングパスが決まり一気にゴール前までゲインすると、ショートの場面で2回生RBの平野日々輝選手が中央突破し先制のタッチダウンを決めました!

「パスプロテクションが持てばうまくいきますね」
大村監督も淡々としたコメントながら、パスプレーに対しての相手のプレッシャーにしっかりと打ち勝っている点を評価していました。

OL(オフェンスライン)がしっかりと相手を止めて、QBに投げる余裕を持たせることができたのですね。
そんなOLの頑張りに応えて星野選手は次のシリーズでもパス攻撃を積極的に試みました。

パス成功とはいかなかったものの、再びパスを取りに行った五十嵐太郎選手のこの身体能力!
彼の優れたフィジカルはこの後も飛び出しますので、お楽しみに。

1Q終盤には再びパスでリズムを作った関学がゲインを重ね、最後には3回生WR小段天響選手へのロングパスが決まって2つ目のタッチダウンが決まりました。

ここでちょっと注目したいのが3回生RBの松村亘選手。
ショートヤードをねじ込むランで貢献しました。
攻撃にスパイスを与えるパワー系RBは貴重な存在です。
そして、この攻撃のきっかけを生み出したのが、2回生DB東耕嘉彦選手のインターセプトキャッチ!
ロングパスを試みる法政大にしっかりとマークをしてインターセプトに成功。
何度となくブロックにのぞみ、チャンスを掴んだ執念のプレーでした。

2Qには星野選手が3回生WRリンスコット・トバヤス選手へのロングパスを決めると、自らの足で駆け込んだ3つめのタッチダウン。

さらに先述の五十嵐太郎選手が真骨頂を見せます!
星野選手からのミドルパスを受け取ると相手のディフェンスを巧みにくぐり抜け、60ヤード以上を走りきったタッチダウンランを決めました!

高校時代はサッカーでならした脚力を大いに発揮して駆け抜けたナイスラン!!
相手のブロックを振り切る場面があったりと、力とバランス力も備わった身体能力を見せてくれました。
五十嵐選手のコメント取りをし損ねてしまったんですよね…。
次の機会にはぜひお話を聞かせてください!!

試合は4Qスタート直後に平野選手の2回目のタッチダウンが決まり34点と大幅リード。
しかし後半は法政大学も粘りを見せ、終了間際には法政大4回生QB齊藤空大選手から3回生WR阿部賢利選手へのタッチダウンパスが決まりました。
後半になると齊藤選手の奮闘を感じましたね。

法政大が繰り出すラン攻撃のなか、関学側でもディフェンスを頑張ったのが3回生LBの油谷壮馬選手。
昨年のキャプテン、LBの永井励さんがひそかに期待をしていたのが油谷選手。
春のシーズンはこうしたサブの選手たちのアピールの場でもあります。
伏兵選手たちはしっかりと存在感を示し、さらに自分の持ち味を磨くために夏を頑張ってほしいと思います。

関西学院大学ファイターズ 34 × 7 法政大学オレンジ

タッチダウンを1つ許すも昨年のリベンジを果たした関学ファイターズ。
王子スタジアムでの最後の試合を勝利で飾ることができました。

「OLがしっかりと守ってくれたので突破できました。2つタッチダウンが取れたのは良かったけど、一発で得点を仕留められるようになっていきたいで」
「もっとスピードをつけて一対一も勝てる身体に強化していきたいです」
2回生RBの平野日々輝選手はまだまだレギュラーを奪う挑戦者として自らのレベルアップを誓いました。

「フィニッシュにこだわって、いろんなプレーを細かいこともしっかりやれたのは良かったと思います」
3回生RBの松村亘選手は「何もやってないです」と謙遜もしつつでしたが、松村選手も秋に向けて存在感を高めていきたいサブの選手の一人。
残りのJV戦も全力でいきますと語ってくれました。
そして、必ず写真撮影に3回生RB深村選手を引っぱり込む松村選手…。
ニコイチで写真を一枚いただきました。

「ワイドでどう決めるかをしっかりと練習していったなかで、パスをしっかりとワイドに構える先輩たちが取ってくれました。春の期間中にずっとレシーバーの先輩たちと創り上げてきた関係性がプレーにつながって良かったです」
「ただ、まだまだ自分を過信せずに貪欲に突き詰めていきたいと思っています」
2回生QBの星野太吾選手はこの春ほとんどの試合に出場し、攻撃の要として戦ってきました。
オフェンスリーダーの小段選手が言うには、パスの成功率80%を目標に掲げていたとのこと。
序盤に苦しんだパスオフェンスが最後の法政戦で手応えを得られたようですが、本人たちはこれを”当たり前”にしていきたいと身を引き締めていました。

「DBの精度が上がってきてやっとフラット。DLもまだまだやれると思っています。立命館と比べるともっとレベルアップしていかないと勝てないと思っています」
「夏の強化では戦術面を徹底的に磨いて秋に向けて仕上げていくので、楽しみにしていてください!」
ディフェンス面の総括を話してくれたのは4回生LBの山本桜汰選手です。
いろんな選手に春の感想も聞かせてもらいましたが、随所に「立命館」の脅威を感じるコメントが聞かれました。
春のシリーズはどこもチームビルディングに一生懸命なのは当然ですが、その一方で立命館大に関しては、他の学校より一つ抜けたスピードや思いきりの良さがあり、甲子園覇者らしく勢いがあると感じました。

今年の最大の目標は「立命館に勝つ」こと。
これは関学だけじゃなく全ての学校が目指すことであって、その戦いは厳しいものになるのではと感じさせられます。
その準備と試行錯誤の答え合わせが、秋のシーズンとなっていきます…。
どんなチームに成長できるか、これからの夏の練習にかかっている!
チームは9月の公式戦開幕に向けて、合宿など練習期間に入っていきます。
開幕まで選手たちが自分達と闘い、どのように成長するかを楽しみにしていきたいですね。
そして、関学にとっていままでにない「挑戦者」という立場!
「打倒立命館大」に燃える熾烈なシーズンが予測されます。
ぜひ皆さんも注目してほしいので、今日も言います!

 

また、この日の試合をもって、神戸市立王子スタジアムでの関学ファイターズの試合も最後となりました。
平成の”アメフトの聖地”となった王子スタジアムは、高校から社会人まで、数多くの試合が繰り広げられました。
次回以降で王子スタジアムの特集も予定していますので、ぜひチェックしていただければ幸いです。

 

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スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。
プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。
プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。
名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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