南 郁夫の野球観察日記(191)2025年 新・岸田政権への期待!
2025年1月6日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)
たまたま通りかかった小学校のグラウンドで。新年早々、練習中の少年野球チームがコーチの「訓示」を聞かされている。
「野球は、点取られへんかったら、負けへんのや。
1点も取られへんかったら、絶対に負けへんやろ?」
が。バットを振り回していた少年選手たちは「はい」とも「はあ」ともつかぬ、薄~い反応。私は「勝ちもせんけど…」と呟きながら、思わず今年のオリックス・バファローズのことを想像してしまう。
V3の栄光から、一転。下には「あの西武」しかいない5位に低迷した、2024年オリッ。チーム打率・得点・打点・ホームラン軒並みリーグ5位(下には「あの西武」のみ)で、守備率は最下位。対してチーム防御率は2位ちう成績を考えれば、少年野球のコーチの言葉はそのまま今年のオリッに響いてしまう。
現に、岸田新監督は早くも「当然、守り勝っていく野球になる」と宣言しとるではないか。「当然」という言葉を使っているてことは、監督自身このチームは「打てない」と判断しているわけだ。
うぇーん、今年は(も?)初回から送りバント、犠牲フライか内野ゴロの間に取った1点をしんみりと守り切って… みたいな地味野球を見せられるんか? ぐすん。負けても「9-10」なら喜ぶ私のような「通じゃない」現地観戦主義のファンからしたら、低得点試合は勘弁してもらいたいのだが。
確かに。現状を見れば高いレベルを維持している投手力を中心に戦いたくなる気持ちは、わかる。生え抜きの投手コーチから昇格のマモさんなら、それも当然であろう。慕われている投手陣を引っ張る構図は、本人もイメージしやすいだろうし。
しかし。もしもの話、今年も「打てない」と決めつけて守備力中心で中堅ばかりの手堅いオーダーを組むのは、夢がないっちゃあないではないか。昨年の打撃陣は頓宮の「記録的失速」やら西川への「多大なる期待の空回り」やら、予想外の要素が重なる悪循環。一番痛かったのは、下位に沈んだのに「次世代」を生むこともできなかったことなのだ。(打撃陣の唯一の収穫は、太田の成長くらいか)
昨年ではっきりしたのは「打てんかったら勝たん」てこと。防御率良くても、1試合平均得点が3点以下なら勝てるわけないのだ。幸い?誰も上位予想をしてない今年に「王者の苦悩」は必要ない。迷わず「ロマン」溢れる未来のスラッガーを抜擢して、のびのびとバットを振らせてほしい。かすりもしなくても。そうでないと未来はなかろう。「送りバントに失敗した若手を二軍に落とす」的な窮屈な厳しさは、もはや不要である。(はい。個人の意見です)
そうは言いながら、もちろん新監督はオリッの将来を考えているはず。暗黒時代を知るオリッ・ファンなら、チームが育つのを気長に待つ「耐性」は十分にある。マモさんと一緒に未来のオリックス・バファローズを夢想する、今年はそんな年にしたいのである。
でも。ちょっとしたことで何がどうなるかわからんのが、野球である。プロ野球選手なら、全員が高いポテンシャルを秘めている。監督交代で新しい空気が吹き込まれたら… あんれびっくりV3時代のオリッに逆戻りってことも充分あり得るのだ。(今年の西武ライオンズにすら何が起こるかわからない、と私は予想する)
というわけで、2025年のパ・リーグもオリックスも、楽しみいっぱいだねって話である。どんな結果でも。やっぱり毎年、球春が待ち遠しい。
今年もよろしくお願いします。
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南 郁夫 (野球観察者・ライター) 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」 |
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