スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(119)甲子園ボウルへあとひとつ、運命の法政大戦(1)

2024年12月2日(イラスト・文/T.ANDOH、写真/Azusa Suzuki

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
関西学院大学ファイターズ、甲子園ボウルへあとひとつと迫った全日本大学選手権、関東リーグ1位の法政大学との準決勝の様子をお送りします。

会場は東京都江戸川区のスピアーズえどりくフィールド。
組み合わせとはいえ、関学としては珍しい関東への遠征となりました。この試合の勝利で甲子園への切符が得られる大一番ともあって、関西からの遠征組はもちろん、関東の関学ファン、OBの方々でスタンドは埋め尽くされました。
なにしろ法政大学とは昨シーズンの甲子園ボウルの組み合わせ。法政にとっては関学を倒すことはリベンジであり、甲子園ボウル優勝のための負けられない相手。法政側にも立ち見客が現れるほどの大観客に見守られるなかでの試合となりました。

試合は関学からのリターンで試合開始。
ところが、開始直後に1回生QBの星野太吾選手がいきなりQBサックに遭います!!出だしからして、法政大のディフェンスの厚さ、スピードにびっくりでした。関学オフェンスは、その厚いディフェンスに遭いながら鉄板の4回生RB伊丹翔栄選手のランを中心にオフェンスを展開しますが、1Qは両チームともに無得点で終わります。

先制点は関学ファイターズ。ポゼッションをキープしたままクオーターまたぎで行われた2Qの最初の攻撃でゲインを進めた関学が、4回生キッカーの楯直大選手のフィールドゴールで得点をあげます。

しかし!
その後、法政大は3回生RBの中川達也選手の突破でファーストダウンを取ると、次いで3回生WR須加泰成選手へのパスが通るなどゲインを重ねて攻撃を進め、やはりフィールドゴールで得点をあげました。法政大は、序盤に見せつけたディフェンスに失点後のこのビッグプレーが続いたことで、じわじわと試合のペースを掴んでいきます。

一方で、関学の1回生QB星野太吾選手は攻撃の組み立てにも苦戦したと思います。QBサックに遭えば、インターセプトとなるパスミスなども発生して、その攻めの難しさ、プレッシャーに度々痛いプレーを受けました。
この試合、怪我で欠場している兄星野秀太選手からアドバイスを受ける場面もありました。

そんな星野選手でしたが、2Q終盤には4回生WR坂口翼選手へのパスが通ってタッチダウン。4thダウンギャンブルでゲインを進めた末の待望のタッチダウンとなりました。

しかし!
その後の法政大オフェンスではショートパスからのランが通る!そしてノーマークだった右サイドへのロングパスが決まりタッチダウンとなりました。

法政側が盛り上がる展開となります。
ビッグプレーが次々と決まる法政大に対し、関学にはチャンスを掴みかけるとファウルを受け罰退という場面が多かったのです。普段戦い慣れない関東の地での大一番に、関学はほんとうに苦戦…いや、らしくないの一言でした。

同点で迎えた3Qは硬直します。
法政大のパスを3回生DB加藤圭裕選手が奪い取りインターセプトという場面もあり、このクオーターはディフェンス陣が頑張りを見せました。

正面タックルで止める2回生DBの永井慎太郎選手。

ラン攻撃を止めに行く1回生DLの田中志門選手をはじめとした下級生ディフェンス陣が奮闘をして失点を守ります。
しかし、法政のポゼッションのままクオーターまたぎをした4Qはじまりのファーストプレーで、4回生QBの谷口雄仁選手のスクリーンパスを受けた3回生RB小松桜河選手がランで関学ディフェンスを交わし、勝ち越しのタッチダウンを奪います。

今日はいつものゲームとは違います。
僕自身、「関学は何やかんや言っても勝てるんだろう」という思いがどこかにありました。けど、今日の雰囲気はほんとうに違う。負けられない準決勝の、4Qで勝ち越しを許した。盛り上がる法政スタンド。(気味が悪いほうの)ゾクゾクとする緊張感がこみ上げてきます。これがフィールド上の選手のことを思うと、このゲーム展開を背負う1回生星野選手のことを思うと、そのプレッシャーたるや計り知れないという思いで試合を見守りました。

残り5分40秒。得点圏に進んだ3rdダウンから2回生WR小段天響選手へのパスが届かず。続く4thダウンをギャンブルし再度パスを選んだ1回生WR立花俊輝選手へのパスも外れて得点ならず。わずかなチャンスに最後まで諦めないオフェンスを見せますが、時計もどんどん進んでいきました。

そして、再度回ってきた関学オフェンス。今度は立花選手へのパスが通って得点圏に侵入した4Q残り48秒。勢いよく中央突破した4回生RB澤井尋選手のタッチダウンが決まり、土壇場で同点!この試合も、随所で得意のショートヤードを成功させた澤井選手。意地のランが決まり、雄叫びが飛びました。

関西学院大学 17 × 17 法政大学

首の皮で同点に追いついた準決勝はそのままタイムオーバーとなり、延長戦タイブレークで勝敗を決することとなりました…。

続くっ!!
もう結末を知っている方は多いかと思いますが、延長戦の模様と、その後の選手たちの表情は、次回のコラムで紹介いたします。

12月となりいよいよ甲子園ボウルが近づいてきました。真の大学生王者を決めるガチンコの末をぜひたくさんの人に見てほしい。
ので、今回も最後はこれで締めます…

 

 

 

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